日韓・地球会議 ~ 平和編

一人ひとりが自分のみこと(命・神)を育てていく時代

思いがけず韓国人のソミンちゃん(10歳)がいさどんと話す機会を得て以来、ソミンちゃんはいさどんに質問する内容をたくさん考えていました。それから1週間後の8月7日、ソミンちゃんは再びいさどんと話す機会を得ました。その場には韓国人のシャンリン(10歳)とイエヨンちゃん(8歳)、それから、ひみこ(8歳)とみこと(11歳)もいました。

*写真は8月9日にみんなで一緒に川遊びに行った時のものです。

 

ソミンちゃん:
昨日は広島に原爆が落ちてから71年が経った日だったね。原爆の原因は日本とアメリカが戦争をしたからだと聞いたけれど、日本とアメリカはなぜ戦争をしたの?

いさどん:
人は自分が得することを考えるでしょ?昔の人たちも、国が他の国を侵略して、自分たちが得することばかり考えていたんだよ。たとえば、アメリカやイギリス、フランス、ポルトガルといったヨーロッパの国は世界中を植民地にしていた。100年くらい前、日本もそういったヨーロッパの国と同じように、韓国や台湾を植民地にしていたんだよ。

シャンリン:
え~!!

いさどん:
それはね、軍隊という戦争をする力が強い国が、外国を自分の植民地にしていたんだよ。日本が外国を植民地にしようとしたときに、他の国たちは日本にそうさせないようにしたでしょ?それで戦争が始まった。どちらも、自分が正しいと言ってね。でも、たとえばお友達とケンカするときでも、ケンカをする両方が悪いよね。

原爆が日本に落ちた理由としてはいろいろな考え方があって、アメリカは「このまま戦争を続けていくと、もっとたくさんのアメリカ兵や日本人が死ぬから、新型爆弾で戦争を終わらせようとした」と言う。しかしあの頃は、世界中が新しい爆弾や兵器を開発しようと競争していて、アメリカがそれを一番最初に成功した。それで作ったからには、どのくらいの威力があるのかを試してみたかったんだよ。

いさどんは広島の原爆資料館に行ったことがあるよ。だいたい半径2kmくらいの丸い円の中は、ほとんどの建物がなくなった。原爆はたくさん人が住んでいる都市の上に落ちたんだよ。

ソミンちゃん:
原爆は重い?それとも軽い?

いさどん:
広島に落とされた原子爆弾は長さ約3m、重さ約4トンと言われているね。今はもっと小型化しているよ。

ソミンちゃん:
日本が間違ったから、原爆が落とされたと思うけれど、アメリカも間違ったことをしたと思うよ!

いさどん:
アメリカは原爆を落として戦争に勝ったんだよね。戦争をして勝ったほうは、正しいとされる。それでアメリカはその後もずっと、「自分は正しい」と主張して、戦争を続けているでしょ?ある意味、負けたほうがもう戦争をしなくていいから、良かったとも言えるよね(みんな、笑)。

いさどんは原爆資料館へ行ってみて、原爆が意外とコンパクトに狭い範囲を集中的に破壊する爆弾だと思ったのだけど、どのような理由があったとしても、あのような破壊力があるものを人がいる上に落としてはいけないと思ったよ。

爆弾を下で爆発させると、地面の表面にしか広がらないでしょ?だから、上空600mのところで爆発させると、その威力が空中の広い範囲に広がるから、上空で爆発させたんだよ。

ところで、原爆の仕組みは原発の仕組みとそれほど違わないことを皆は知っていたかな?どちらも核融合という技術を使って爆発させるんだよ。それで、原子爆弾の元の仕組みがどこにあるか、知っているかな?毎日、原子爆弾が破裂しているところがあるんだよ!それは地球上ではありません。それは宇宙にあります。

みこと:
太陽!

いさどん:
そう!太陽です。太陽は水素という物質が核融合することによってヘリウムに変わっていくという仕組みで、ずーっと光を放ち続けているんだよ。だから、原子爆弾は恐ろしいと言うけれど、その無限に大きなものが太陽なんだよ。

太陽はいのちの元でしょ?みこと(命)の元だよ。わたしたちは皆、核融合の子どもなんだよ。地球は、核融合という技術を太陽からもらい、神様がみこと(命)として降りてきた姿で生きる世界なんだよ。ところが、その最も大切な技術を人間が自分たちにとって都合良く、小さなスケールにして使うようになったものが原子爆弾なんだよ!その目的はいっぺんにたくさんの人を殺すことだ。

元々、神様は地球上にこれほど豊かないのちの世界、みこと(神)の世界を創ろうとした。そのような星は宇宙にここしかないんだよ!それなのに、人間が皆平等で平和な世界を生きるように創られたその仕組みを人間が科学して、「こういうふうに使ったらこんなにエネルギーが得られるぞ!」と言って、戦争でいのちを殺すために、その仕組みを利用したんだよ。だから、人間の心は曲がっているね。

そんな原爆はないほうがいいよね?でも、人を殺すナイフや銃ならたくさんあってもいいのかといったら、そうは言えない。人間が「自分さえ良ければいい」と思って、人を傷つける存在であることが問題なんだよ。

ソミンちゃん:
でもね、生きていて1回も他人を苦しめていない人はいないでしょ?

シャンリン:
いさどんは1回も他人を苦しめていないんじゃない??

いさどん:
ハッハッハ。苦しめる人がいるとしたら、苦しむ人がいるわけだよね?苦しめることも悪いけど、自分で苦しむような人生を歩む人もいるんだよ。だから、苦しめることもいけないけれど、わざわざそういう人生を選ぶ人も良くないね。そこを考えないといけない。

ソミンちゃん:
苦しむ人はなぜいけないの?

いさどん:
たとえば病気で苦しむとするでしょ?病気になるということは、運が悪くて病気になったのだろうか?

ソミンちゃん:
体の免疫力が落ちたから、病気になったんじゃないかな?

いさどん:
そう、そのように病気になる理由があるんだよ。病気になるように毎日を生きていることが原因で、人は病気になることが多い。たとえばね、国が戦争をするでしょ?そうすると、そこで暮らしている国民が戦争にまきこまれる。何も悪いことをしていないのに、戦争にまきこまれて死んでしまう人もいるよね。そのときに、「なぜ自分はこの国の人に生まれてきたのだろう?」と深く考える必要があるんだよ。

人はね、「自分は悪くない」と思いたいんだよね。生きているといろいろなことに出会うけど、皆、出会うことにふさわしい生き方をしているんだよ。だから、辛いことやいろいろなことに出会ったときに、相手に問題があると観ることが必要なときもあるけれど、その前に自分のどこに問題があったのかを観る必要があるね。

ソミンちゃん:
だから、原爆を落としたアメリカも反省する必要があるし、原爆を落とされた日本も反省する必要があるね。

いさどん:
そうだね。だから、日本は原爆を落とされたかわいそうな国ではないんだよ。日本もあのような愚かな戦争をしたのだから。「なぜ原爆が落ちたのか?」と考えたら、そのようなものを落とされるまでの戦争をしたのだから、日本人もたくさん反省しないといけない。

今、世界中の人々が自分のことばかり考えているでしょ?だから、人間は皆、反省する必要があるね。これからは、皆で分け合って助け合いながら暮らしていく時代だからね。

シャンリン:
わたしだったら、運が良いから原爆が落とされても死なないと思うよ!

いさどん:
ハッハッハ!シャンリンは運が良いから死なないかもしれないね(笑)。あなたはまだ10歳だけど、自分の魂のことをわかっているんだね。

でも、韓国は北朝鮮のことがあるから、いつ戦争があるかわからない状態だね。

みこと:
戦争が起きたら、木の花に来ればいいよ!

ソミンちゃん:
今、アメリカと日本はお互いに自己反省をしているのかな?

いさどん:
まったくしていないね。

ソミンちゃん:
相手のことを責めているの?

いさどん:
日本はアメリカに負けて、それでアメリカと仲良くなって、今は戦争で戦うよりも、お金もうけで競争しているね(みんな、笑)。

ひみこ:
いさどんに質問があるよ!なぜジャンヌダルクは戦争をしたのかな?

いさどん:
ジャンヌダルクは今から600年くらい前の人だよ。神のメッセージを受けたとしてフランス軍について、イギリスと戦った。ジャンヌダルクは戦争をリードした人だから、あまり良くないね。

ひみこ:
そうだね!

いさどん:
ひみこはなぜジャンヌダルクに興味があるのかな?

ひみこ:
ジャンヌダルクの本を読んだから!ひみこは少し泣き虫だからね、ジャンヌダルクやアンネフランクの本を読んでいて、戦争のところを見たら涙が出てきてね。ジャンヌダルクが火あぶりになったときも涙が出て、アンネフランクが死んだときも涙が出たよ。

いさどん:
この間、神話の話をしたでしょ?神話は、そのときの権力を持っている人たちに都合の良いように作られると言ったよね?だから、ジャンヌダルクの物語もアンネフランクの物語も、後の政府や人々にとって都合が良いように作られたものなんだよ。だからね、本に書いてあることがすべて本当だと思うと、結構違うことがあるんだよ。

シャンリン:
ギリシャ・ローマの神話もあるでしょ?それは話にならないから、偽物だと思っているよ!

いさどん:
ハッハッハ。そうなんだよ。

ひみこ:
え~!!どんなことが違うの??

シャンリン:
神様が雷を打ったり、愛のキューピッド(ローマ神話の恋愛の神)によって人が恋に落ちるとか、そういう話はすべて嘘だと思うよ(みんな、笑)!

いさどん:
物語としては面白いけどね(笑)。

ソミンちゃん:
次の質問をしてもいいですか?

いさどん:
どうぞ♪

ソミンちゃん:
わたしは歴史が好きなのだけど、歴史から昔の人のことを学ぶことは今の人にとって役に立つのかな?

いさどん:
それはね、ここでいさどんが皆に伝えている歴史の読み方がわかるといいのだけど、今までの歴史は戦争をしたりいろいろなことがあって紡がれてきたね。ものが豊かになって、便利な世の中になることも、競争の中で行われてきた。それに、今のいろいろな技術は、戦争のための軍事技術から生まれてきたんだよ。

たとえば、お医者さんは大切な職業だと思うけれど、お金を目的にお医者さんになった人たちは病気がなくなった社会ではお金持ちになれないから、お医者さんにはならないよね。多くの人たちが一生懸命勉強するのは、世の中を良くするためではなく、自分がお金持ちになるためだよ。そして、豊かな国はどんどん豊かになっていくし、貧しい国はどんどん貧しくなっていく。お金持ちになる人はどんどんお金持ちになって、貧乏な人はずっと貧乏で人生を終わっていくね。そういった社会を創っていく人とは、どういう人たちだろうね。

さっきの神話の話でも、英雄の話でも、その人たちは本当に良いことをしたのかといったら、結局人や国を支配し、戦争に勝つことが良いことだと言っていることになるんだよ。だから、今までは表面的には良いことのように見えても、世の中を悪くしてきた時代だった。

たとえば一番わかりやすい例として、宗教があるでしょ?宗教の本当の目的は、人々が正しい心を学び、平和な世の中を創ることなのだけど、今は自分たちの教えの違いによって宗教が争いの元になっている。そういった意味では、自分が良いと思ってやってきたことが世の中を悪くしてきたんだよ。それはなぜかというと、「自分は正しくて他人は間違っている」と考えるからだね。

それでね、今から約3年半前の2012年12月21日というトキを境にして、地球上の価値が変わったんだよ。だから今は、世界中の国のリーダーたちが隠れて悪いことをしてきたこと、特にアメリカが世界を支配するために影でたくさん悪いことをしてきたことがどんどん出てくるようになった。このように、自分にとって都合の良いことを内緒でたくさんしてきた人たちがいたんだよ。

それで、その2012年のトキを境にして、時代は隠されてきた本当がわかるような時代になった。だからね、今までは悪いことをしても、良い人のように見えていたのだけど、これからは本当に世の中を良くする人たちが現れるようになる。

シャンリン:
リンカーンはそういう人だったと思うよ!

いさどん:
ハッハッハ!リンカーンはどうかな~?シャンリンはそういう本を読むからだね。シャンリンがもっと大きくなったら、リンカーンが本当に良い人かどうかという話をいさどんとするとわかるかもしれないね。

なぜなら、アメリカという国は奴隷をアフリカから連れて来て栄えた国でしょ?あまりにもひどい国だから、リンカーンが奴隷制度に反対したのだけど、なぜリンカーンが奴隷制度に反対したのか、わかるかな?それは、南部のほうの畑で働く労働者が必要だったから、奴隷が連れて来られたんだよね。でも、北部の工業化された都市で働く人たちには奴隷がいらなかったから、リンカーンが反対しただけで、もしそれが逆になっていたら、リンカーンはそうは言わなかったかもしれないよ。彼が南北戦争で勝った側の人で、大統領だったから、本には立派に書いてあるんだよ(笑)。

ソミンちゃん:
リンカーンの後の大統領たちが奴隷たちにもっと良い法律をつくってあげたらいいとわたしは思うよ!

いさどん:
そうだね、でもそれはもう過ぎてしまったことだからね。リンカーンが「人民の人民による人民のための政治」と演説したことで、民主主義ができたでしょ?でもね、その民主主義が今、とても暴走し、人々は個人のお金もうけのために欲を膨らませてしまい、環境は破壊するし、お金持ちになることだけが良いという世の中ができてしまったじゃない?

だから、一人ひとりが「良い世の中とはどういうことなのかな?」「自分がやっていることは本当に良いことなのかな?」と振り返ることが大切だよ。今、多くの人間たちは、自分が間違っていても自分が悪いと認めたくないんだよ。だから、世の中が良くならないね。

10歳くらいでこのような話ができるあなたたちは、これから先、良い世の中を創ると思うよ♪だから、いさどんと一緒に良い世の中を創ろうね!

シャンリン:
どんな大統領なら、良い大統領なのかな?

いさどん:
たとえば民主主義のように選挙で選ばれる政治家や大統領は、まず自分が選ばれないといけないでしょ?そうすると、政策が正しいとか正しくないということではなく、同じような考えの人々がたくさん集まりその人が多数決で勝てば、代表になる。だから、民主主義は良い政治をするとは限らないんだよ。それから、民主主義の代表はある意味、いつも国民のご機嫌を取らないといけないでしょ?世論調査の支持率をいつも気にしていないといけない。だから、本当に良い国を創ることが民主主義の社会とは限らないし、民主主義の国の大統領や総理大臣が良い政治家とは限らないことがわかってきたね。

ソミンちゃん:
韓国には大統領がいるでしょ?日本には総理大臣がいるでしょ?イギリスには女王がいるでしょ?

いさどん:
日本にも天皇陛下がいるね。天皇陛下がいるから、日本もイギリスと同じで、首相がいるシステムになっているんだよ。

ソミンちゃん:
それで平均的に観たときに、どのシステムが一番良いのかな?

いさどん:
いさどんはね、今、地球上にある民主主義や共産主義といった制度はすべて、変わるときが来ていると思っているよ。

ソミンちゃん:
それはどのように変わるのかな?

いさどん:
一人ひとりがこの世界や地球、そして自らの行いに責任を持つ生き方をしないといけないといさどんは思うんだよ。たとえば政治家や国に対して、自分にとって都合の良いことをやってほしいと願うのではなく、自分が何をしたら世の中が良くなるのかを考え、一人ひとりが責任を持って生きる社会が来なければいけない。

あなたと話していると、あなたはそういうことがわかっていると思うよ♪

ひみこ:
いさどんに質問があるよ!総理大臣になるには何をすればいいの?

いさどん:
国民が喜ぶようなことばかりすればいいんだよ。

ひみこ:
たとえば?

いさどん:
皆にたくさんお金をあげたりね(みんな、笑)。その代わり、そんな総理大臣が現れたら、国はすぐにつぶれてしまうけどね(笑)。

シャンリン:
もしわたしが大統領になったらね、ルイ14世みたいにお金をたくさん使うのではなく、漫画の本だけ買って、あとは皆にあげるよ!あと、自分の好きな動物をたくさん育てて、動物と一緒に暮らす幸せな生き方をしたい!シャンリンは動物が好きなの!

いさどん:
ハッハッハ。それなら動物王国をつくったらいいね♪でも、人間にとって都合の良い動物王国を創るのではなく、地球は元々いのちの星だから、動物王国なんだよ。だから、人間が他の動物たちのことを考えて生きれば、動物たちが喜ぶ地球になるよ。あとは、シャンリンみたいな人を皆が大統領に選んでくれるかどうかだね(笑)。

ソミンちゃん:
もしわたしが大統領になったらね、素朴に生きて、自分と家族が自分を振り返る生き方をして、政治家の人たちが悪いことをするのをすべて防いでいけばいいと思うよ。

いさどん:
そのためにはね、国民がそういったことを大切だと思うと、あなたのような人を大統領に選ぶんだよ。民主主義というのは、国民がどのような国を創りたいのかにかかっているのだから、国民一人ひとりが正しい人にならなければ、良い世の中にはならないんだよ。

だからいさどんは、「一人ひとりが自分と向き合って、心を綺麗にしましょう」と皆に伝えているんだよ。

ソミンちゃん:
質素に生きる大統領が選ばれるためには、質素に生きることを大切だと考える人たちがいないとダメだから、そういったことを教えてくれる教育者が必要だね!

いさどん:
そうだね、そういう人はひとりでも、皆のことを考える人だよ。皆が自分のことばかり考えて、「自分にとって良い世の中を創ってほしい」と想うと、自分のことばかり考える大統領が選ばれるんだよ。本当はね、世の中のことや地球のことを考え、「皆が仲良く、嘘のない平和な世の中を創りましょう。貧富の差をなくして平等な世の中にしましょう」と言う人が現れ、それを皆が「そうだね!」と言う世の中にしないといけない。

そのためには、一人ひとりが世の中のことや地球のこと、そして自分がどのように生きたらいいのかを考えられる人になることだよ。

みことというのは、いのちのことだからね。神社へ行って神様と対話するのと同じように、地球上にあるいのちはすべて神様であり、それは神様との対話なんだよ。そうやっていろいろないのちと対話しながら、心を通わせ、自分のみこと(命・神)を育てていくことが大切なんだよ。これからは、一人ひとりがそういったことをやっていく時代だよ。

ソミンちゃん:
では韓国に帰ったら、学校の友達にそういったことを教えてあげます!

いさどん:
それは良いことだね♪そして、それがなぜ大切なのかを広い意味で伝えられるといいね。広い意味というのは、たとえば「地球的にはこういうことだよ」とか、「あなたは特別なお金持ちにはならないかもしれないけど、その代わり皆が平等で平和な世の中を創ることになるよ」と伝えることだ。そういった本当の意味での良いことを、皆に伝えてあげることが大切だね。それは、あなたたちがこれからしていくことだ。そのために、またいろいろお話しして、その作戦を一緒に考えよう♪

ソミンちゃん:
もっとたくさん、いさどんとお話しできたらいいな♪

いさどん:
また話す時間を持とうね。

シャンリン:
明日、明日!

いさどん:
それなら毎日だ(笑)。明日は子どもミーティングで今日した話を皆に発表したらいいよ♪

ソミンちゃん:
はい!

――

そして、早速ソミンちゃんは翌日の子どもミーティングでいさどんとの話を皆に発表し、「わたしが『誠実で嘘をつかず、人のためによく働く人がリーダーになったらいいと思う』といさどんに言ったら、いさどんは『そういった人をリーダーに選ぶためには、人々がその意識になって、そういった人を選ぶようにならないとダメだよ。だから、まずは人々の意識を上げることが大切だね』と言いました。だから、わたしは人々の意識を上げるために教育者になりたいです」と報告しました。

ソミンちゃん曰く、「今度は韓国からお友達をたくさん木の花ファミリーに連れて来たいな!『木の花ファミリーに行ったら最高に賢いいさどんという人がいるから、その人とお話ししに行こうよ!』と言って、皆を誘うんだ♪」

 

 


日韓・地球会議 ~ いのち編

毎日どのような心で生きているのかが大切だね

7月26日から約1ヶ月間、木の花ファミリーに滞在中の韓国人のソミンちゃんは今、10歳です。今回、木の花ファミリーを訪れるのは初めてですが、お友達のシャンリン(10歳)、イエヨンちゃん(8歳)、そしてシャンリンのお母さんのリンリンと一緒に夏休みをここで過ごすことにしました。滞在中のある日、ソミンちゃんは思いがけずいさどんとお話しする機会が与えられ、早速ソミンちゃんはいさどんに質問を投げかけました。

ソミンちゃん(左)とイエヨンちゃん
ソミンちゃん(左)とイエヨンちゃん

ソミンちゃん:
いさどんに質問があります。神話というのは本当なの?

いさどん:
神話というのはね、昔からその国を支配する人たちが、自分たちが支配するのに都合の良いお話を作ってきたんだよ。

ソミンちゃん:
たとえばそれは、「わたしが神の子ども」という話とか?

いさどん:
そうだね~。しかしそれは、一人の人だけが神の子どもというよりも、人間は皆、神様の子どもということなんだよ。

ソミンちゃん:
それはなぜですか?

いさどん:
わたしたちは皆、いのちです。いのちは、「命(みこと)」と言って、それは神様のことなのです。それで、神様が人間の体をもらったときに、「命(みこと)」として地上に降りてきたのです。

ソミンちゃん:
神様が人間の体に入ったときに、人間になるよね。だから、神様は人間より自由なの。なぜなら、神様は体を持っていないから!

いさどん:
あなたは賢いね!だから、神様が人間の体の中に入ると、自分のことと他人のことを区別したり、ケンカしたりするでしょ?でも、神様のほうが体の中に入っていない分だけ、自由だね。あなたはとても賢いね!!なぜあなたはそういうことに興味があるのかな?

シャンリン:
6歳のときから本を読んでいるからじゃない?

いさどん:
それは本に書いてあったことなの?

ソミンちゃん:
本に書いてなかったことだよ。

いさどん:
そうだよね。今の話は本に書いていない、あなたが自分で思ったことだね。でも、あなたが言っていることは本当だよ。本に書いてあることは今までの本当だから、これから先へ行くと、「本当はこうだったね!」と本当が変わる可能性があるんだよ!

ソミンちゃん:
今日、いさどんとお話しすることをわたしが予測しなかったように、未来は予測できないものだからね♪

さっきいさどんが話していたように、人が区別をすることによって戦争が起きるけど、戦争をして得られることは何かあるのかな?わたしはないと思うよ。だって、他人の土地を得たとしても、失うものはもっとたくさんあるから。

いさどん:
それはとても良い考えだね。わがままで、自分のことしか考えない人は戦争をして、得をしたと思うかもしれない。だけどね、地球やすべてのいのちのことを考えたら、皆はひとつでしょ?そのひとつのいのちの中でケンカをするということは、たとえば体の右手と左手がケンカしているようなものだよ。だから、どちらが勝っても、どちらが負けても、それは自分のことだよね。だから、広い考え方を持つことが大切だよ。

ソミンちゃん:
戦争が起きたところは何もなくなってしまうね。

いさどん:
戦争は環境にとって最も悪いことで、一番自然を破壊する行いなんだよ。

ソミンちゃん:
科学技術がいくら発展したって、そうなってしまうんだね。

いさどん:
科学技術は戦争の道具を発明するために、発展したようなものだからね。これからは、戦争のために技術を開発していくことはやめるべきだ。

ソミンちゃん:
自然を破壊しないためには、どういう努力をすればいいの?

いさどん:
それは、皆がいつも自然を意識した生き方をするということだね。たとえば、普通の人が会社へ行って働いていると、自然は関係ない生き方だよね。皆、ご飯を食べるといっても、お米を生産するところにはまったく関わりのない生活をしているね。レストランへ行って食べることもある。そうやって、生活の中に自然と共にあることが少ないのが、今の多くの人たちの現状だね。

そこで、スーパーマーケットへ行って食べ物を買うときには自然を意識しないけど、自分で畑で作物をつくるときには、農薬のような毒を撒くかどうするか?そう考えると、自分が作物をつくるときには、自分の健康のことは考えるよね。そうやって、自然を意識するような生き方をすれば、自然に対して害のない生き方をしようと思うようになるものだね。野菜をつくるときに、「たくさんお金を儲けよう!」と考えると、農薬をかける人はいるけど、それを自分や他人が食べていのちにすると考えたら、毒は撒かない。

一番はね、人間は自分で生きているのではなく、この世界の中で生かされていることを知ることだよ。たとえば食べ物をつくるには太陽や土、雨などいろいろなものがいるでしょ。たとえば呼吸をするにも、空気がいるでしょ。ご飯を食べるのも、自分が食べたいから食べるのではなく、体がエネルギーを必要としていると発信するから、お腹が空くんだよ。それに、夜は眠らないといけないし、何もしなくても年はとっていくね。

だから、人間は自分で生きているのではなく、この世界の皆の中で生かされているんだよ。でも、多くの人たちは自分で生きていると思っているから、自然を大切にしない。

わたしたちが生きていると、トイレへ行ってうんちをしたり、おしっこをしたりするでしょ?食べることは皆、喜んでするけど、トイレへ行くことはないほうがいいじゃない?!

でもね、生きるとは、他のいのちをもらい、自分のエネルギーにして、そして余ったものは外へ出し、他のいのちに渡すという循環の中でつながっているんだよ。

今の人間は自分のことばかり考えるから、自然を大切にしないけど、自然と人間の仕組みを正しく理解したら、自分のために自然を大切にするようになる。

あなたたちがこれから大人になっていくと、そういったことを大切にする時代になる。木の花の人たちも、世の中の人たちより先にそういったことに気付き、それを大切にして生きているから、このような生活をしているんだよ。

ソミンちゃん:
いいですね!

いさどん:
あなたも将来、そういう生き方をしてね♪それにしても、あなたはすごいね。これは本で勉強したことではなく、あなたが心から想っていることだと僕にはわかる。あなたが大きくなったら、宇宙のことや人間の心のこと、それから人間が生まれてくる前の世界や生きている目的、そして死んでからの仕組みについてお話ししてあげるから、またおいでね。

ソミンちゃん:
わたしたちは死んだらどこへ行くの?

いさどん:
そうだね~、死んだらまず、あなたの体はこの世界へすべて還っていくね。毎日ご飯を食べるでしょ?そうすると、新しい自分が入ってくるね。そうやって新しい体をつくっていく。そして古くなったものは自然へ還っていく。だから循環といって、いつも自然と自分がぐるぐるまわり続けていく。その状態をつなげていくために、自分を束ねている魂というものがあって、今の自分を保っている。

人間には食べ物を食べ空気を吸ってできる体と、考え方や性格を表す心(魂)がある。体は見えるけど、心は見えないね。でも、たとえば好きなものを食べたり、好きな遊びをすると、心は表情という形を通して観えるんだよ。たとえば、性格が良いのも、人と仲良くしないで性格が悪いのも、心の表れで、それで毎日が楽しかったり、つまらなかったりするね。

それで、人は死ぬと、それまで毎日少しずつ変わっていた体が、今度はいっぺんに自然に還っていく。そうすると、心は形のないものだから、目に見えない心だけがそこに残るんだよ。もともと心というものは天から降りてきた。だから、自分が死んだのだとわかると、天に還っていく。でも、心は体のようにモノではないから、飛行機がなくても飛んでいけるよ(みんな、笑)♪

でもね、地上で生きている間に、「まだあれがしたい」「これがほしい」「まだ死にたくない」と言って十分に満たされて生きていないと、心だけになっても、地球のまわりで漂っていることもあるんだよ。そういう魂は天国へ行けないね。そして人によっては、天国どころか、地獄へ行く人もいる。地獄というのは、特別なところではないんだよ。生きている間に自分のことばかり考えて、不満や人と対立して生きている状態は、地獄に生きていることと同じだからね。

天国でも、神様のいるような高いレベルの天国もあれば、普通の人間が行くような天国もある。それはその人の心次第でどこへ行くかが決まる。それは、生きていた結果だよ。だから、毎日どのような心で生きているのかが大切だね。

 

 


思いがけないプレゼント〜Nくんのケア滞在記

先週、自然療法プログラム(通称ケア滞在)を卒業したNくんが、1ヶ月間の滞在を振り返り、体験記を書いてくれました!

 

「ケア滞在記」

ケアを受けるまでの経緯

元々、不眠体質であったが、不眠の症状によって仕事や日常に影響が出てくるようになり、2006年2月に病院受診、睡眠導入剤を処方される。それ以来睡眠導入剤を常用する事はなかったが、「睡眠のリズムが悪くなり、睡眠障害になる→睡眠導入剤でリセットする→元にもどる→しばらくして睡眠障害になる 」の循環を繰り返していた。睡眠導入剤の副作用として頭が締め付けられる感じがしたり、日中のだるさがあったり、睡眠導入剤を服用した後、一時的に記憶喪失になることがあったりと、薬の弊害を薄々感じていながらも、社会生活を続けるために薬に頼らざるを得ない状況が続いた。

2014年6月中旬頃から、それまで頓服として服用していた睡眠導入剤が手放せなくなり、導入剤がないと寝られない状態になる。今までこのような状態に成る事はなかったのでインターネットで調べてみると、向精神薬の薬害問題がある事を知る。医者は向精神薬を処方する事は出来るが、辞めさせる方法は知らない。向精神薬を辞めたくても、辞められないで苦しんでいる人達が大勢いるのだが、テレビ、新聞は積極的に報道しようとしない。

向精神薬の薬害を知るにつれ、薬を断とうと思うが、もがけばもがく程、症状は悪くなっていく。自分が今どのような状態にいるのか知りたくて、わらにもすがる気持ちでインターネット検索するが、ほとんどが不安で症状をこじらせ、不安を増大させるような情報ばかりであった。

そのような中、以前から定期的に目を通していた木の花ファミリーのいさどんブログを繰り返し読む事により精神を落ち着け、開き直る事により薬を断つ事が出来た。

2014年8月に仕事を退職。今後の事を考え、薬を断つ事は出来たが、根本の精神構造を変えなければ同じ事を繰り返してしまうと思い、木の花ファミリーの自然療法プログラムを受ける事を検討するが、苦手の集団生活に飛び込む事に対する躊躇から一歩を踏み出せないでいた。そのような中、家族の大病があり、それを自分を建て直すためのメッセージと受け取り、自然療法プログラムを受ける事を決意する。

 
ケア滞在中

自分は重篤な症状ではないのでケア滞在するに値するのか(自分視点の決めつけ癖ですね)という揺らいだ気持ちと集団生活への緊張感を抱えケアをスタート。初日の面談で最初の一週間は自由に過ごして良いとの事だったが、木の花での生活に慣れるためと、目の前の事に集中してエネルギーをきちんと使おうという思いから初日から作業にでる。

最初の一週間は緊張感から寝付けない事が多かったが場所のエネルギーと食事のおかげで不思議とエネルギーは有り余る感じだった。

一週間面談では、心の癖や出てきた現象に囚われ、その囚われを基に思考をぐるぐる回している事を指摘され、普段している思考が自分視点か客観視点かを仕分けする事を課題として与えられる。

その結果、自分に客観視点が殆どなく自分視点ばかりである事。自分視点とはそれが事実であり、自分にとって良いものという思い込みであるが、少し掘り下げて見ていくと、事実でもなければ、自分にとって良いものでもないという気付きを得る。

その気付きを得てから、自分の心の構造や癖がより明瞭に見えてきたり、今まで無自覚に心の癖に囚われていた状況でもその事に気付き、徐々に軌道修正できるようになっていく。

二週間面談では思考をぐるぐる回している状態から一歩出て外に出す事が課題として与えられる。その一環として大人ミーティングで心のシェアをする事や発言する事を提案される。大勢の前で発言する事は自分の苦手な事であり今まで避けてきた事であるが、越えなければならない壁であるので、実行する事にする。二週間面談の日と次の日に大人ミーティングで心のシェアをし、その場でフィードバックを貰い、新たな視点を得る事になる。

大人ミーティングで発言する事により客観的視点を貰い、大勢の前で発言する事に対する自信を少しずつ積み重ねる事が出来た反面、反動で滞在スタート時から続いていた不眠症状が悪化。殆どまる二日眠れない状況になり、サポーターのひろっちに相談。

急遽面談を持つ事に成る。面談では、人間眠れるようになっている。眠れないならずっと起きている事を提案される。いさどんの確信に満ちたアドバイスに背中を押され、それまでのネガティブスパイラルにはまりこんでいた状態から180度転換し楽観的に状態を受け入れる事が出来るようになり、その日のうちに眠れるようになる。また、長年思い悩んでいた睡眠障害の解決の糸口となる出来事であった。

三週間面談では安定してきた睡眠を継続させる事、自分の心の癖を持つにいたった原因を自己分析する事を課題として与えられる。自己分析したところ自分の狭い世界観(人間観)が心の癖を生んでいる事に思いが至り、世界観(人間観)を広げその事を基に生きていく必要を感じ、その入り口に立たされている事を実感する。

四週間面談ではおよそ7割方の改善が見られたため卒業が決定。1月20日に卒業コンサート、21日に卒業する。

 
ケア滞在を振り返って

とかくすぐに結果を求めがちな僕は、自分視点でみてケアの改善が進んでいない事や受け取った情報を消化しきれていない事に焦ったり、どうやったら自分をコントロールできるだろうかとテクニック的な事に目がいきがちでした。そうやって相変わらずエネルギーを空回りさせ、浪費させている様は傍から見れば、さぞめんどくさく映ったかもしれません。

一方で、木の花から帰ってきてもまだ自分の中に持続しているエネルギー感は何だろうと思い、考えてみると責任という言葉が浮かんできました。

なんとも自分にそぐわない言葉ですが、どういう事かというとケア滞在中に与えてもらった有形無形のあらゆる事をきちんと実らせて他者に与えられるようになろうという事です。そのモチベーションがエネルギーとして自分の中にあるのを感じます。

考えてみればこのような事は人の輪の循環の中にいれば普通に体感する事かもしれませんが、自分にはそれが欠落していたのだと思います。

ケア滞在中に与えられた課題は僕のそのような有り様を見抜いていたいさどんが、循環の中にいる事の大事さに気付かせるために投げかけた物だったと思います。そのように思いが至り、僕は思いがけず大事なプレゼントを貰った気分です。

最後に数々の絶妙な気付きを得るきっかけを作ってくれた、主治医のいさどん、ケアコーディネーターのようこさん、サポーターのひろっち、メンバー及び長期滞在の皆様、木の花の建物や畑や富士山や自然に感謝します。本当に有難うございました。

どんど焼きの日 宮ノ下広場にて
どんど焼きの日 宮ノ下広場にて

 

 


病は気からではなく、病は誤解から! ~自然療法プログラム・Nくん物語

Nくんが初めて木の花ファミリーを訪れたのは、今から3年前のことです。当時、Nくんはヘルパーとして1週間木の花に滞在しました。実はその以前から精神科に通い、不眠のために睡眠薬を飲んでいたNくんは1年くらい前から自然療法プログラムを受けることを考えていました。そして、今年の3月に40歳を迎えるNくんは自然療法プログラムを受けることをついに決意し、2015年12月16日いさどんの面談を受けたのです。面談の際、いさどんはNくんにこう伝えました。

いさどん:
あなたは長男症候群ですね!あなたは精神が長男ではないのに、長男としてのプレッシャーを受けて育ってきました。そして、両親からの期待に応えようとして、そのことに対する臆病さや自信のなさも今の状態をつくっています。

まず、あなたの性質を紐解くと、臆病で心を外に出さず、秘めている状態で、それを外に悟られないように警戒しているのですが、外からはそれが丸見えになっています。このような状態だと、あなたは一生懸命自分を守っているつもりなのかもしれませんが、それではまわりからの印象も良くありませんので、社会生活は難しいですね。あなたの地球暦を観ると、理想があって能力は高いのですが、頭で考えることと行動のバランスが取れていません。自分はこうしなればいけないという心がありながら、それをしないのです。

一番はもっと自分を知ることです。今、あなたはネガティブに湧き出した思考をベースに考えをまわしていますが、これからはそれをポジティブに思考し、生かしていくことです。

あなたは薬漬けになっているわけではありませんし、精神状態は重度ではありません。ただ、これまでのここの取り組みからすると、症状が重く現状にこりごりしている人のほうが改善は早い傾向があります。逆に、症状が軽く危機感のない人は、その状態を長引かせるのです。そこであなたの意志が重要になってきます。ですから、そこを踏まえてこちらもその意志を刺激しながらサポートしていきます。

40歳は、人生において折り返し地点であり、大切なポイントです。来年3月に40歳を迎えるあなたは切り替えの良いタイミングでこちらに来たのですから、ここでけじめをつけて取り組んでいけば、将来笑って、「あんなときがあったね!」と言える日が来ると思いますよ。

――

いさどんの話に深く頷きながら「そのとおりです」と言っていたNくん。そして、昼夜逆転の不規則な生活を改善し、人前で話すことや苦手な集団生活を克服しながら、今まで空回りしていたエネルギーを使いきる毎日を送りたい、ということで1週間後の12月21日、ケア滞在をスタートさせたのです。

ケアスタート面談の際、いさどんからは毎日日記を書くことがテーマとして与えられました。いさどんは、「日記というと出来事だけ書く人もいますが、心の改善が目的ですので、なるべく自分の想いを中心に書いていくといいですね。子どもの頃からの良かったこと・悪かったことを振り返る自分史を書いてもいいですよ。あなたが吸っているタバコについても、やめなさい、とは言いません。ただ、あなたの心が安定し生活リズムが改善されれば、タバコは自然と要らなくなります。そこを目指していきましょう」と伝えました。

これまで1年以上薬を飲んでいなかったNくんでしたが、お守り代わりに以前精神科でもらった睡眠薬を持参してきたことをいさどんに伝えると、いさどんはNくんにこう伝えました。

いさどん:
今の状態が改善されるということは薬が不要になることです。具合が悪くなるたびに薬を飲んでしまうと、いつまでたっても薬に頼らないといけません。木の花の自然療法プログラムの目的は、心身の健全を取り戻すことが最優先にあるのですから、物理的な作業をすることを気にせず、眠れないときは起きていればいいのです。

Nくん:
眠れないということはちっぽけなことだと判断する人もいるかもしれませんが、僕の中では長年の大問題なのです!

いさどん:
そういった思考状態を抱えていくのが病気の状態です。あなたは長年そのような考えのもとに生きてきたのですから、今の状態を改善するためには、今までのあなたの考え方を継続していたのでは改善できません。だから、今回の取り組みを機会にして、人の考えを取り入れていってください。

Nくん:
はい、そのために僕はここに来ました。

いさどん:
睡眠のメカニズムを紐解くと、人間は必ず眠るようになっています。そのためには、昼間に良い時間を送ることが大切です。ですから、最初は少し調子が悪くても、なるべく昼間に起きているようにしましょう。部屋にいてもホールにいてもいいですし、本を読んだり散歩をしてもいいのです。もっと調子が良くなればキッチンの作業を手伝うこともできます。これは作業をすることが目的なのではなく、一日の送り方のトレーニングなのです。さらに調子が良くなれば、天気が良いときには畑作業に出てもいいですね。

人間の体は、昼間活動して、夜眠るようになっています。夜眠れないということは、夜に神経が興奮しているので眠れない状態になっているのですが、昼間にある程度充実した時間を送れば、自然と夜に眠くなるのです。眠れないということは、体が今眠りを必要としない状態になっているのですから、起きていることがそれに対する適切なる対応です。起きていれば、どこかで必ず眠くなるものなのです。そこで昼夜逆転にならないように、夜眠れなくても、昼間はなるべく眠らないようにすることです。そうすると、昼間眠くても眠らなかった分の睡眠欲求が、夜に移行するのです。

このように合理的に考えていくことが大切です。人間の体は約束どおり、夜に眠るようになっているのですからね。それが何かの異常でそのリズムが壊れているのです。人の健康な状態は、太陽のリズムとともに活動し、月のリズムとともに眠るだけなのですから、非常にシンプルです。ところが、あなたは眠れないことに対して余分な思考をたくさんまわし、事をややこしくしています。話はなるべくシンプルにしましょう。あなたがこれを大問題と言うのも、睡眠に対して複雑に考えすぎているからなのです。しかし、そんなことはありません。夜は眠って、昼間に起きているというとてもシンプルなことです。ここには昼間の送り方を健全にする環境があるのですから、今あなたはそれが大問題だと思っているとしても、いずれそれが解決されていくイメージを持って取り組んでいきましょう。

ここではたくさんの人をケアで受け入れてきましたが、睡眠薬を飲んでいる人でもだいたい1週間もすれば、睡眠薬なしで眠れるようになります。早い人なら、こういった話を聞いただけで、そうですねと言って、睡眠薬を預ける人もいるぐらいです。あなたは今、睡眠薬を飲んでいるわけではないのに、すでに悪いことが起きることを考えているのです。

Nくん:
そうです!眠れなくなったらどうしようとか、また鬱になるんじゃないか、パニックになるんじゃないかと考えてしまうのです。

いさどん:
それは眠れなくなってから考えればいいことで、眠れなくなる前から考える必要はないのですよ。

Nくん:
それはわかっているのですが・・・。

いさどん:
「わかっているけどやめられない」状態が現在の症状なのですから、あなたはわかっていてやめられないことに固執しているのです。それは、あなたがそういった人生を自分で選んで送っていることになりますね。

Nくん:
自分で好きで選んでいるのですか???

いさどん:
そうです。前回の面談でもあなたの性質を伝えましたが、それに対してあなたは頑なに、「自分はこういう状態なのだ」と決め付けているところがあります。それについては、「あなたにはそういう性質がありますよ」とは伝えますが、それをやめなさいとは言いません。ただ、それが今の症状を生み出しているのですから、いずれそれは取り組むべきことなのです。「わかってはいるのですけど」と言う限り、ずっとその状態を続けていくことになりますからね。

Nくん:
僕はそれを好きで選んでいるのですか??

いさどん:
人は、今の自分の状態が本当に嫌だったら、誰かに言われなくても、自分でやめていきます。たとえば、お尻に火がついたら、何とかして消そうとしますよね。それを、余裕がある人は「この火を消すにはどうしたらいいのでしょうか?」とか、「なぜ自分のお尻に火がついているのだろう?」と考えているような話なのです。

今現在も、あなたは頑なに、「僕は好きでやっているのですか?そんなはずはない」とわたしの話を受け取ろうとしていません。

Nくん:
僕は嫌で仕方がないのですが、それでも好きということなのですか??

いさどん:
好きという言い方をすると捉え方を勘違いするかもしれませんが、そういった状態であることがあなたらしいのです。逆に言うと、そういった状態がすべて改善されたあなたが未来にいるとしたら、今、そこへ行くことはある意味あなたにとって未知なることなので、恐怖でもあるのです。あなたは長年今の自分を生きてきたので、今の自分が自分らしいと思い、それに慣れてしまっています。あなたにとってそこから生まれる現象は嫌なことでもあるのですが、そういった人生をずっと生きてきたので、それが改善された状態の自分が考えられないのです。しかし、「新しい自分になりたいですか?」と質問されると、「なりたいです」と答えますよね?

Nくん:
はい!

いさどん:
しかし、あなたは本当にそうなれるかどうか疑っていますし、「新しい自分になれた時に自分はどうなるのだろう?」という考えもどこかにあるのです。ですから、今の自分は嫌なはずなのに、今の自分が自分らしくて心地が良い状態でもあるのです。それは言い方を変えると、今の自分が好きとも言えるのです。あなたは新しい自分を想像できませんよね?

Nくん:
はい!それは想像外のことなので、全く想像できません!

いさどん:
そうであるならば、あなたは今、新しい自分を想像することはできないはずですよね。それなのに、あなたはネガティブな思考をまわし、想像できないはずのことにエネルギーを消耗しています。新しい自分はそういった余分なエネルギーを使わない人です。ですから、今は観えない未来の自分を、先に考えてはいけないのです。それは、「先に行ったら新しい自分に出会うのだろう」というぐらいのスタンスでいるとちょうどいいのです。

Nくん:
まず、僕は何をしたらいいですか?

いさどん:
まず朝起きて・・・

Nくん:
(いさどんの話を遮って)でも、眠れないかもしれないです!

いさどん:
なぜ先にそのようなことを考えるのですか?早速、余計な思考をまわしていますよ!今は夜なのですから眠ってください。まずは、良い生活を送ろうとするのではなく、良くても悪くても何でもいいから、新しい環境で一週間を過ごしてみましょう。あなたは、取り組む限りは成果を残さないといけないとか、今晩眠れなかったらどうしよう、と早速、余計なことばかり考えています。そのメカニズムを伝えても、自動的に考えてしまう性質が今のあなたにはあるのです。あなたは余分な思考を素早くまわしていますが、それはある意味能力が高いのです。ただ、頭は使えているのですが、それはエネルギーを無駄使いしている状態なのです。とりあえずは、自由に最初の一週間を過ごしてみましょう。

――

ケア滞在初日の夜は早速4~5時間眠ることができたと喜んでいたNくん。睡眠障害の改善と農作業体験を目的にケア滞在をスタートしたNくんは、早速初日から畑で農作業をし、その後も夜に途切れ途切れの睡眠をとりながら昼間は農作業をして過ごしました。そして1週間が経ち、1週間面談の際にいさどんはNくんにこう伝えました。

いさどん:
あなたの日記を読むと、自分のことをよく振り返っていることは伺えますが、自分のことに興味が行き過ぎてしまい、自らの思考に囚われている状態です。あなたは頑なに現在の自分を守り続けているのですが、そういった自分を超えていくことが今後の課題です。

そのためには、もっと広い視野のもとに世の中の情勢にも興味を持ち、自分のことについても客観的に捉えられるようになることが大切です。たとえば睡眠については、睡眠が不十分であればどうなるのか、と冷静に考えれば、それで死ぬことはないことがわかりますね。そうやって今の囚われから離れていく作業がこれからのテーマです。

あなたが不眠症で眠れないのは、ただ何も考えずに眠れないのではなく、たくさん思考をまわしていることによって興奮状態になり、眠れないのです。今まで眠れないことがあなたにとって大問題であったとしたならば、そのテーマについてはひとまず置いておき、今はもっと他のことに目を向けていけるといいですね。つまり、思考の中身の転換です。ですから、今のあなたの状態では薬を飲んでも意味がありません。それには、今の思考を分析していき、客観的視点で自分の状態を理解することが必要なだけなのです。

実は、心の問題というのはたちどころに治せるものです。今の状態を引き起こした自らの性質に気付き、それをやめるだけなのです。ですから、それは瞬間芸でできるのです。ところが、自らと向き合わない限り、十年経っても、それこそ死ぬまで治らないことにもなるのです。今のあなたは自分と向き合ってはいるのですが、常に現在の自分を肯定している状態なので、それでは今の自分を超えていくことはできません。そこでは頑なに囚われている自分の性質と向き合う必要があるのですが、あなたは起きてくる出来事や思考の内容に視点が向いてしまっています。ですから、そこでは根本的な原因のほうに興味を持っていく必要があるのです。

前回のケアスタート面談では、あなたが自分の状態を訴えることを優先していたものですから、このような話はできませんでした。しかし1週間経って、この話ができるようになりました。これは進歩しているということですよ。それを評価したらいいのです。

――

いさどんの話を聞いていたNくんは、「僕としては進歩しているのかどうかわからなかったのですが、それが客観的視点なのですね」と言いました。そこで次の1週間は、自分視点について振り返り、自分に客観視点があるとしたらどこでどのように使っているのかを観察することが課題として与えられました。

その後、Nくんは昼間は農作業をし、夜には6時間眠れる日があったり、なかなか眠れない日があったりしながら、さらに1週間が過ぎました。2週間面談の際、いさどんはNくんにこう伝えました。

いさどん:
あなたは頭の中で自分を分析することはできています。昨日の大人会議では皆で映画を観ましたが、あの時間は映画の話自体をすることが目的なのではなく、映画を通して今の社会や時代背景を観て、日常生活につなげていくことが目的だったのです。ですから、頭の中で考えたことが自らの日常生活に反映されることが大切なのです。たとえば学校の勉強は学校でするだけ、宗教に入ったら宗教活動をするだけで、それと日常生活は別ということでは意味がないのです。会社へ行って仕事をしても、日常生活は別ということになると、仕事でストレスがたまったら日常生活はそれを解消するためにあるという話になります。しかし本来、会社でストレスがたまったら会社で解決すべきですし、会社で培われたことは日常生活でも生かされていくように、人生すべてに共通して反映されることが大切なのです。

あなたは自分の頭で考えることが日常生活にどのような出来事として反映されていくのか、つなげて捉えていません。それは、思考がだらだらと巡っているだけの状態です。それではいくら考えても、それが日常生活には反映されず、同じ自分がい続けることになります。そこで、頭で考えていることを日常生活に生かすためには、それを皆に語り、フィードバックをもらいながら、客観視点を受け入れ、自分の思考がどのような現象を引き起こしているかに気付くきっかけにすることです。

そのために、次の1週間のテーマは大人会議で発表することです。そこでは日記の内容をシェアしてもいいですし、大人会議で語られていることに対して自らの想いを語ってもいいのです。それは今まであなたが避けてきたことであり、一番苦手なことでもあります。しかし、そこを超えないと新しい自分には出会えません。

そのことが大事だと気付き、普通にやれるようになると、このケアの取り組みも終了となります。そして、それをやり続ければ、そうすることが心地良くなるのです。心地良くなれば、それを積極的にやるようになります。それが新しい自分になるということです。

――

面談後、Nくんはサポーターのヒロッチに、「とりあえずこの面談の内容を大人会議で発表はしますが、毎日発表することはさすがにできません」と言いました。しかしヒロッチからは、「タバコについても、最初は0にすることはできないと言っていたけれど、いさどんのサポートのおかげでケアを開始してから11日目以降タバコなしで過ごせている。大人会議での発表についても、自分にはできないとすぐに決め付けるのは今までの思考パターンそのものなのだから、一日一日、目の前のことに集中して取り組んでみよう」と伝えられ、Nくんは早速大人会議で自らの想いを発表したのでした。

しかし、2日続けて発表した後、Nくんはヒロッチに「大人会議で発表することが心の負担になって、ここ2日間、夜なかなか寝付けませんでした」と伝えました。そして、その次の晩は一睡もできなかったとNくんはヒロッチに伝え、「いさどんからもらった課題は長期的に継続していくとして、眠れていない今の状況が辛いので、一度東京に戻ろうと思います」と申し出てきました。それを受けて、急遽いさどんと面談する場が持たれました。それはケア滞在を始めてから15日目のことでした。

いさどん:
あなたはケア滞在を始めてから、あなたの判断を超えた新たな視点をまわりからもらいながら今までの状態を改善してきました。しかし、今回東京に戻ろうとすることは、あなた自身の判断です。ここで自らの判断を超えると、自分が新しくなるのです。今のあなたの考えは理解できますが、今のあなたの判断は新しい自分につながらず、元の自分に戻ることになるのです。今、元に戻る力と前に進む力の胸突き八丁(意味:富士登山で頂上までの8丁《約872m》の険しい道・物事を成し遂げる過程で一番苦しい正念場)を迎えています。誰でもそこを通るのです。そこを越えて初めて、次の世界にいる新しい自分に出会えるのです。

タバコの話でも大人会議で発表することでも、こちらが薦めたことを最初あなたは抵抗していましたが、新たな考えを取り入れることによって次の段階へと進んできたのです。こちらからの投げかけがなければ、あなた一人ではタバコはやめられませんでしたね。今回、あなたは自分ひとりで判断し結論を出しましたが、そこを超えるためにこちらが手助けをする状態は同じです。

たとえば眠れないとしますよね。眠れないでいて作業に出るのが辛いということですか?

Nくん:
作業に出ても出なくても、辛いのです。どちらにしても眠れないことに変わりはないのですから。

いさどん:
では、東京に行くと眠れるようになるのですか?

Nくん:
まだこの場所にいることに緊張しているところがありますので・・・。

いさどん:
そうしたら、その緊張を抜く必要があるのです。今までのあなたの思考が今の状態をつくっているのですから、元の環境に戻れば、この2週間取り組んできたことを帳消しにしてしまいます。わたしにはこの取り組みに対する欲はありませんが、あなたがせっかく取り組んできたことに対して、もったいないと思うのです。

Nくん:
やってきたことがすべてご破算になるとは思っていません。

いさどん:
あなたは自分の見解がベストだと思っているのですが、今まで自分の見解で生きてきて自分を導いてこられましたか?

Nくん:
それはできませんでした。

いさどん:
だから今、そこを超えるチャンスなのですよ。眠れないということは、眠れないことに対して何か囚われの心があるのです。

Nくん:
それはすごくあります!

いさどん:
そこを突破していかないことには次へ進めないのです。それは場所を変えたからといって、思考の中にあるものですから、何か変わるわけではありません。

(Nくんが何か言いかけたことをさえぎって)あなたは今、わたしを説得しようとしていますか?

Nくん:
自分の見解を述べようとしています。

いさどん:
わたしはあなたのことをよくわかっています。あなたの今の状態もよくわかっています。それをわかっているからこそ、今を超えていくことが大事だと伝えています。あなたがこのような段階に来ることは最初からわかっていました。最初にあなたに面談したときに、あなたは治りますよと伝えましたね。治らないと思っている人はここで預かりませんからね。そこでイメージするだけの世界ではとんとん拍子で治るのです。それはなぜかというと、こちらの伝えるとおりに事が進むイメージだからです。ところが、実際にはこちらが伝えるとおりに皆取り組みません。そこでは自我が出てくるからです。その自分と向き合って、今までの癖を突破したときに初めて、回答が出るのです。これは薬では治せません。そして、今までもそうだったように、今までの自分に任せていても治りません。だから、人に委ねに来たのです。

今、あなたは自分の見解を述べようとしましたね。それは、「自分のことをわかってほしい」という心です。

Nくん:
そうです。

いさどん:
だいたい皆そうなのですから、そんなことはわかっています。ただ、代わってあげることはできません。その代わりに、あなたがそこを突破する智恵とサポートを提供しているのです。今回のことはある意味予定通りなのですよ。眠れない症状があるとしたら、その状況でやれるようにやっていくだけです。そこでは、あれをしないといけない、これをしないといけない、という想いは捨てていくのです。わたしはここでたくさんの事例に出会ってきましたが、そういった状態の多くの人は睡眠障害を持っています。そこで伝えることは、「人間の体は眠るようにできています。眠れないと言っても、眠れないことによって死ぬ人はいないのです。誰でも3日も起きていたら、絶対眠れます。だから、眠れない時は起きていればいいのです」と伝えます。

Nくん:
僕も最初にそう伝えられました。

いさどん:
眠れないことを嫌だと思うのではなく、眠れないなら起きている作業をするだけです。最初は睡眠が欠乏しているので昼間でも眠くなるとします。そこで昼間はなるべく起きていると、その眠いという負荷が夜まで持ち越され、夜になってから眠るのです。それを数回繰り返していくと、必ず夜になると眠くなります。ですから、本来、睡眠障害の改善はそれほど難しくありません。逆に、自然の摂理に反する異常な状態にもっていくほうが大変なのです。ですから、正常な状態に戻すことはそれほど難しくないのです。

ところが、それを邪魔しているのが、ああでもない、こうでもない、と考える人間の心です。そこで、邪魔している自分の心と向き合う作業をしていくのです。あなたはやっと今、その段階に来たのですよ。これは予定通りです。しかし、少し時間がかかりすぎていますね。通常なら、ここではだいたい1週間で多くの人が睡眠障害は改善されるのですが、あなたの場合は2週間以上かかっています。それはなぜかというと、最初の面談でも伝えたように、あなたの状態が重症ではないからです。あなたはうつでもなければ統合失調症でもありません。あなたは自分の精神状態がこの症状を引き起こしていることに気付いていません。それに自我がとても強いので、改善に時間がかかっているのです。もっと精神的に重い状態の人であれば、自我が保てず、自分の状態にこりごりしているので改善は早いのです。しかし、あなたは自分の状態に対して、まだ懲りていないのです。睡眠障害については懲りているかもしれませんが、自分の性格には懲りていないので、自分の見解を持ち出して訴えています。あなたは口では「もうこりごりです!」と言いますが、そのこりごりが足りないから、元に戻ろうとするのです。

うつで薬を飲んでいる人の場合、まず薬の影響を抜き、それからうつの症状を引き起こしている精神状態に取り組んでいきます。そして自己コントロールしていく段階に入るのです。あなたの場合は、その前段がなく、いきなり心のコントロールの段階に入ったのですが、囚われが強いと物理的な症状が軽くても、改善に時間がかかるのです。

だから、自分の心に向き合わないといけません。あなたは客観視点について学びましたが、今のあなたは全く客観視点に立っていません。自分の主張したいことだけを主張しているのですからね。自分をしっかりと観て、自己コントロールできるようになって初めて、客観視点は有効なのです。酷かもしれませんが、そこに取り組まない限り、これは超えられません。先程、胸突き八丁と伝えましたが、ここを越えられたら頂上ですよ。

Nくん:
わかりました。眠れるまで起きています。

いさどん:
それで心を病む必要はないのですよ。今はそこを超えていく段階だと思って、談話室で本を読んでいようが、一晩中テレビを見ていようが、座禅を組んでいようが、何をしていても構わないので、眠れるまで起きていればいいのです。方法は簡単です。しかし、そこで何とか眠ろうと思ったら難しいのです。

逆に眠れない人には、こう提案することもあります。「眠れないことを逆手にとって、一体どのくらい起きていられるのか、チャレンジしてみましょう!」そうすると、結構すぐに「眠れました!」と言ってくる場合が多いのです。そういったことを楽しめるぐらいの余裕があると、本当はいいのですよ。

Nくん:
がんばります!ありがとうございました。

いさどん:
別にがんばらなくてもいいのです。ただ眠くなるまで起きていればいいだけですよ。

――

その翌日の大人会議で、Nくんは嬉しそうにこう発表してくれました。「面談でいさどんが伝えてくれたことで、眠れないことへの囚われの状態から心が解放されました。いさどんの確信ある言葉の力に後押しされ、眠れないなら無理に眠ろうとせずに時間を過ごそうというつもりで布団の上でインターネットをしていたら、睡魔が襲ってきたのです!結局1時頃には寝付くことができ、そのまま眠ることができました!10年ほど不眠で苦しんできたことを考えると、驚きの体験です!」

そんなNくんに対し、皆からは大きな拍手が送られました。その後も、Nくんは夜布団に入ってから30分から1時間ほどで眠りにつくようになり、睡眠がしっかりとれたことで体調も良くなり、精神的にも良い状態で過ごすことができるようになりました。まわりからも「表情が良くなってきたね!」「捉え方が180度変わると人はこのように変われるんだね!」と伝えられるようになりました。

そして、2日後の3週間面談の際、Nくんはいさどんにこう伝えました。

Nくん:
2日前、急遽いさどんに面談してもらってから、いつかは眠れるのだということがわかってきました。今日眠れなくても、明日眠れなくても、次の日ぐらいには眠れるだろうという安心感が出てきました。その安心感が薬になっているように感じていて、前ほど眠ることに対して思い悩まなくなりました。

いさどん:
以前も伝えましたが、人は眠るようにできているのですよ。

Nくん:
前回の面談が僕にとって大きなターニングポイントになったと思います。以前とは全く違います。

いさどん:
ということは、心の問題だったということですね。

Nくん:
はい、心の問題です。これまでは、しっかりと自分に向き合っていなかったと思います。

いさどん:
そうやって、ひとつコツを覚えましたね。しかし今はまだ、睡眠に対して強く意識が向いています。眠れるかどうかを常に意識しているのは異常な状態なのですから、それが不要になることが大切です。そのために次に取り組むことは、なぜ自分がこういう状態になってきたのかを分析することです。その多くはあなたの考え方の癖なのです。その自己分析に取り掛かることが次の課題です。

たとえば、あなたにはそのつもりがなくても、あなたはすぐに人と議論する傾向があります。他者の意見が自分の意見と違うと、そうではなくてこうなのです、と自らの主張を理解してもらおうとする傾向があるのです。そういった意味では柔軟ではありませんね。

Nくん:
自分のことは頑なだと思います。それはここに来て、初めて気が付きました。ここに来るまでは、むしろ自分は他人の意見を柔軟に取り入れているほうだという思いもあったのです。

いさどん:
ハッハッハ。そこで、自分の癖が出る前に、自分の心がどういう構造になっているのかを知ることが重要なのです。それと、あなたは今まで生きてきて、とても身近なことに意識が行き過ぎていました。それは、自分が眠れるかどうかに意識が強く向くくらい、身近だったのです。

今後あなたがどのように生きていくのかはあなたにとって大きなテーマですが、本来自分がどう生きていくかは、自分がどういう性質を持ち、どのように生きているかによって、自然に縁ができて現れるものなのです。ですから、未来についても改めて考えていくことが大切だと思います。本当のあなたらしい生き方があると思うのです。そして、それを見つけることは重要なことです。自分自身を知って、天命を生きたら、充実した希望ある人生になりますね。あなたの地球暦を観ると能力は高いのですが、今まではそれが秘められてきました。それを生かしていけば、食うがためだけに職業に就くのではなく、もっと自分らしく生き生きと、世の中の役にも立てる生き方に出会えることでしょう。

今、方向性は観えてきているので、今の延長にまず健康になりましょう。それは、意識して眠るとか、意識して自分の癖を観るということではなく、自然体で眠れて、自然体で自分の癖に対してチェックできるようになるということです。次の1週間でそこに努めていき、70%それが定着したら、卒業になります。

――

その後の日記にNくんは、こう書いていました。
「自分の心の癖に気付くようになったが、その対処法が心の癖の延長線上になっている。僕がよくやる心の癖として、自分がまわりから排除されているのではないか、人から変に思われているのではないかと思い、その思いに対してまたやっていると自罰的になる。自分の外の世界に対する不信感は、自分に対する自信のなさの反映。自己イメージが不信をベースにしたやさしくないものなので、まずそこを変える必要がある。」
「眠れないことに対する不安感はだいぶ和らいだが、眠らなければならないという思い込みが強い。夜眠くて、朝起きなければならない、さもなければ次の日の作業が辛くなってしまうだろうという思い込み。」
「僕は自分視点の思い込みをして、それで自分を苦しくさせていたようだ。そのようなことがあまりにも多すぎる。病は気からではなく、病は誤解からだと思う。」
それに対し、いさどんは「面白いです!人は相手を観ているより、自分の感情を観ていることが多いのですが、そのことがわかってくると、人は初めて自分を見つめるようになります。人生は階段を昇るように上に向かっていくものです。それは、仕込みのための期間と一気に成長する時が交互に訪れます。あなたは今まで仕込みの期間を長く取ってきたと思えば、これから一気に上昇するチャンスだということになりますね。そして、これからまた新たな仕込みの期間が来ますので、自らに囚われないで、常に学んでいく姿勢を忘れないで取り組んでください。これからの姿勢が特に大切なのです。ここに来た当初からすると新しいあなたがいますね!」とコメントしました。

そうして、ケア滞在がスタートしてからちょうど4週間が経った2016年1月18日、いさどんからNくんに1月20日をもって卒業とすることが伝えられました。その際Nくんは、「まわりからのサポートやいさどんから課題をもらいながら、70%までは来られたと思います。残りの30%は自分の本質とどう向き合うかだと思います。自分がなぜこのように生きてきたのかと考えたときに、今まで生きてきた中で無自覚に受け取ってきたものが大きく左右していると思うのです。たとえばそれは両親の価値観であったり、先祖代々受け継いできたこと、さらに学校教育で受けてきたことが自分の人格をつくってきたと思います。そのように与えられたものを自分の癖で受けてきて、本当は居心地が悪いのに、自分の癖からすると無理やり居心地が良いと思い込むようにしてきました。これからも今までの価値観や世界観で生きていれば、また同じ世界にい続けることになるので、これからが本番だと思います」と語りました。

そして、1月20日の卒業コンサートの際、Nくんはこう皆に伝えました。「今回のケア滞在を通して、いろいろな気付きやサポートなど、皆さんからありとあらゆることをいただきました。その恩返しは、いただいたものを自分の中に留めておかないで、人に与えられる人間になることだと思っています。そのためにはやることがたくさんあると感じています。これからもよろしくお願いします。」

人は一生自らと向き合っていくものなのですから、この物語に終わりはありません。「病は誤解から!」と気付き、人生の胸突き八丁を乗り越えたNくん物語は、これからが新たな章の始まりです。

 

 


やすこちゃんの子育て奮闘記

この秋、0歳のこうたろうくんを連れて木の花ファミリーのすぐ近所に引っ越してきたやすこちゃんとけーごくん夫妻。二人はこれまでもたびたびファミリーを訪れたり出張木の花塾を主催したりしていましたが、大事な生き方を実践していこう!ということで富士宮へやって来たのでした。

ここに来た当初のこうたろうくんは、まさに怪獣!アトピーをかきむしりながらひまわり中に響き渡る声でわんわんと泣き叫んでいましたが、ひとたび木の花に預けられて両親と離れると、すーっと穏かに。が、両親が帰って来る気配を察知するやいなや、再び怪獣化するのでした。

その様子をみていたいさどんは、やすこちゃん夫妻と面談をしました。そしてその夜の大人ミーティングで、やすこちゃんは自分が気付いたことを文章にまとめ、みんなにシェアしてくれました。

■   ■   ■   ■   ■   ■

今日からしっかりと、やっていく。

愛をもって。

愛って、自分のためとか、我とか欲とか情をなしにして、ただ本当に相手を思うこと。そういう行動をしていくこと。

たとえば子供がかまってほしくて泣いている、注目してほしくて泣いている、いわゆるわがまま泣きをしていたとする。
そこで「あ~はいはい」と抱っこしてあげる。
子供はそうすればかまってもらえると学ぶ。
抱っこでも泣き止まないこともある。おもちゃで気をそらせたりおせんべいあげたり、親は手を変え品を変え。

そこでも子供は学ぶ。泣けばこんな風にしてもらえるんだー
してほしい時は泣けばいいんだーー

わがまま泣きだから放っておこうとする。そのうち泣き止むだろうと様子を見ていると一向に泣き止む気配はなく、ますます強く泣く。そこで心配になって折れてごめんねと抱っこしてしまう。そうすると子供はそこでまた学び、次回はもっともっと強く泣く。

泣いているのがかわいそうだからと、常に相手にし、面倒を見ていると、どんどん子供は王さまになっていき、子供主体の家庭となっていく。

外に出掛けたとき、誰かと会っているとき、子供は母親に、意識を自分に向けてほしくてぐずったりする。状況がいつもと違うのですぐ抱っこしてもらえなかったり自分を優先されないと、いつもと違うのでさらに泣く。
いつもコテコテにお世話してる分、外でもいつものコテコテをしないと子供は大泣きする。
人見知り、寂しい泣き、かまって泣き
どんどん扱いにくい子になっていく。

これらはすべて、親が原因。親の柱のない子育ての被害者で、役割として全力であらわしてくれる。
泣くことだけじゃなくて、キィーと叫んだり、掻いたり、アトピーもそう。

表面上の状態を見てかわいそう、と思うのは大きな間違いで、その状態をやらせているのは自分だということ。本当に申し訳ないこと。

ではどうしたらいいか??

本当に必要なお世話をきっちりする。
そのために子供が本当に求めていることを見極める。
おむつなのかお腹すいたのか不快なことがあるのか眠いのか。

知識ばかり頭に詰め込むのではなく、よく見ることをしなければいけない。知識やいろんな情報は直観をにぶらせ、本当がわからなくなる。
また、泣いてるから取り合えずおっぱい、も、本当がわからなくなる。おっぱい依存にもなりやすい。

愛情ではなく、愛で。

情は余計なもので、「かわいそう」とは、自分の我。

子供が扱いにくいと感じたら自分をチェックする。欲や情でやってはいないかと。子供はいつでも親の鏡だから。

私の場合、こーたろがかゆいからかかせないようにいっぱい甘えさせたりおっぱいあげたり、寝かせたいから飲ませたり、自分本意でかわいがったり放置したり、考えると、こーたろのためじゃなくて自分のためにしてることがたっくさんあった。

それが本当に情けなくて、そんな適当なことしてきたから今こーたろが全力で教えるはめになってるんだなーって思ったら涙が止まらなかった

だからこれから本当に愛をもって、初めて真剣にこーたろのこと見て行動しよう、というところ。

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この文章を読み上げた後、やすこちゃんは言いました。

「今は、こういう気持ちでこうたろうと接しています。
こうたろうを預けて木の花で農作業ヘルパーをしながら、いろんな人と話しました。みんなが自分の子育ての体験を教えてくれて励みになったと同時に、今の状況を問題だと気付かなかったら、自分勝手な子育てを続けていたんだなと思うと、すごく恐ろしいことだと思いました。こうたろうが小さいうちにそれがわかって、本当にありがたかったです。
自分でやりたい、というこうたろうへの執着があることにも気付けました。
今は、ここに預けているとこうたろうも調子がいいし、自分も充実していて、お互いにとっていい時間を過ごせていると思います。」

けーごくんも、
「自分がこうたろうややすこちゃんを所有していることに気付いた。富士宮に引っ越してきたのは、自分と向き合って変化して、大事な生き方をしていくと決めたから。これからは大事なことを一番にして生活していきます。」
とコメント。

その後、いさどんは次のように語りました。

宇宙おじさん4
少し前の時代をつくっていた人たちは、物理的思考が強く、形に翻弄されて生きてきました。でも若い人たちは、もっと目に見えない世界を感じています。

今までの社会がやってきた、ものごとを形に現していくことは、目に見えるのでわかりやすいですね。自分の中の能力を駆使しなくても、問題ごとが明快にわかる。

ところが問題ごとというのは、目に見えて明快にわかるようになるずーっと以前から、その奥で確実に種を育てて来ていたのです。その段階を観ず、形に現れてからしかものごとを見ないので、結局捉え方が浅くなります。

こうたろうくんの話も、突然アトピーができたわけではありません。おぎゃあと生まれてお母さんが最初に抱っこしたその感覚や、おっぱいをあげた感覚、もっといえば妊娠中の生活やそのもっと以前から蓄積されてきた情報がすべてがインプットされて、それをもとに自分の役割を自覚して生まれて来ているのです。親はそこに至るまでの元の部分を観ずに、今現れている問題ごとだけを見て「何でこんな子になっちゃったんだろう」と言いますが、それはそれまでの自分の歩みの結果であり、プロセスなのです。

そうやって親が与える物理的環境と共に、もう一つ、時代的な環境というものがあります。

この世界に生まれた生命は、宇宙の星々や太陽と連動し、それらが表す壮大な時代の流れを地球上に表現しています。現在は宇宙的にも大きなターニングポイントにあり、新しい生命たちはとても大きな使命の元に地球に降りて来ているのです。そういった大きな視点から観れば、今目の前で子どもが表現していることの意味がわかるようになるでしょう。

今の時代に生きる僕たちは、鎌倉時代や江戸時代のことはわからないと言うかもしれませんが、実はわかるんですよ。だって、その時代の延長線上に今の生活があるわけですから、実体験としては知らなくても、今の生活を観れば過去のこともわかるのです。

昔の人はそのまっただ中にいて翻弄されていますから、ものが観えていませんでした。しかし現代を生きる我々は、そういった目を持つことができるのです。

ですから、やすこちゃんとこうたろうくんのことも、下手な子育て本よりもはるかに大事なことを語っています。そういう目線を持つことは本当に大事なことです。

家族を想うのは大切なことで、否定することではありません。当たり前の第一反応としてある感情だということです。けれどもその奥に何があるかということを観ないと、せっかくのその大切な第一反応が、周りに害をもたらすことになります。家族を大事にするのは大切なことで、いいつもりでやっているけれど、その結果どのような子どもが育っていくのか。どのような社会が出来上がっていくのか。

だから、もう一つの目線を育てなければいけないのです。
それが観えるようになることが目標です。

それが観えていくとどうなるかというと、人が集まれば集まるほど、豊かな世界ができるのです。

みんなのアイドル・こーたろくん。お役目ありがとう♪
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