ファミリーの節分祭 Part I

2月3日に行われた節分祭は、忙しい合間を縫ってたくさんの人が準備に関わりました。みかちゃんがその様子をレポートしてくれましたので、当日の写真や映像とともにお楽しみください!

会場の飾り付け

半円形にした客席で囲むように舞台をとり、その天井に竹の枠を七色の御幣と切り絵で彩った飾りを下げました。飾り付けの参考にしたのは、奥三河の東栄町に伝わる「花祭り」の神社です。

飾り付け名人のあきちゃん、切り絵に素晴らしい特技を披露してくれたあんべちゃん、竹枠を作ってくれたいさどん、榊や樽を準備してくれたじゅんじマンなど、今回もみんなの創意工夫が光りました。

七色の天井飾り
みんなを驚嘆させたあんべちゃんの切り絵。下絵なしで、フリーハンドで切っていました
あんべちゃんの切り絵
あんべちゃんの切り絵

愛とお米があればいい

花の冠をかぶってお稚児さんの姿になった4人の幼児たちが木の花楽団とともに鈴と稲穂を持ち、歌いながら入場します。「節分祭」の始まりです。かずこちゃんとようこちゃんが鶴と亀、つまり天と地をイメージした和の舞を披露しました。

「愛とお米があればいい」

愛とお米があればいい
愛とお米があればいい

たたえよいのち いただく恵み
あたえよ愛を みこころのまま
開けやこころ歌えやいのち
天の喜び 地に花開け

愛とお米があればいい
愛とお米があればいい

花祭り

続いて、舞い場を清める女性の舞が披露されました。昨年まで舞い手を務めていた中学生二人が受験直前のため、今年はちーちゃんとみほちゃん、そして小学5年生の日和の3人で舞うことになりました。

最初に舞い手を頼まれたときに、みほちゃんは「踊りは苦手だから」と断りました。日和は、自由に踊るのは大好きだけど、決まった振り付けは苦手で、初めは練習を嫌がりました。そんなそれぞれが持っていた心の壁を越えていきながら練習を重ね、徐々にチームワークが整っていきました。本番では3人が真剣に力を出し切って舞い、皆の大きな喝采を浴びていました。


須佐くんの表彰式

先日のブログでもお伝えした通り、ファミリーの中学1年生、須佐乃王が「世界連邦推進全国作文コンクール」で特賞を受賞した件について、東京で授賞式に出かけてきました。

特賞は全国で千数百通の中から3点選ばれる最高賞で、大きなトロフィー付きでした。須佐くんは、あとで聞いたら「緊張した」と言っていましたが、作文の朗読もなかなか堂々としていました。

ちなみに、授賞式の行われた新宿NSビルの隣が都庁なので、お弁当を食べに展望台に行ったら、そこにも作文が展示されていました。立ち寄る機会のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧になってください。

「特賞、野田須佐乃王くん。以下同文です」
受賞した作文を朗読する須佐くん。堂々としていました


鬼は内!福も内!

2月3日に行われた節分のお祭りでのいさどんのお話です。

2月3日は農の大晦日と言われます。そして2月4日がお正月です。新しい年が始まり、啓蟄という虫が動き出す季節でもあり、農作業がこれから始まろうとする時です。立春正月の前日である大晦日は、「季節を分ける」ということで「節分」と言われています。

一般にどこでも節分の行事があり、鬼が出てきて人間たちは「鬼は外、福は内」と言います。それは、「嫌なものは出ていきなさい、良いことだけ来なさい」という人間たちの心が反映されて、そういう行事になったようです。

木の花には心や体の問題、いろいろなことで行き詰った人が訪れます。そういった人たちは、自分の心の中にある問題の種を見直し、また自分の家や社会に戻っていきます。その時に、以前の問題あった心がきれいになっていることに気づくのです。とかく人間は、自分に都合の良いことばかり起こると、それ以上成長しようとせず、これでいいのだと思ってしまうものです。

節分の行事では鬼が出てきて、人間たちに追い払われます。しかし、鬼がどこにいるのかといったら、人間たちの心の中にいるのです。そして人間は、地獄、地の国、つまり地球にいます。「自分さえ良ければいい」という人の心が対立を生み、自分の心や体を壊していると考えると、何となくこの世の中が地獄のように観えてきませんか?

地の国にいて自分だけの願いを叶えようと地獄を味わっている人たちは、その心によって間違った行いをします。そうすると、この世界ではその間違った行いは痛みとして表われるようになっています。地獄には閻魔様という鬼の親分がいて、それが日本神話でいうところの国常立という地球の神様です。国常立が、私たちの心をきれいに清めてくれることによって、私たちは天国に上がっていくことができるのです。

そういった正しい心を忘れてしまって地獄にいる人間に、鬼は「心を改めて天の国へ行きなさい。それがあなたのもともといた場所、帰る場所ですよ。天の国へ戻るために、この地の国へ生まれてきたのですよ」と言って、私たちの内から出てくるのです。

そうすると、問題事は自分の心が間違っていることを教えてくれるありがたいものであり、嫌なことをなしにしようとして、「鬼は外、福は内」と言うのはおかしな話です。本当は、「鬼は内、福も内」であるはずです。つまり、鬼の心が自分の中にあり、それを表わしています。自分を正し、きれいな心になって、当たり前に福が自分のもとへ訪れるようになってきます。

これから心が大切になってくる時代に、この生き方、考え方はとても大切です。こういった考えをこれから広めていくということが、このことに気づいた私たちの役割なのではないかと思っています。こうやって農を通じて芸能ができ、そして世の中が豊かになっていくという、大変幸せな時間を皆で過ごすことができた今年の節分祭でした。

お話をするいさどん

2月3日の節分祭に遊びに来ませんか?

2月3日の夜、ファミリーでは節分祭を行います。節分は、翌日の立春を年初として邪気を払う大切な行事です。鬼は人が自らの邪気に気づき、それを払うために大切な役割をしてくれるありがたいものということで、ここでは「鬼は外!」ではなく、「鬼は内!」と呼びかけます。

「花祭り」や「獅子舞」など、子供たちを中心に昼夜練習に励んでいるメンバーの姿が今あちこちで見られます。また、今年は装飾にも力を入れ、まさに神技のような切り絵も舞台を彩る予定です。例年にもまして盛り上がりそうな今年の節分祭。皆さんもよろしかったら遊びに来て下さいね。

(写真は昨年の様子です)


木の花から世界へ

ファミリーの中学一年生、須佐乃王が書いた夏休みの作文が、「第38回世界連邦推進全国小中学生ポスター・作文コンクール」の特賞に輝きました。すでに学校から知らせは届いていましたが、今日、地元の地域紙である「岳南朝日新聞」に大きな記事と作文の全文が掲載され、みんなで回し読みして大喜びしました。

私(いさお)は、須佐の国語の家庭教師をしています。いくつか挙げられたコンクールのうちのひとつを選んで作文を応募する、という課題が夏休みの宿題に出されたということで、ふたりで相談した結果、このコンクールを選んだのでした。

このコンクールは「次代を担う小中学生に平和の尊さを認識させるとともに」「人類の一員として意識をよびさまし」「『人間みな家族』『世界はひとつ』の精神を養い」「世界連邦について理解を深め」、「平和教育に資すること」を目的としているとのことでした。ふつうに考えるとなかなか抽象的で、生活に密着した文章を書くのは難しいテーマかもしれません。

でも、ここは「地球がひとつの家族になること」を目指し、日々の暮らしの中で実践している木の花ファミリーです。「僕らの生活なら、そのまま書けばOKだよね」ということになり、須佐は有機農業や環境への取り組み、そして心身のケアなどについて綴りました。

作文の中で、須佐は「世界にはふたつの平和がある」と書きました。ひとつは「戦争はないけれど、自分さえよければいい、それが平和だと思っている人が多い」世の中。そしてもうひとつは、「争いや戦争がなくなり、世界人類がみな家族になること」です。

「世界人類がみな家族になること」。理想として語られることは数多くあっても、実現が難しいそのテーマを現実のものとするには、どうしたら良いのか。私たちが社会に向けて提示し続けているこの生活の意義を、須佐は作文の締めくくりで見事に表現してくれました。

「ぼく達にできていることは、他の国の人々もこの暮らしが、できるんじゃないかなと思います。一人一人が自分のことばかり考えるのではなく、みんなのこと、世界のことを考える気持ちが持てるようになればいいと思います」

須佐は2月に東京で行われる表彰式に出席します。「地球家族」を目指す木の花ファミリーに生まれ、みんなの愛に囲まれて育った須佐。彼の存在は、その場の人々にどんなメッセージを伝えてくれるでしょうか。

岳南朝日新聞 2010年1月20日

(以下、作文の全文です)

ぼくは、静岡県の富士宮市にある木の花ファミリーというところに住んでいます。

木の花には、57人の人が暮らしています。年齢層は、0歳の赤ちゃんから70歳のおばあちゃんまでがいます。大人は43人、子供は14人です。

木の花では、有機農業で自給自足をしています。大人の人にはいろいろな役割があります。農作業や事務仕事、食事作り、家事、家庭教師などです。木の花では、野菜を110種類、お米を10種類作ってます。その他に、にわとりを860羽飼っており、卵をにわとりさんからいただいています。ヤギやハチも飼っており、おいしいミルクとハチミツがしぼれます。しょうゆやみそも作っており、きゅうりや白菜、大根、かぶなどを使ってつけ物なども作っています。

自給自足の良い所は、環境に良いこと、旬のおいしい野菜が食べられることです。ぼくは学校の給食よりも木の花での食事のほうがずっとおいしいと思いますし、57人の家族の人と楽しみながら食べれることが気にいっています。

木の花では、野菜やお米を作るのに、農薬や化学肥料を一切使いません。農薬などを使わない理由は、まず環境や生き物、体に害をおよぼさないようにするためです。農薬を使わないと、生態系が豊かになり、虫を殺さなくても、作物が健康に育ちます。

木の花では、環境を汚さないために洗剤やシャンプーを使いません。他にも紙とゴミを分別したり、トラックをテンプラ油で走らせたりしています。

有機農業や自給自足が環境にいい理由は、いろいろあります。たとえば、有機農業では農薬などを使わないため環境をよごしません。また、自給自足では、近くで作物を育てるため、遠くの地域や外国からトラックや飛行機で運んでくるのと比べて、ほとんど石油を使わないのです。

多人数で暮らすとお金があまりいらないという利点があります。ガスや水、電気代が節約できます。また、自給自足をしている木の花では、食費がほとんどかかりません。

木の花では、一日の自分達の行動の反省などを毎日家族と話し合います。この話し合いをすることにより、子供や大人一人一人の心を育てて助け合いができる人にしていきます。良かったことや悪かったことについて他の人からアドバイスをもらったりもしています。ミーティングを続けていけばみんなの心がきれいになり、どんどんそれが広がれば世界が平和になっていくんだろうなと思いました。

木の花には、日本の人や外国の人が農作業をしたいと来たり、心や体のケアのためにたいざいしたりします。ケアでたいざいしたほとんどの人が、健康になって卒業していきます。また、木の花のメンバーに入りたい、という人もいます。ぼくは、木の花ってすごい有名だなと思いました。

ぼくは、平和に2つの意味があると感じています。まず、1つめは、戦争がないけれども自分さえよければいい、それが平和だと思っている人が多いことです。

2つ目は、争いや戦争がなくなり世界人類がみな家族になることです。

ぼくが、この世界連邦推進作文を書いて思ったことは、まず、みんなが心をきれいにしなければならないということです。まだまだ世界人類をみんな家族にするのは難しいと思います。でも、木の花では、みんなが家族になるという難しいことが50人でもできています。ぼく達にできていることは、他の国の人々もこの暮らしが、できるんじゃないかなと思います。一人一人が自分のことばかり考えるのではなく、みんなのこと、世界のことを考える気持ちが持てるようになればいいと思います。

この作文をつうじて、木の花ファミリーの生き方を世界中に広げていきたいと思います。