この10年のあなたの行動が
未来を決める
新型ウィルスの拡散により、世界中で緊急事態宣言が出されることが当たり前の時代となりました。人々はこの事態が一日も早く収束することを願い、ウィルスの撲滅に向け様々な取り組みを行っています。しかし、そもそもウィルスがなくとも、世界は今、緊急事態の真っただ中にあります。
最新の科学は、地球の環境が既に飽和状態に達していることを明らかにしています。温暖化に環境汚染、食料難の深刻化や資源の枯渇、人口爆発と高齢化、さらには人知を凌駕するAIの台頭など、日本を始めとする一部の先進国が豊かな暮らしを享受する一方で、地球全土で環境の荒廃が確実に進み、このまま行けば2030年には限界に達し、歯止めの利かない破滅への道が始まることが、様々な研究データから予測されています。
今、地球生命の未来を左右する10年が始まりました。
私たちが直面しているのは、待ったなしの現実です。
今、地球上における人類の文明はピークを迎え、このままの状態でこれから先も発展し続けるかのような麻痺した考えを、やめなければならない時が来ています。
過去を振り返れば、人間の活動が自らを絶滅に追いやったことが、これまでの文明の歴史の中でたくさんありました。現代の大量生産・大量消費社会を築いた資本主義文明は、長い地球の歴史から見ればほんの一瞬とも言える、たった300年足らずのものです。内なるセンサーを研ぎ澄ませ、時代の潮流を感じ、この現代文明の先に大きな暗い影のあることに気付いたならば、その気付きを新たな時代の扉を開ける指針とし、自己変革へと向かわなければなりません。
人々の本音
2020年、世界の平均気温は過去最高水準を記録しました。気温の上昇によって降水量が増加し、各地で洪水や台風の巨大化が起き、その復旧に莫大な費用が必要となりました。充分な費用がない貧しい国では、復旧もままならない状態が続いています。その一方で、温暖化により大気の流れが変動し、北極圏の冷気が南へ押し出され、記録的な寒波となる地域もありました。
気候が不安定になったことで、世界各地でこれまでと同じように作物を育てることがどんどん難しくなっています。豊かな国は飽食にふけり、たくさんの肉を食べます。一方で、その肉となる家畜の餌として大量の穀物が消費され、貧しい国は充分な食糧を確保できず、現在地球上の9人に1人が飢餓状態にあります。私たちは土や水や太陽によって作物を育て、自然から食べ物をいただいて生きていますが、現代はそういった自然の恵みよりも、人工の世界が生み出すお金の力の方が、はるかに存在感が大きくなりました。
現在の地球上の人間の暮らしは、生きる上でのあらゆることに経済が絡んでいます。文明の発祥以来、人間は不自由なことがより便利になるように、食べられなかったものが食べられるようにと、それまで自然界になかったものを人工的に造り出すようになりました。それは確かに便利なことでしたが、その便利さ故に、今度はそれがないと居られないようになり、元々のもっとシンプルで良かったはずのものを失っていきました。そして、お金があることが豊かさであり幸せであると思い、お金がすべての問題を解決してくれると考え、どんどん経済の虜となっていったのです。
世界中で温暖化対策の必要性が叫ばれながら、何故なかなか進まないのかというと、人々の本音は、経済の方が大事だからです。温暖化は止めたい。排出物も減らしたい。でも経済は止めたくない。つまり、問題の原因は自分たちの生き方にあるけれど、その生き方を変えたくないということです。
お金で回る社会
現代は、お金がないと生きていけない社会になりました。人々はお金がないと不安になり、互いに競争し、お金を奪い合っています。しかし、お金は社会の血液です。体の中で血液が隅々にまで行きわたらず特定の場所で滞れば、全身が病気になるように、お金が社会の隅々まで循環せず一部に留まっている現代社会は、まさに病気の状態であると言えます。
経済とは本来、社会が円滑に営まれていくための手段であるべきものです。けれども現代の経済は、お金を得ることが最優先となり、社会をより豊かで円滑にするためのものとはなっていません。人々は、みんなが豊かで健康になるためのものよりも、お金になるためのものを作るようになりました。
食べ物は私たちの命をつなぐものですが、利益や効率を優先して生産される現代の食べ物は、食べることで体を蝕むようなものがたくさんあります。そして社会に病気が蔓延した結果、その病気を生んだ自らの生き方を見直すのではなく、医療で症状を治して解決するようになりました。こうして医療は一大産業となり、高度な技術が発展して人々の平均寿命は延びましたが、同時に人々は、命に対する覚悟を失っていきました。
医療が今日ほど発達していなかった時代には、人はいつでも自らの命に対する覚悟を持っていました。しかし現代は、自然界ではとうに寿命を全うしているような状態でも、医療に頼って命を永らえ、年を取れば介護が必要になることが当たり前の世の中となりました。すると今度は、介護施設が増え始めるのです。人が病むことや老いることさえもが、常にどこかでビジネスの餌になっているのです。
この経済の在り方を根底から覆し、本当に社会を健全にするためのものに変えなければなりません。それは、私たち自身の生き方を変えるということです。
自分は正しい?
生き方を変えるとは、どういうことでしょう。
最新の科学は、人間がこの10年間に生き方を転換しなければ、既に飽和状態にある地球の環境は2030年に臨界点に達し、破滅への暴走が始まり止められなくなることを予測しています。世界中の人々がその対策を協議し、刻一刻と迫りくる危機を感じながら、その危機の原因が自分自身にあるとは見ていません。それは、人々の考え方が大局的ではないからです。なぜ大局的でないかと言えば、生きることの目的が、個人の願望を叶えることばかりに向いてきたからです。
多くの人々が、この危機をどう乗り越えるべきかをそれぞれの立場から語り、誰もが一生懸命です。そういった人々は、優秀であるからこそ他を批判し、また他からも批判を受ける立場にあります。しかしそこで共通しているのは、どの人も自分を振り返らないということです。
人間はこれまで、問題ごとに出会う度に、その問題を生み出した自らの生き方を振り返るのではなく、新しい技術や社会の仕組みを変えることで解決を図ってきました。例えば交通事故に出会えば、事故に遭わないようにと交通システムを変え、車の性能が悪いと言って車を改善します。その事故を起こす人間の性能を改善するのではなく、仕組みや道具を改善することで解決してきたのです。
それが目覚ましい成果を上げてきたことで、そうすることが良いこととなり、自分を変えずに仕組みや道具を変える偏った癖がつき、自らの問題点はそのままで振り返らなくても良い社会となりました。その根底にあるのは、自分のしていることを正しいこととしたい心です。
しかし、そもそも私たちは、自分たちの考えの延長線上に、本当の正しさを導き出せるでしょうか。
歴史を振り返ってみてわかるのは、その時代にはその時代の正しさがあり、みんなが「これが正しい」と思って生きてきたということです。戦国時代には他人の領地を力ずくで奪うことが正しいことであり、大戦中にはお国のために命を捧げることが正しいことでした。しかし時代が進めば、その正しかったことが間違いとなり、その間違いを改善して次へ進むということを人類は繰り返してきました。そうして、より良くなるために、より良くなるためにと繰り返してきた結果、今究極の行き詰まりに到達しているとしたら、私たちは自分の考えでより良くしようとすること自体を手放す時に来ています。
今、するべきこと
この世界には、時代の潮流が常に流れています。
近代の人間社会は、地球の危機的状況をエネルギッシュに訴えつつも、その一方で、同じような手法やエネルギーを使い、経済の拡大を続けるという矛盾を表現してきました。そして、いよいよ自分たちの力ではどうにも解決できないところまで来て初めて、人々は現実に目を向け始めました。それは、これほどの現象をもらうところまで行かなければ、人間は生き方を変えないということであると同時に、何かそこに、人間の力を超えた大いなる時代の潮流が流れていることを感じることもできるのです。
地球上の歴史は、個々の人間の意志によるものではなく、宇宙の大いなる流れから生じる時代の潮流によって紡がれています。人間がどれほど現状に危機感を抱き、自分は正しいことをしているつもりで環境の改善を声高に訴えても、その動きが宇宙の流れと連動していなければ、それはただ自分の正しさを主張して思いを叶えようとする、これまでの人間がしてきたことと同じものになってしまうのです。
ならば、私たちは今、何をするべきでしょう。それはまず、自らを振り返ることです。
地球の現状を築いてきた自らの生き方を振り返り、その自らを正しいものとしていた心の奥を振り返る。そして自らの命が何によって支えられ、その存在が世界の中でどのように成り立っているのかを振り返る。それは、世界観を広げるということです。
世界観が広がると、自分は自分の力で生きているのではなく、この世界の仕組みの中で生かされていることが観えてきます。その時、人は謙虚になります。その謙虚な心で、自分たちはどう生きたら良いかということを、自らを生かす何ものかに問うようになった時、その大いなる何ものかは、私たちが進むべき道を常に示してくれていたことに気付くでしょう。それは、自分で正しい答えを導き出そうとしているうちは、わからないことです。
人間が最も理解できないこと
自分が思う正しさを手放し、宇宙の流れと連動して生きるようになると、物事は驚くほどスムーズに進むようになります。すると、人生を歩む上でのエネルギーは少なくて済むようになります。人々は今、電気自動車や代替エネルギーを開発し、何とか温室効果ガスを削減しようとしていますが、もっと人々の心が通い合い、物事が効率よく進むようになれば、そもそもエネルギーの消費量はずっと少なくて済むのです。
私たちは皆、地球というひとつの星に暮らしています。そこにある大地も、水も、空気も、風も、そして太陽も、みんなでひとつのものを共有しています。それがぐるぐるとどんな存在の元にも循環し、ひとつの生態系を築いています。アフリカで起きることも、アマゾンで起きることも、北極や南極で起きることも、みんな地球というひとつの体で起きていることであり、私たちみんなの責任なのです。
ですから、地球のどこかに問題が起きれば、みんなでどうしたら良いかを考え、力を合わせます。経済も、そのために使われるべきなのです。世界は問題ごとで溢れかえり、その一つひとつに対処しようとすれば途方に暮れてしまうかもしれませんが、その無数にある問題ごとの元はすべて、ひとつのことから始まっています。それは、国家も、人々も、自分のことしか考えていないということです。その根本の心を振り返り、ひとつの問題を地球規模のこととして捉え、みんなで力を合わせて取り組んだ時、そのひとつの問題の解決が、全体の解決へとつながっていくことでしょう。それが今、人間が最もできないことです。
本当に価値のある人生とは、他の生命や世の中の健康に貢献することです。自分が生きた結果、人が幸せになり、世の中がより豊かになる。これ以上現実から目を背けることは許されない地球の危機的状況をもって、私たちは今、自らの生き方を大転換させるチャンスとしての10年間を歩み始めたのです。
あなたはこれから、どちらの方向に進みますか?
地球の現実を知ろう
以下は、現在の世界が抱えているたくさんの問題の中の一部です。
そのすべてが、私たちの日常と密接に関わっています。
- 気温上昇により大気中の水蒸気が増し、世界各地で大雨や洪水、干ばつ、巨大台風などによる甚大な被害が増加。
- 乾燥が進み森林火災が多発。2020年の世界の森林火災面積は、日本の面積の1.7倍。
- 2020年シベリアで38℃を観測。永久凍土の融解が急速に進み、未知のウィルスが大気中に放出される危険性が指摘されている。
- 氷河が溶け、世界の海面は過去100年間で平均17㎝上昇。今世紀末には最大で1.1m上昇し、日本の砂浜の9割が消えると予測。
- 2030年までに気温上昇が1.5℃を超えると、北極の氷河が溶けて海水温が上昇→シベリアの凍土が溶けてメタンガス(温室効果がCO2の25倍)を放出→アマゾンの熱帯雨林がサバンナと化し、森が蓄えていたCO2を放出→世界最大の南極の氷が溶け、更なる気温上昇へ、という負の連鎖に歯止めがかからなくなり、2100年にはプラス4℃に達して世界中が取り返しのつかない打撃を受けると科学者は警告している。
- 年間推定3,000万トン(自動車2,500万台分)がゴミとして海に流出。
- 2030年に海のプラスチックごみの量は現在の3倍に達し、2050年には海の魚の総重量を超えると言われる。
- 年間10万匹以上の海に棲む哺乳類がプラスチックの誤飲等で命を落とす。
- 魚などが飲み込んだプラスチックは食物連鎖により毒素が濃縮され、それを食べる人間の脳神経に影響すると懸念されている。
- プラスチックごみの約半数が包装や容器であり、コロナ禍でさらに消費が増加。コストがかさむリサイクルは全体の1割にも満たないのが現実。
- 「再利用」という名目で先進諸国は大量のプラスチックごみを途上国へ輸出し、現地に大きな環境被害をもたらしている。日本は世界第2位のプラごみ輸出国。
- もはや回収不可能と言われるマイクロプラスチックは、海だけではなく大気中を漂って全世界へ拡散し、将来深刻な健康被害を引き起こす危険性が指摘されている。
- 2019年の世界の飢餓人口は6億9000万人。温暖化や紛争、パンデミック等の影響により、その増加が加速している。
- 先進国では日々莫大な量の食品を廃棄。日本は年間612万トン(世界の年間食糧援助量の1.5倍)の「食べられる食品」を廃棄しており、その焼却処分におよそ1兆円の税金が使われる。
- 先進諸国へ輸出する食肉用の放牧地を作るため南米では熱帯林の伐採が続き、温暖化に追い打ちをかけている。
- 食料の需要増加により、1960年以降世界各地で農業利用のための地下水の過剰な汲み上げがエスカレート。2030年以降世界中で地下水の枯渇が急増することが予測され、世界の食料市場は大打撃を受ける。
- 一部の先進国が飽食を続けることで「飢餓のパンデミック」が拡大し、2030年までに改善されなければ各地で暴動や紛争が起こると専門家が指摘する一方で、国連は2020年7月、SDGsの「2030年までに飢餓人口をゼロにする」という目標を達成することは困難であると発表する。
- 国連の推計によると2030年に世界の人口は86億人、2055年には100億人を突破。
- 偏った世界経済システムにより貧富の差がさらに拡大し、紛争が多発すると予測。
- 日本は2030年に国民の3人に1人が65歳以上となる。
- 労働力不足が深刻化し、社会保障費が増大する一方で費用が捻出できなくなり、社会保障システムが機能しなくなる。
- 日本全国で896の自治体が少子高齢化により消滅する可能性が報告されている。
- 2030年までに、AIの台頭によって社会の30%の仕事が失われると言われる。
- 各国はAIの軍事利用を進め、既にドローン爆撃などが現実化されている。
- 2045年、AIが人間の知能を超え自ら進化していくシンギュラリティ(技術的特異点)に達し、人間のコントロール下から離れていくことが警告されている。
- AIを開発した現代の人類の人間性がプログラムに反映されているとしたら、制御不能となったAIが支配する未来に待ち受けるものは、何か?
2030年
あなたはどんな未来を迎えますか?
One thought on “木の花ファミリー通信2021年春分号「2030年、地球は限界へ」”