【木の花のたより 】酵素があるから生きている

おなかの中から元気になろう!

その5
酵 素

カフェ&ショップ ロータスランドのブルーベリー酵素ジュース

さてさて、1ヶ月ぶりのお便りです。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
こんな時代だからこそ、お腹の中から元気になって本物の免疫力を高めよう!と始まったこのシリーズ、今回のテーマは酵素です。

酵素って なに?

詳しいことは知らずとも、多くの人が「酵素は体に良い」というイメージをお持ちなのではないでしょうか。

では酵素とは何かと申しますと、ズバリ、私たちの生命活動を維持する物質です。動物も植物も微生物も、すべての生命は体内で酵素を作り出しており、人間の体内には実に5000種もの酵素が存在すると言われます。そのひとつひとつがそれぞれに独自の役割を持ち、私たちの体内で起こる様々な化学反応をスムーズにする働きをしています。例えば食べたものを分解する、分解された養分を吸収する、有害なものを排出するといった消化や代謝機能の他、見る、聞く、味わう、歩く、話す、呼吸する、さらには笑う、泣く、怒るなどの感情表現や思考に至るまで、私たちの生命活動は、体内で起こる様々な化学反応によって成り立っており、そのすべてに酵素が関わっているのです。

つまり酵素とは、太陽や土や水や空気と同じように、私たちが生きるために無くてはならない存在なのです。

現代人は酵素が不足

人間が一生の間に作り出す酵素の量は、人それぞれに決まっていると言われ、私たちは体内で酵素を作る他にも、日々食べ物から酵素を取り込んでいます。
酵素は、あらゆる野菜や果物、そして味噌や醤油、納豆などの発酵食品に多く含まれています。食べ物から取り込まれた酵素は、体内の酵素に代わって、私たちの様々な生命活動を助けてくれるのです。
ところが現代を生きる人々は、化学物質の添加された加工食品やジャンクフード、アルコールや薬品などの過剰な摂取、そして自然の摂理から離れたストレスの多い生活などにより、酵素が不足するようになったと言われます。
酵素が不足すると、消化や代謝の機能が弱まり、免疫力が落ちて、病気にかかりやすくなります。また、冷え性やむくみ、頭痛、肩こり、便秘、倦怠感、不眠などの症状につながる他、イライラしたり精神的に不安定になることも。

どんなに「体にいい」食べ物を食べたとしても、その栄養素を体内でしっかり分解し、吸収できなければ意味がない。酵素不足はまさに万病の元と言えるのです。

酵素をつくろう!

さて、ここからは木の花ファミリーのお話です。

養蜂で活用している木の花菌と酵素

木の花のたより第3号にてご紹介した通り、木の花ファミリーでは創立後間もない頃から、微生物の働きを暮らしの中で活用することを大切にし、地元の植物を利用して「木の花菌」という独自の微生物群を培養してきました。
それはとても有効なものですが、木の花菌を仕込むには「種菌(EM菌)」が必要であり、それは現在も外部から購入しています。木の花ファミリーには世界中からゲストが訪れ、「ぜひ自分の国でも木の花菌を広めたい」と仕込み方を学んで帰る人も少なくないのですが、では実際に帰ってから種菌が手に入るかと言うと、なかなか難しい現実がありました。

そこで、「その土地にあるもので作ることのできる、有効なものはないだろうか?」と模索していた中で出会ったのが、酵素なのです。

大量に収穫できたレンコンを皮や節ごと漬け込んで作ったレンコン酵素

すべての植物は、酵素を持っています。しかし酵素は熱に弱く、42℃以上に加熱をすると壊れてしまいます。そこで植物を、1.1倍の分量の砂糖に漬け込むと、砂糖の浸透圧によって植物内の酵素を壊すことなく抽出できるのです。

この酵素液がすごいのは、普通なら使えないようなものでも、余すことなく活かせること。例えば夏の終わりには、秋冬の作付けに向けて畑を整理するため、シーズンを終えたトマトの木を片付けるのですが、この時に熟しきらない青いトマトの実がたくさん取れます。

そこでこの実にお砂糖を混ぜ ───

毎日かき混ぜていると、微生物の力で発酵が進み、やがてブクブクと泡が出てきます。

お砂糖は微生物のエサとなってエネルギーへ変換され、夏場なら1〜2週間、冬場なら2週間〜1ヶ月ほどで、酵素液が出来上がります。

そして液体を絞った後の固形物は、ボカシ(有機物を発酵させた肥料)にして畑の循環の中へと還し、また次の作物の栄養となっていくのです。

ボカシ

これならば、それぞれの土地にあるものを活かして、その土地ならではのものを作ることができる。
そこで数年前から木の花ファミリーでは、酵素液作りの探求が始まりました。以前から、酵素玄米や生食などを取り入れた酵素食は実践していたのですが、酵素液はうまく発酵すれば腐ることなく長期間保存でき、人間のみならず農業や養鶏、養蜂などにも活用できるのです。

現在は100種類以上の野菜や果物、穀物、野草などを使い、数十種類の酵素液を仕込んでいます。

ただ今熟成中の様々な酵素たち。絞ったものは冷蔵庫へ保管します。

この酵素液の仕込みを一手に引き受けているのが、メンバー歴21年目のきょうこちゃんです。

野菜苗作りのスペシャリスト、きょうこちゃん

大学卒業後、有機農法を学んでお百姓になる道を選んだきょうこちゃんは、メンバーになって以来、主に野菜の育苗を担当していました。きょうこちゃんが育てる苗はとてもしっかりした良い苗だと評判で、県外からわざわざ買いに来るお客さんもいるほどでした。

そんなきょうこちゃんですから、酵素仕込みも常に素材を観察し、作物ごとにそれぞれ異なる特徴を掴んで、より良いものができるよう工夫を重ねながら進めています。
「基本は素材1に対して砂糖が1.1だけど、素材によってはもっとお砂糖を減らした方が素材そのものの風味が生きてくるので、味を見ながら調節してるよ」ときょうこちゃん。
そして酵素液を絞るタイミングは、仕込んでから何日と決まっているわけではなく「今だ」と感じた時。中にはいくつもの酵素をミキサーにかけて混ぜ合わせ、2年越しで仕込んでいるものもあります。

2年越しで熟成中の酵素への櫂入れ(かき混ぜること)
熟成したやさしい香りがします

その他にも、個性的な酵素がいろいろあります。
例えば、昨年12月に行った新穀感謝祭と、今年の2月4日に行った立春正月祭のお供え物は ───

昨年12月の新穀感謝祭の祭壇

「新穀感謝・立春正月酵素」というなんともありがたい酵素に変身。

野菜だけでなくお米や豆類も入った「新穀感謝・立春正月酵素」

とにかく何でも活用できるのが、酵素仕込みのいいトコロ(^^)
多少形が不恰好だったりしても、すべての植物の中に健康の元が詰まっているのです。

健康とは、元気であること。元気とは「元の気」──── 即ち、自然そのものです。自然は、私たちをおなかの底から元気にしてくれる宝物に満ちています。
その豊かな恵みに感謝しながら、これからも作物や、酵素や、その他のたくさんのものを通して、皆さんに「元気」をお届けしていきますね!

(ともこ)

 

 


メンバー日記🗒

きょうこちゃんの巻


ファミリーメンバーたちが日々の暮らしを綴る「メンバー日記」始めました!

木の花ファミリーでは、メンバーたちは田んぼや畑、キッチン、建築、子育てなどなど、それぞれの個性に応じた役割を担っています。

上で紹介している役割は全体の一部。他にもいろーんな役割があるのです。そしてその全てが、自分よりも他者や全体を大切にする心 ─── 即ち「菩薩の里の精神性」でつながることにより、コミュニティの暮らしが成り立っています。

毎日の食事と大人ミーティング(毎晩大人メンバー全員が集まって開催するミーティング)の場ではメンバーたちは必ず顔を合わせますが、その他の1日の過ごし方は役割によって様々です。そこでこのメンバー日記では、メンバーたちがそれぞれの立場からファミリーの暮らしを紹介し、次のメンバーへと繋いでいきます!

トップバッターは、ハイ、先ほどご紹介しましたきょうこちゃんです。

きょうこちゃんは酵素仕込みの他、午前中は毎日カフェ&ショップ ロータスランドで、モーニングセットの調理を担当しています。他にもロータスランドの鯉や花のお世話をしたり、育苗の後継者を育てたり、木の花楽団でギターを弾いたりと、いろいろな役割をしています。

そんなきょうこちゃんが今から21年前にメンバーになった理由は、「木の花ファミリーに出会って初めて、“人が生まれてきた目的は心を綺麗にしていくこと” だと知り、この大切な生き方をしていこうと決めたから」。

「小学校3年生の時に広島原爆展を見に行った時から、人間はどうして戦争をするのか、どうして戦争が終わらないのかをずっとどこかで思っていました。また、現代の物質的に豊かになった社会が、そしてその中で生きている自分自身の暮らし自体が、自然を破壊していることを知り、自然に近い暮らしをしようと思い、有機農業を始めました。でも、どこか違う・・・と思っていたところ、木の花ファミリーと出会ったのです。」

どんなに良いと思われることをしても、心の中に対立や嘘の心があったら本当の平和は訪れない。自分一人分美しくなることが、この世界を美しくする。小さな頃からずっと探し求めていたものがこの生き方にある、と思ったきょうこちゃんは、メンバーになり、心磨きの道を歩むことを決意しました。

ところが2015年4月、きょうこちゃんは子宮頸ガンとの診断を受けます。そして翌年10月には意識不明の危篤状態に陥り、何度も生死の境をさまようこととなりました。

入院中のきょうこちゃん

心磨きの道を歩もうと決意してメンバーになったものの、「自分はいいものだとどこかで思う心があり、根本的に人間性を変えることができていなかった」と振り返るきょうこちゃん。
そうして心の中に嘘が積み重なり、それがガンを引き起こしたのだと気付いた時、きょうこちゃんに奇跡が起こりました。危篤状態から劇的な復活を遂げ、いつの間にかガンが消えて無くなっていたのです。

まさかの退院

今きょうこちゃんは、「ガンという病気をもらったことで、やっと自分の心にメスを入れることができた」と言います。

「何度も死にそうになりましたが、ファミリーみんなの応援もあり、今こうして生かされています。健全な心で生きることが、健全な世界を創ることを思いながら、日々を過ごしています。」

*きょうこちゃんの物語を、木の花劇団がお芝居にして紹介しています。芝居後には実際の闘病中の映像も流れます。どうぞご覧ください。
木の花劇団「いただきます物語2019」

そんなきょうこちゃんが、酵素液を仕込むための野草を摘みに、長野県大町市にある「木の花ファミリー大町ビレッジ」へ出かけました。以下、きょうこちゃんの日記をご紹介します!

木の花ファミリー大町ビレッジは、長野県の木崎湖畔にあります

大町ビレッジでの1日

早朝4時30分、日の出前に大町ビレッジメンバーと一緒にヨモギを摘みに出発。まだ朝露に濡れたヨモギがキラキラ光っています。

野草摘みは日の出前から始まります

お日様が出て光合成を始める前の、エネルギーをたっぷり蓄え生命力に満ちたヨモギを黒糖で漬け込み「天恵緑汁(てんけいりょくじゅう)」を作ります。

とてもエネルギーが高い大町の野草
天恵緑汁

「天恵緑汁」とは、植物や動物を健康に育てるための農業資材で、ヨモギと黒糖と天然微生物によって抽出される黒褐色の液体で、有用な菌が生きている植物活性剤(酵素液)です。土着微生物の採取方法のひとつでもあります。

これを野菜の苗を育てるときや畑の野菜に薄めて葉面散布します。ヨモギは薬効成分も高く、お灸のモグサの原料にもなっています。一面に生えている生命力のあるこのヨモギのエネルギーをいただく。まさに天の恵みの汁ですね。

こんなにたくさんのヨモギが採れました〜!

また、日中はたくさんの野草を採取し、野草酵素も仕込みました。
今年は44種類もの野草を採ることが出来ました。大町は野草の宝庫で、見渡す限りの野草!本当に宝物だらけ。






でも畑だと「雑草」とされているものもたくさんあります。

畑の作物という視点だけから見ると邪魔ものになってしまいますが、視点を変えると「宝物」なんです。

車で走っていても、歩いていても、あれも、これもと道端の草が今までと違った見え方をするのには自分でもびっくりです。

酵素作りの良いところは、捨てるものが一つもないこと。普通捨ててしまう皮や種も全部丸ごと漬け込みます。じつは皮こそ酵素がたくさん含まれているのです。

収穫した野草をまるごと刻んで ー
次々と桶に仕込んでいきます

そして普通は食事として食べないような、ビワの葉や桑の葉、その他たくさんの植物の酵素が、こうして酵素ジュースにすることにより摂取できるようになるというのは素晴らしいことだと改めて思います。

作業の合間にみんなでひと休み

こうして自然からの贈り物を採取し、砂糖に漬け込んで、毎日手でかき混ぜ、もともと植物がもっている酵素を抽出します。発酵が進むにつれ、色も香りも変化していき、酵素液が生きているのを感じます。
微生物たちはとても小さく微細な存在。だからこそ、それに接する自分は、いつも良い波動を持つ者であるように心掛けています。

全ての命は、他の命によって支えられ、生かされている。
この野草摘みに来ると、そのことを強く思い起こさせてくれます。

ガンで一度は死んだかもしれないのに、生かされている今。
酵素作りという役割をいただいて、まだまだ手探りであり、もっと進化させていく途上ではありますが、人も野菜も元気になるような酵素を作っていきますよ!!

(きょうこ)

自然の宝物に囲まれて

 



次回のメンバー日記は、ファミリー最年長のみんなのアイドル、えいこばあちゃんです。
きょうこちゃん曰く、「こんな年のとり方をしたいな」。


 

 

7月1日(水)より

ロータスランドのカフェ(店内飲食)部門を

営業再開します

蓮の花(ロータス)もいよいよ咲き始めました

お待たせしました!
新型コロナウィルスの影響等により、しばらくの間お休みを頂いておりましたロータスランドのカフェ部門を、7月1日よりいよいよ営業再開いたします。

再開に伴い、営業形態が以下の通り三部制となります(^v^)

🔹 モーニングタイム 8:00〜10:30(ラストオーダー)

🔹 ランチタイム 11:00〜14:00(ラストオーダー)

🔹 カフェタイム 14:00〜17:00(ラストオーダー)

従来は、11時以降は同じメニューをご用意しておりましたが、その時々の旬の食材を、より良いかたちで皆さんに楽しんでいただきたい!ということで、モーニングタイムにはモーニングメニュー、ランチタイムにはランチメニュー、カフェタイムにはカフェメニューと、それぞれ独自のメニューをご用意することとなりました。そして、試作に試作を重ねた新メニューも登場しますよ〜〜✨✨ どうぞお楽しみに!

きょうこちゃんが仕込んだ酵素は、ジュース、スカッシュ、豆乳ドリンクの3つの味でお楽しみいただけます
大好評の酵素シロップも引き続き販売します♪

📍 カフェ部門再開につき、7月1日以降はお弁当の販売はお休みとさせていただきます🙇‍♂️

📍 営業時間が従来の19時閉店から18時閉店へ変更となりますので、ご注意ください。

📍 定休日は毎週月曜日のままで変更はありません。

 

皆さまのお越しをお待ちしております

 

 


【木の花のたより 】木の花菌〜目には見えない微生物のチカラ

こんにちは ☀︎

お米の播種から10日が過ぎ、ハウスでは稲がぐんぐん伸びています(๑˃̵ᴗ˂̵)و

朝の稲。朝露がキラキラ輝いて、とてもきれいです。

稲たちは、播種から3日で芽を伸ばし始めました。

播種後は育苗トレーの上に直接太陽シートをかけ、種もみを保護していましたが、芽が伸びてきたのでトンネルに切り替えました。

朝夕、シートの開け閉めをする育苗担当のみきちゃん

ところでこの稲の朝露、キラキラしてとてもきれいなんですが、このままにしておくと「いもち病」と言って稲につくカビが発生する原因にもなってしまうそうで、みきちゃんは毎朝シートを開けると、朝露を落とす「露払い」をします。

毎朝カタカムナのウタヒを奏上しながら 露払いをします

稲の上にT字型の露払い用の棒を滑らせて露を落とすと同時に、稲が倒されることで徒長(ムダに伸び過ぎること)が抑えられ、がっしりとした強い苗に育つのだそうです。

倒されることで よりたくましくなっていく稲の生命力!

お隣のいちごハウスでは、かずこちゃんが朝一番で収穫したいちごを、配送担当のゆうこちゃんが引き取りに来ていました。

あ!いちごの葉っぱにも朝露が!

でもこちらは、露払いは必要ありません。
いちごの葉先に付いている水滴は「葉水」と言って、夜の間にいちごが土から水分と一緒に養分を吸収し、余分なものを朝に葉先から外に出したもので、根がしっかり動いて養分を吸い上げている証拠なのです。

この現象は作物のみならず、道ばたの草だって、朝はこんなにキラキラしてます。

  
早起きは三文の徳(^v^)

  
ハウスで稲の苗がすくすく育つ一方で、田んぼでは稲たちを迎えるための準備が着々と進んでいます。冬の間は水を抜いていた田んぼに、いよいよ水が入り、「代かき」が始まりました。

一番最初に田植えをする予定の宮ノ下の田んぼ。代かきしてるのは田んぼファイブの1人、かまちゃんです。

田んぼは秋の稲刈り後から春までの間に、3回耕起をします。繰り返し耕起することで、稲刈り後に田んぼに残った稲わらをよく分解し、微生物を活性化させるのです。そして田んぼに水が入ったら、田んぼの表層の泥の粒子を細かく砕いてとろとろにし、全体を平らにならす代かきを「荒代かき」と「本代かき」の2回行います。
代かきには、泥をとろとろにすることで稲が根付きやすいようにしたり、全体を平らにして水の深さを均一にすることで稲の生育をそろえたり、雑草の種を土中に埋め込んで草を生えにくくし、土中の有害なガスを抜くなど、様々な意味があります。ハウスで元気な苗を育てることも重要ですが、やがてその苗がデビューする田んぼの環境をしっかり整えておくことも、同じように重要なのです。

こちらは代かき前の田んぼ。草が生えていたり、まだデコボコしてます。

こちらは荒代かき後の田んぼ。全体が平らになっているのがわかるでしょうか。

田植えの5日前にもう1度、今度は本代かきをします。最近は寒い日が続き苗の生育が少しゆっくりになったので、今年最初の田植えの予定は当初よりも少し遅れ、5月1日ごろになりそうです。

稲の成長はこれからもレポートしてまいります。

乞うご期待っ!(`ε´ )ゞ

 


 

おなかの中から元気になろう!

その3

  木の花菌  

木の花ファミリーでは、EM菌を種菌とした微生物の集合体「木の花菌」を独自に培養しています。

EMとはEffective Microorganisms(有用微生物群)の略で、乳酸菌や光合成細菌、酵母など、自然界にも存在する環境にも人にもやさしい善玉菌の集合体です。木の花ファミリーではこれを種菌として、ビワの葉、クマザサ、アカマツなどの抗酸化力の強い葉っぱを使い、そこに付着する土着の微生物や植物のエキスを取り込み、自家製の玄米アミノ酸等を添加して微生物のはたらきをさらに高めながら、十日間をかけて木の花菌を仕込みます。出来上がった木の花菌は、畑の作物や養鶏、養蜂に活用されるほか、人間もジュースにして飲んでいます。

仕込みから十日目の、絞る前の木の花菌。様々な葉っぱやみかんの皮などがつけ込まれています。

木の花菌とは、ただ1種類の微生物のことを言うのではなく、多種多様な微生物が相乗効果によって有用なはたらきをしてくれる、言わば微生物の共同体です。
農業でも微生物資材の活用がうたわれて久しいですが、そもそも私たちは、微生物に支えられて生きています。土壌1gの中には1億〜10億の微生物がいると言われ、微生物が活発にはたらき多様性のある土壌は健康で、作物も元気に育ちます。そして人体には、なんと1,000兆もの微生物が棲みついていると言います。ウィルスが話題の昨今ですが、そもそも私たちは微生物なしでは生きられず、どのような微生物と共生するかによって、体のみならず、心の健康状態も大きく変わってくるのです。

思えば地球上に最初に誕生した生命も、微生物。微生物はこの世界で命が現象化する最初の姿であり、それだけ微細で、生命の源の美しいエネルギーそのままの純粋な存在です。微生物が豊かで活性化しているということは、それだけそこに豊かな生命エネルギーが満ち溢れているということ。それは自然の自浄能力を高め、生物の免疫力も自ずと向上していくのです。

そんな微生物たちを培養した木の花菌の仕込みを担当しているのが、畑のエース・ひろみちゃんです。

学生時代に木や花について勉強していたひろみちゃんは、食べ物ではないがために、公園などの木に野菜以上にたくさんの農薬が使われるのを見ながら「何か他にないのかな」と思っていました。そしてEM菌の存在を知り、その勉強会で「富士山麓でEMを使って有機農業をしている団体がある」ことを聞き、おもしろそうだと思って「けっこうミーハーな気持ちで」木の花にやってきて、木の花菌に出会いました。

出来上がった木の花菌を絞り機を使って絞るひろみちゃん
絞った後の木の花菌。phは3.5前後。乳酸発酵の甘酸っぱいやさしい香りがします。

木の花菌を絞りながら、ひろみちゃんはメンバーになった経緯を語りました。

「初めてここに来た後、当時旦那さんと1歳の娘がいたけど、私ここに滞在したいって言って、ひと月生活体験をしたの。それで、なんかいいな、なんか大事だな、という気持ちを持ってまた元の生活に戻ったんだけど、その後なぜかトントン拍子で離婚する話になってね。」

そしてメンバーになったものの、「自分はこの生き方を大事だと思っているのだから、簡単にここに住める」と思っていたら次々と自分のエゴが出てきて「非常に大変な時期が長く続きました。」

「私ね、人間は愚かしいものだって思ってたの。バカなことばっかりしてさ。でも、人間を愚かしいと思いながら、その中に自分が入ってなかった。自分もその中の一員で、同じように環境を汚染したり、地球を汚してるってことはわかってなかった。」

自分の実態を突きつけられて逃げ出したいような気持ちになっても、ジイジから「世界を変えることはできなくても、自分ひとり分、世界をきれいにできるんだぞ」と言われたひろみちゃんは、とにかくここに居続けることが大事なんだと自分に言い聞かせ、「必死にしがみついてた」と今は笑います。


*ひろみちゃんのお話の全容については「ひろみちゃんと木の花菌の物語」をぜひご覧ください。

木の花菌を仕込む時に心がけていることがあるかを聞くと、即座に返ってきた答えが「自分は無し」

「この世界はもともと美しいものだから、自分が余計なものを入れずに、ただこの世界の仕組みのままにこれが仕上がれば、必ずきれいなものができる。自分はそのお手伝いをするだけ。」

原料のビワの葉っぱの収穫

こういうものはこれからの時代にますます必要になってくるから、世の中により広がっていくようにという意識で関わっていくことが大事、とひろみちゃんは言います。そんなひろみちゃんの心に、印象深く残っているエピソードがあります。

「木の花菌を作り始めたのはジイジ。ジイジは40歳の時にそれまでの仕事をやめて、最初は慣行農法を勉強し始めたけど、慣行農法にはいろいろ問題があったから、有機農法に進んで、化学肥料ではなく堆肥を使うようになった。そこからさらに、もっと何か良いものはないだろうかって探していった時に、新聞の片隅に、EM菌を使ってスイカを育てている人の記事を見付けた。それで、そこに出かけて行ったところからジイジとEM菌の出会いが始まるんだけど、そこの家の近くの、何でもない道沿いの川とか、野の草とかが、キラキラして見えたんだって。何かが開かれる。そう感じたんだって。
何か大事なことに出会う時に、そんなふうに世界がキラキラして見えるって、すごいよね。」

そんなひろみちゃんにとって、農業のだいご味とは何かを聞いてみると ────

「土を踏んで、お日様を浴びて、作物に触れて、この世界の仕組みを感じられること。
私たちはひとつの太陽、ひとつの大地、ひとつの水、ひとつの空気、ひとつの風、ひとつの命・地球のもとに生きている。 そういつも言葉で語られていることが、土の上に立っているからこそ、本当だって全身で感じられる。」

学校がお休みになっている今、ファミリーの子ども達は毎日半日は勉強、半日は畑に出たりして、土に触れながら過ごしています。



今、世界中で様々な経済活動が停止していますが、どんなに経済が停滞しようとも、土と共に生きることに変わりはないのです。

これからも土と共に、天と共に生きながら、皆さんに美味しい野菜やお米を届けていきますね!(^▽^)

 


 

カフェ&ショップ ロータスランド

飲食部門一時休業のお知らせ


いつもロータスランドをご愛顧いただき、ありがとうございます。
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、閉店時間を早めての営業を続けてまいりましたが、現在の社会情勢を踏まえスタッフで話し合いを重ねました結果、4月25日(土)より、飲食部門を一時休業し、ショップのみの営業とさせて頂くこととなりました。
いつもロータスランドの食事を楽しみにしてくださっている皆さまへはご不便をおかけしてしまいますが、お持ち帰り用のお惣菜やパン、お弁当などをご用意いたします。また、おなじみのデザートやはちみつ、野菜、雑貨なども引き続き販売してまいりますので、どうぞお立ち寄りくださいね。

営業時間は以下の通り変更となりますのでご注意ください。

4月25日(土)より
ショップのみ営業 *飲食部門はお休みとなります
営業時間 9:00〜18:00
(定休日は毎週月曜日のまま変更はありません)

自家栽培の食材を使った菜食弁当、550円。数に限りがございますので、売り切れの際はご容赦を!
特設テントで野菜苗も販売中です♪

これからも、社会の動向に沿いながら、より良い店づくりに励んでまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします( ≧▽≦ )ノ

 


ひろみちゃんと木の花菌の物語 〜 世界を変えることはできなくても、自分は変えられる

木の花ファミリーでは、EM菌(Effective Microorganisms:有用微生物群)を種菌として独自に培養した「木の花菌」を、農業や日常生活の様々な場面で活用しています。この木の花菌の培養を担当しているのが、畑のエース・ひろみちゃんです。
ベビーフェイスでダンプカーを乗り回し、畑隊随一の仕事師であるひろみちゃんは、今から14年前にメンバーになり、ほどなくしてジイジ(当時はいさどん)から木の花菌の培養を引き継ぎました。木の花菌は、仕込みから三日おきに微生物たちに餌を与え(三三九度)、十日目で完成します。今日は、その十日目に仕上がった木の花菌を絞りながら、ひろみちゃんが語ってくれた話をご紹介します。

絞り機を使って木の花菌を絞るひろみちゃん

—— ひろみちゃんは、どうして木の花に来たの?

学生時代に、花や木の勉強をしていてね。花や木は食べるものではないから、野菜よりもさらにたくさんの薬が使われてたの。公園でも、たくさん薬を使って木を管理してた。それで「何か他にないのかな」って思った。こんなに薬漬けでイヤじゃん、て。その時に、EM菌というものがあることを知ったんだ。
当時は庭とか木に興味を持っていたから、こういうものでいろんなところを管理できるようになったらいいなって思った。それで調べてみて、卒業研究でもEM菌に関わることを取り上げて、ますますこれは大事なものだと思った。でも当時は店舗の設計や庭の施工の仕事をしていて、別に農業をしようとは思ってなかったから、それはそれで仕事に使うとか、お家で生ごみ処理をするとか、そういうことに使ってたよ。

結婚して子供ができて、ちょうどその頃、地域にEMの勉強会のようなものができて、そこに参加するようになったら、そこで「富士山麓でEMを使って有機農業をしてる団体があります」ということを聞いたの。へぇーと思って、どんなところか調べてみると、自給自足をしていると書かれてた。それで、おもしろそう、と思ってね。

木の花に来たばかりのひろみちゃんと、ジイジ

当時子供も生まれて、自給自足とか、自然に沿った生き方とか、健康な食事とかに興味を持ち始めていたところで、「私が見たいものがみんなあるかも」と思って、まあけっこうミーハーな気持ちでここに来たんだよね。当時はみちよちゃんとか、エコビレッジ運動に関わる人たちがどんどんやって来てた頃で、私はそれよりもちょっと先だったけど、彼らと同期。でも私は共同生活がどうとか精神性なんて全く考えてなくて、ただちょっと面白そうだな、とここにやって来たんだ。
そうしたら、ここには木の花菌というものがあった。それで、当時木の花菌を担当していたジイジの助手をすることになって、昔勉強していたEM菌を種菌にして培養する木の花菌に関わるようになったんだ。

木の花菌を絞りながら、ひろみちゃんは当時を振り返りました

—— 実際に来てみてどうだった?

最初は、EMの勉強会のツアーで50人くらいの人と一緒に来て、ご飯食べて見学してコンサートを聴いて帰るというものだったけど、実際に来てみて、「なんかおもしろそう」って思った。それで、当時旦那さんも子供もいたけど、「私ここに滞在したい」っていきなり言い出してね。それで旦那さんを置いて、1歳の娘を連れてここで生活体験をすることにした。その後旦那さんもここに来て、ひと月という時間を木の花で過ごすことになったの。そのひと月の間に、なんかいいな、なんか大事だな、という気持ちを持って、また元の生活に戻ったんだけど、元の生活に戻った時は、別にここに移住しようなんてことは全く考えてなくて、月に1回ぐらいの感じで遊びに行けたらいいなって思ってた。
だけどその後なぜか、とんとん拍子に離婚する話になってね。旦那さんは「あなたが木の花が好きなら、そっちに行ったらいいじゃないか」って言い出して。だけどね、それは本心じゃなかったと思う。だって私がいた方がご飯も作ってもらえるし、可愛い子供もいるしさ。そんなこと本心じゃなかったんだろうけど、旦那さんという人はそんなこと言っちゃって、それで私という人は「じゃあ行く!」と言っちゃって。なんかほんとにトントン拍子にそんな話になった。木の花にひと月滞在したのは、11月から12月にかけてだったかな。その後確か3月くらいに離婚することになって、5月には木の花に移住して、ここに住み始めたね。

—— 住んでみてどうだった?

(少し笑って)自分はね、ここに住めると思ってた。だってこの生き方は大事だ、ここで生きていくんだ、と思ってたから、簡単に住めると思ってた。それで最初はご機嫌で過ごしてたんだけど、そのうちにだんだん自分のエゴというか、ボロがどんどん出てきてね。住んでみて非常に大変だ、という時期が長く続きました。自分のことをいいものだと思ってたからね。みんなから自分の心のクセを伝えてもらっても、「責められてる」って思ったり、そんな非常に性格の悪い人でした。
でも、みんなにたくさん心をかけてもらって、時間をかけてもらって、ようやくみんなが言っていることが、だんだんだんだん、ちょっとずつちょっとずつ、わかってきた。自分がどれだけ大バカものなのか、ということが、ちょっとずつちょっとずつわかってきて、自分は本当にものが見えない人なんだ、ってことが、ここにいたからわかった。自分の実態を知って、さらには世の中のこととかこの世界の仕組みとか、もっと広い世界観を教えてもらって・・・・・ありがたいね。ありがたいというか、奇跡というかね、そんな生き方に出会ったことが「すごい!」って、いつも思ってる。

ここに来なかったら、本当にちっちゃな自分の家庭の枠の中で生きてた。それを思うと本当に「ありえない人生を生きているな」と思う。でもそれが、本当の人の生きる道なんだけどね。ここに来なかったら、きっと気付かなかったろうね。だから大事、というか、当たり前のプロセスの中にいるな、って思う。

—— 辛いと思った時に、何でやめなかったの?

確かその当時の世界の人口が60億人で、ジイジがこう言ったの。「世界を変えることはできなくても、自分は変えられるんだぞ。60億分の1、地球がきれいになるんだぞ」って。それを聞いて、そうか!って思った。
もうひとつはね、その自分の悪いクセは死ぬまで続くんだぞ、って言われて、「そうなんだっΣ(´Д`; )」って思ったの。さらにはね、死んでも魂として残るんだぞ(※)、って言われて、「えーーーっっΣ(`Д´;ノ)ノ」て思って、そうか、じゃあ今やるしかないんだ、って(笑)。逃げられるものなら絶対逃げ出してたと思うけど、どこに行ってもその自分からは逃げられないんだってことがわかって、じゃあここでちゃんと心を磨くことが一番大事なんだって思ってね、ここに居続けた。その時には、世の中を良くしようとかそんな思いはなくてさ、実は。最初はね、世の中を良くしようと思ってここに来たけど、どうやら自分はそんな器のものではないということを知ってからは、もう逃げ出したいーーやだーーって思ったりもしたけど、でもここにいることが大事なんだーー、って、必死でしがみついてた。そんな感じだった。本当に、人の言うことがわからなかったからね。

※人間の一生と魂の仕組みについては、全4回シリーズの「21世紀の死生観」をご覧ください。

—— 木の花菌を仕込む時に何か心がけていることはある?

この世界はもともと美しいものだから、自分が余計なものを入れちゃいけないって思ってる。ただこの世界の仕組みのままにこれが作られれば、必ずきれいなものができる。自分はそのお手伝いをするだけで、できるだけそれそのものの、美しいまんまで仕上がるといいなって思ってる。そこに、自分は無し!

仕込みから十日目の、完成した木の花菌

これができるまでの物語もおもしろくてね。
木の花菌を作り始めたのはジイジで、その時のことをよく語ってくれるんだけど、ジイジは40歳の時にそれまでの仕事をやめて、最初は慣行農法を勉強し始めたんだよね。だけど慣行農法にはいろいろ問題があったから、有機農法に進んで、化学肥料ではなく堆肥を使うようになった。そこからさらに、もっと何か良いものはないだろうかって探していった時に、新聞の片隅に、EM菌を使ってスイカを育てている人の記事を見付けた。それで、そこに出かけて行ったところからジイジとEM菌の出会いが始まるんだけど、そこの家の近くの、何でもない道沿いの川とか、野の草とかが、キラキラして見えたんだって。これから出会うものの何かを感じて、そんなふうに世界がキラキラして見えた。何かが開かれる。そう感じたんだって。
私、そのキラキラして見えたっていうのがすごく印象深かったの。EM菌との出会いは、とても大事なものだったんだと思う。何か大事なことに出会う時に、そんなふうに世界がキラキラして見えるって、すごいよね。

そこでちょっとEM菌をもらってきて、実際に使ってみたところからいろいろ研究が始まるんだけど、とにかくいろいろ試行錯誤して、最終的に今の木の花菌ができた。私がジイジから木の花菌仕込みを引き継いでから、余計なこともいろいろやったけど、それもそぎ落とされて、結局シンプルな形に戻ったなって思う。
今年は、木の花菌を仕込むタンクを新しいものに作り変えた。木の花菌の培養には、30度72時間という温度をかける必要があるから、当初は仕込み用のお風呂場で風呂釜にお湯を張り、その中にタンクを入れて培養してたの。でも3年くらい前に専用のタンクを作ってもらって、タンクの中に加温装置を入れて培養するようになったんだ。だけどそれだとタンクの中全体が均一に温まらなくて、加温装置の周りに焦げたようなものがくっついたりしてね。それでも「せっかく作ってもらったんだから、これでやらなきゃ」と思って続けてたけど、やっぱりうまくいかなかった。

お風呂を使って培養していた初代木の花菌タンク
中に加温装置を入れた2代目木の花菌タンク

それで、もう一度前のやり方に戻そうと思って、お風呂場のやり方を再現しようとしたら、ジイジからクレームがついたの。あの頃はお風呂でやるのがその時できる最良の方法だったからそれを使っていたけど、別にそれがベストなわけじゃないんだぞ、って。お風呂では、タンクの上半分がお湯から出ていたから、温度が均一にならなかった。それで今度はタンク全体がすっぽり入るくらいの大きな容器を探してきて、それにお湯を張り、その中でタンクを温めるようにしたら、すごくうまくいくようになった。液をすくい取るのも、最後に洗うのも、前よりずっとやりやすい。

全体が均一に温まるようになった現在の木の花菌タンク

私はただ昔のお風呂と同じものを作ろうとしていたけど、そうしたらそこに進化は何もなかった。うまくいかなかった前回の装置だって、お風呂でやっていたところから進化させたということで意味があるんだってジイジが言ってた。やっぱりいろいろ考えて、試してみて、ダメだったらまた次のやり方を考えるというシンプルなことなんだよね。状況なんてどんどん変わっていくから。木の花菌は木の花菌で確立されているから、仕込む内容を変えるとかいう余計なことはしなくていいことがわかったけど、物事に対して進化させていくのはすごく大事だと思った。いつまでも同じじゃなくて、常に考えて新しいことをやってみて、結果をもらって、また考えていく。ずっと同じでもいいというものもあるんだろうけれど、今はよいものでも、いつかは賞味期限が来る。だから、何にあたるにしても、常に進化させていく姿勢が絶対に必要だって思う。今は原理原則に沿っていても、明日は違うかもしれない。

いろいろ試行錯誤があったけど、やっぱりこういう技術って、この先ますます必要になってくることだから、世の中により広がっていくようにって意識で関わっていくことが大事だと思ってるよ。

私ね、人間は愚かしいものだって思ってたの。バカなことばっかりしてさ。でも、人間を愚かしいと思いながら、その中に自分が入ってなかった。自分もその中の一員で、同じように環境を汚染したり、地球を汚してるってことはわかってなかった。
ここに来て、人間は愚かなこともするけれど、その智恵をいい方に使っていけば、いい世界を創っていくことができるってことがわかった。自分の心の向け方次第で、世界を変えることができる。それは人間にしか与えられていない能力だよね。
作物にしても、これからきっと環境はどんどん厳しくなるだろうけど、そういう厳しい時代であっても、人間の叡智を使って、いろんな作物がある中でふさわしいものを選んでいったら、うまくいくものは絶対にあって、みんなで健康に幸せに生きていくことはきっとできる。本当に、神様はいつも共にあって、みんな与えてくれていて、こういった厳しい時代でも、私たちが生きていくためのヒントは必ず常に与えられている。だから心をきれいにして、直感でそれを感じ取って、うまく利用していくだけのことだよな、って思う。これから環境がどんどん変化していくから、ますます自然から「いただく」ということをやっていかないと、人間の力で作物を育てるのもだんだん厳しくなる時代がやって来るよ。

—— ひろみちゃんにとって、農業のだいご味って何?

やっぱり土を踏んで、お日様を浴びて、作物に触れて、この世界の仕組みを感じられること。その中に生きてるんだー、って思えること。
私たちはひとつの太陽、ひとつの大地、ひとつの水、ひとつの空気、ひとつの風、ひとつの命・地球のもとに生きています ————— そう、いつも言葉で語られていることが、本当なんだって思える。土に触れているから、それが本当だって、全身で感じられる。

ここに来た時には、よくわからないけどこの生き方が大事なんだって、ただ信じる心でやってきた。でも今、その意味をわかって、確信を持って生きていくことが大事なんだって言われ始めた時から、自分なんかがここにいるのはちょっと信じられないとかそんな気持ちもあったけど、ここからいいものを世界に発信していくんだって意識を持って日々を生きていこう、って思うようになった。本当に、みんなの手を煩わせて、心をかけてもらって、今でもまだいろいろあるけど、本当にちっちゃな自分が、ちょっとずつ周りが観えてきて、人が本来生きる道が今、明快に観えてきてる。だからそこに向かっていくんだって、今は思ってるよ。

 

畑のエースの心磨きの道のりは続く!