続きまして、今回のサミットの“大人”側参加者、
わたわたのレポートをご紹介します。
わたわたは自然農法国際研究開発センターの研究員です。
知性と感性を兼ね備えたわたわたのアドバイスは、
ファミリーの農業の大きな支えになっています。
今回、26日午後からの大人サミットに参加予定だったわたわたは、
早めに到着したため、午前中に行われていたユース・ビジョン・サミットにも参加し、
その時の感想を以下のように綴ってくれました。
* * * *
木の花に着くと、ユースビジョンサミット(YVS)がまだ行われていたので、
午前の部の最後1時間ほど参加しました。
20代の10名ほどの若者たちが繰り広げる語り合いに驚きました。
自分たちは地球のため、社会のために何ができるのか、
それを具体的な何をするかを出し合うよりも前に、
地球のため、社会のためっていうことは自分にとって何なのか、
そこにどういう心で向き合うのか、
既存社会の様々なシステムやひずみ、運動をどう位置づけるのか、
どう見るのかを話し合っていたのです。
それを自分たちの共通認識として落とし込み、
視座の共有をすることができれば、自ずと方向性が出てきます。
何をやりたいかの前に、なぜやるのかを徹底的に話し合うのです。
それは誰か特定のリーダーからの投げかけでもなく、
昨日初めて顔を合わせたメンバーでのやりとりの中から
自然にやり始めていたのでした。
共通のビジョンは、立体的で時間軸もあって、
語り合いの中から形にしてきたというイメージの絵は
サツマイモ(安納芋?)と宇宙(銀河)。
そのサツマイモはわたわたに朝降りてきた
社(やしろ)のイメージと重なるものでした。
彼らの結論は、中心の「 」(カギ括弧)には、
それぞれ調和とか悟りとか、
多様性とか愛とか好きな言葉を入れることができる。
これからの地球社会が目指すもの、
それは話し合っていけばみんな同じになる。
いきなり悟りという言葉を入れて完成させるのではなく、
不完全こそが完全であり、
不完全をやっていくプロセスがゴールであるというものでした。
みんなが違うこと(多様性)と
みんなが共感し分かり合っていく調和とが融合すること、
社会のひずみも弱者もみんなが役割として活かしあえるための
共通の目標が「 」(カギ括弧)。
でも彼らはその「 」をストイックに目指すのではなく、
そのちょっと手前の「いい塩梅ゾーン」で高い精神性を持ちつつ
日常を送りたいという結論(自立型調和世界というビジョン)に
至ったようでした。
「いい塩梅ゾーン」面白いなと思いました。
農業について言えば、
一番外側に社会の中で細かく分断された流通の部品のような農業や植物工場、
中心に向けて、有機農業、自然農と並ぶというのですが、
「いい塩梅ゾーン」では逆に農業のやり方は何でも良いと。
心が伴っているなら、自ずと良いものになるだろうし、
環境にも配慮されたものになるだろうということです。
この辺りの考え方はわたわたとも共通だなと思いました。
どういう心で取り組むかが、
その農業に必要な技術も人も生態系ももたらすのでしょう。
その心のもとにやって来るものをいただいて結びつけ、
積み上げていけば、それが農法になるでしょう。
午後からは木の花ファミリーのWelcomeコンサートを経て、
YVSと大人サミットとの合同企画として、
まずYVSからの彼らのビジョンのプレゼンがあり、それを受けて、
大人とユースとが入り交じって、グループディスカッションを行い、
それを再び全体でシェアしました。
ユースが紡ぎ上げたビジョンは、
自分たちはこの世界をどうみるのか、
世の中のそれぞれの動きをどう捉えるか、
その上でこれからを生きるものとして、
さらに次世代へつなげるためにどう動いていくのかというものでした。
いわば世界観が説明されたと思いました。
これに対して大人サミットのメンバーからは、
「で、何をするの?」
という具体的に何を成していくのかという質問や、
自分の活動分野を早く築いていったらいいというアドバイスがあり、
ユースから説明された世界観自体はすでに世の中に出されているものがある
という意見が出されました。
大人サミットのメンバーの多くは、
世の中で一定の活躍をしてきた人たちなので、
何かをやり遂げてきた結果、精神性の大事さに気づき、
それを木の花との交流から深め、
その大事を活動を通じて世の中へ発信していこうと集っている人たちです。
彼らにとっては、具体的に何をするのか、
どんな分野を活動の場にするのかに関心があるのでした。
何をするかからその人の考えに共感したり共鳴してきたという生き方が
背景にあるのだと思います。
これに対してユースの考え方というのは、
具体的に何をやることにも関心はあるんだけど、
特別に変わったことをしなければならないという意識ではなく、
やること自体はどこにでもあることでも良いのだけど、
それをどんな心のもとで行うかに強い意識が向いている
ということだと思われました。
何をするにしても、仲間となぜそれをやるのかを共有していることが大事で、
それさえ整っているのならば、
すでにそこはコミュニティであるという意識なのです。
大人サミットメンバーはそれぞれ独自の道を築いてきた過程で
人間関係の衝突や競争、葛藤を経て、正直さや素直さの大切さ、
自らを振り返ることを学んできたのに対して、
ユースの若者は他人と衝突するとか競争するという感覚が弱くて、
初めて会った人ともいきなり地球意識の話や
人間が歩んでいく方向について語り合うことができるなど、
心のうちをシェアすることが自然にできる感覚がある。
相手にベクトルを向けて自分を際立たせるのではなく、
ベクトルは未来に向けて仲間は横並びで手をつなぐという
意識の違いがあると思われました。
この合同企画後、大人サミットはいつも通りそれぞれの活動報告があり、
ユースは集まってさらに会合をしていました。
活動報告では、合同企画で示されたユースのビジョンを受けて、
それぞれの今後の取り組みにどう活かしていくかも話に加えました。
またユースたちは、
大人サミットメンバーからの具体的な活動についての問いに対して、
短時間にそれぞれの活動の方向性をまとめて発表してくれました。
双方ともに大いに影響を受け、
大人サミットは改めて大人サミットの意義や目的を思い出すことができたし、
ユースはビジョンの現実化に向けた取り組みを始めようというところまで
意識が進み、具体化・現実化がぐっと近づいたように思われました。
今回の大人サミットの日程は、金星・地球・太陽・水星・木星が
射手座-牡牛座方向でほぼ直線的にならんでいました。
直感や感性が仲間とさっと共感されるタイミングだったし、
火星も天秤座にいる土星と結びつつあって、
その動くべき方向が社会の枠組みやこれまでの積み上げを背景に
調整されようとしているタイミングだったのだと思いました。
細かなアスペクトを拾って見ても、
今回のサミットの流れそのものに見えました。
ここからそれぞれに新しい時間が刻まれていき、
再びどこかでまた独特の雰囲気の会合が持たれるのでしょう。
人の動きも太陽系も一緒だなと思いました。
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※全文はわたわたブログに掲載されています。ぜひご覧ください。