34歳のMさんが木の花ファミリーを初めて訪れたのは、2016年12月15日のことでした。10歳の頃、自律神経失調症と診断され、アダルトチルドレンやADHDの傾向があると感じていたMさんは、「人といると怖く息苦しくなる状態から、自然体でいるだけで大丈夫と腹の底から感じたい。幸せ・安心・安全・自由は自分がいつも作り出せると信じたい」と想い、いさどんの面談を受けました。面談の際、いさどんはMさんに次のように伝えました。
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僕は今のあなたを観て、良かったと思うのです。つまり、家族にもしがらみがなく、お金もなく、執着するものもなく、今までの人生にも良いことがありませんでしたね。そうしたら、後はきっかけを掴んだら良いことだらけです。ですから、きっかけを掴む何ものかに出会えばいいのです。それが僕かもしれませんよ♪
あなたの今までの人生を振り返ってみると、人格的に欠落しているとは思えません。ただ、あなたは物事はよく観えて非常に繊細なのですが、少しネガティブに受け身で物事を観て、そのことに対して明快に解答を出して行動することがなかなかできない人なのです。ですから、人から観たら、何を考えているのかよくわからないということにもなります。だからといって、社会生活不適応ということではなく、人間関係を築くのが下手ということでもありません。そういった社会性はそれなりにあるのですが、あなたはまだ自分の生き方を見つけていませんね。ですからあなたは、「何のために生きているのだろう?」という感覚なのでしょう。
それは良いことだと思いませんか?僕は単に、これからすばらしい人生が待っているということを伝えているのではありません。それは、方向を変えて何かを見つけたら、今までのような低空飛行の人生ではない人生があるということです。そうすると、今までのようなどんよりと曇っている人生は、仕込みの期間だったことになるのです。
通常、ここでケア滞在をする人は重い人の場合薬を飲んでいるので、まず薬の量を減らしていきます。それから、病気を引き起こした原因である性格がありますよね。それを改善していき、薬がなくなったら卒業です。もうお医者さんに行かなくてもいい状態になれば卒業ですが、そこから次は、その人の人格がその病気を引き起こしたことを見つめていき、そこを自分でコントロールできるようになれば完全に改善プログラムは終了です。そうすると、今のあなたには病的状態がありませんので、その次の自分自身と向き合う段階にいます。ケアの最初の3分の2はもうクリアしている状況ですから、あなたの滞在は2週間ぐらいでいいと思います。素直に取り入れれば早いですよ。ただ、症状が軽いと危機感がないため逆に時間がかかる人もいるのです。あなたは人から提案されると受け入れるところがあるので、自分を前向きに活かしていけるといいですね。
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いさどんの面談を受けた結果、Mさんはその日からケア滞在をスタートすることにしました。最初の1週間は日記を書くことを課題として与えられ、Mさんは「思い切り寝て、食っちゃ寝したい」ということで自由に過ごしながら、時々作業にも参加し、1週間が過ぎていきました。
1週間面談の際、いさどんとMさんは次のような会話をしました。
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いさどん:
1週間が経ちましたがどうでしたか?
Mさん:
贅沢だなあということと、1週間が経ったなあと思っています(笑)。
いさどん:
僕が想像するところによると、あなたはいつも思考をぐるぐるまわして、どこかに緊張や不足感がある暮らしをしてきたので、思考の万年筋肉痛のようなところがあったと思うのです。「緊張しなくても過ごせる場所があったのだ」というイメージだと思うのですが、どうですか?
Mさん:
そうですね。ここは何も考えなくてもいい場所です。でも、それが逆に不安になるというか・・・
いさどん:
「こんなことでいいのだろうか?」と思うのですね。
Mさん:
そうです!「こんなにやさしくしてもらっていいのだろうか?」と・・・
いさどん:
それは悪い癖ですね。余計なことではないですか?とりあえず1週間は好きなように過ごしてみようということで、1週間が経ちました。ここが目指しているのは、その人がその人らしく、個性を最も活かした状態で生活することです。そうすると、実はストレスもたまらないので、休みもいらない世界なのです。そこにあるのは、お金のことや人間関係など余計なことを考えなくても暮らしていけることの安心感です。今あなたが言ったように、その安心感は贅沢のように思えますが、実は安心で楽な分だけ、その余ったエネルギーを自分を振り返るために使えば、意識の高い人になるのです。
先日、あなたはここのプレゼンテーションを聞きましたね。あれはどこかの話を持ってきたのではなく、長年ここが社会のモデルとしてどうあるべきかを模索し、それを実践してきた結果、蓄積されたものなのです。ですからそこには、ここの生活そのものが表現されています。生活の中にも宇宙観があるということなのですから、広い世界観を持てば誰でもここで体験したような人生を歩むことができます。
1週間前の面談では、あなたは2週間ぐらいで卒業できそうですねと伝えましたが、早く終わってもいいと思いますし、「贅沢だなあ」と言ってそこにぼーっと浸っていたら意外と長くかかることもあるのです。
Mさん:
自分はこの環境に甘んじてないかとか思ってしまうのです・・・
いさどん:
それはネガティブな発想ですね。「自分は怠けているのではないか」とあなたは自分を叱咤するのです。しかしそうではなく、「このような良い環境に乗って、自分を活かす方法はないだろうか」ともっと前向きな発想を持てたらいいですね。
それで、一体あなたは今まで何に対して生き辛さを感じていたのですか?
Mさん:
ネガティブな考えもそうですが、自分で自分を苦しめていたり、視野を狭くしたりしていました。
いさどん:
原因が自分であるということは気付き始めましたか?
Mさん:
はい。
いさどん:
今までも、どこかで原因は自分にあると気付きながら、どうしてもまわりに矛先を向けてきましたね。
Mさん:
はい。
いさどん:
それは余裕がなかったということです。今、せっかく贅沢をしているのであれば、贅沢な場所を活かして、自分のどのような癖がそういった思考をもたらしてきたのかを掴めるといいですね。その余裕の分だけ、自分を振り返ることに使いましょうという提案です。そして、それを掴めるようになったら卒業です。たとえば、今を贅沢だと感じるのであれば、贅沢という基準がどこにあるのかと考えると、今までの自分がどのような人生を歩んできたのかが観えてきますね。そこをもう一段階掘り下げていきましょう。
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そして2週間目も引き続き日記を書くことが課題として与えられたMさん。ところが、熱が出て風邪を引いてしまい、自分を振り返る作業も進まぬまま、2週間面談の日がやってきました。さらに、滞在して2週間が経ったということで、Mさんは明日にはいったん家に帰り、荷物を引き上げてまた木の花に戻ってくることを考えていました。
その話を受けていさどんは、次のようにMさんに伝えました。
「最初の面談では2週間くらいを目途にケリをつけましょうという話をしました。ところが、これが流れなのか天の采配なのか、今回あなたが体調を崩したのも、あなたに心のたくましさがないことが原因していると考えられます。つまり、今まで晴れない人生を生きてきて、あなたの中にそういった自分とケリをつけることに対して躊躇しているところもあるのです。晴れてしまうことを精神的に恐れると、熱を出したり風邪を引きやすいものなのです。これは無意識でなることですが、あなたにはそういった傾向が見られると思うと、勇気を持って一線を越えなければ次の段階には行けません。今までの自分の感情や癖をすべて抜きにしていけばさっと行けるのですが、人はなかなかそういうわけにはいきません。しかし、どこかでそれはクリアしたいものだとは思うのです。ですから、だらだらと滞在するということではありませんが、スタンスを伸ばして再度挑戦ということで取り組んでみたらどうでしょうか?」
それを聞いたMさんは、「そうなんですか??わたしは風邪を引いてすっきりしたし、風邪を引いたのも自分の体が無意識に逃げようとしてそれが癖になっていると感じました。それに今までのぐるぐる思考も止まって、振り返りが少しできるようになったので、やったあ!と思っていたんです。それでもう、卒業する気満々だったんです!」と答えました。
そこでいさどんは、「それは残念ながら違うのですよ(笑)。それは環境がそうさせているのであって、まだあなたの実力ではないのです。それがあなたの実力になることが大切です。あなたはまだ何も取り組んでいませんよ(笑)。それに、自分の言葉に対してそれがどこから出てきているのか、しっかりと吟味する必要があるのです。僕の話は深層心理まで分析していて、そこを改善することが大事なのです。風邪を引いて寝込んだことは無駄なことでも悪いことでもありません。熱が出ることは知恵熱ということもありますし、内省するチャンスでもあるのです。しかし、本来リセットするのに熱を出したり風邪を引くのではなく、日々の中で冷静に自らを振り返りリセットしていくことが大切です。完全に自己コントロールができていなくても、自分自身を常にチェックできる状態になればいいのです。誰でも良い状態になろうと思って、自我が出るものなのです。それは自分にとって都合が良い状態にしようとするからです」と伝えると、Mさんは明日家に戻ることをやめ、引き続き滞在することを決めました。
そこからMさんは、いさどんからの提案通り、これまでの面談音源を聞いてみたり、作業中のいさどんのところに度々話に行っては自分自身を見つめようとしてきました。そんなMさんに一線を越えるきっかけをもたらしたのは、1月2日から4日まで木の花ファミリーの生活を体験するためにアメリカからやってきた20名の大学生たちでした。座談会やミーティングの場で真剣にいさどんに質問している彼らの姿を目の当たりにしたMさんは、「とてもわくわくして、今までで一番面白かったです!今までいさどんは普通のおじさんだと思っていたけれど、実はすごい人で、自分はすごいところに来たのだと初めて思いました!」とかなり大きな刺激を受けたようでした。1月3日のミーティングでいさどんに促され、自分の気付きを涙を流しながら皆に報告したMさんに対し、いさどんや他のメンバーももらい泣きしていました。
そして、彼らが木の花ファミリーを出発した1月4日の夜に3週間面談が行われました。いさどんから、「あなたは病気ではないのですから、どこかでこの滞在に区切りをつける必要がありますね。あなたはこれからどう生きていくのかを考えたほうがいいと思うのです」と伝えられたMさんは、「2月19日から始まる1ヶ月間の真学校に参加したいので、その前に一度福岡に戻ろうと思っています。荷物を整理して、それからここに戻ってきて真学校を受けた後は、東京で自立して暮らしたいです」と答えました。このようにして今後の見通しが立ったMさんに対し、いさどんはケアの卒業を伝えたのでした。また、Mさんが「いつも皆さんには与えてもらってばかりで・・・何か恩返しをしたいのです」と言うと、いさどんは「これからあなたが健全な人生を生きることがわたしたちに対する一番の恩返しです。あなた一人分だけ、世の中を健全にするのです。それが一番大切なことですからね」と伝え、Mさんは、「本当にそうですね!」と納得していました。
Mさんの心を見つめる旅はまだまだ始まったばかり。今、Mさんは「本当に濃密なストーリーを歩ませてもらっているのだと改めて気付きました」と語ります。MさんがMさんらしく生き生きと充実した人生をこれから花開かせることを皆で応援しています。1ヶ月間の真学校でまたお会いしましょう♪
囚われを外したら
そこは宇宙だった
2017年2月19日~3月18日
「1ヶ月間の真学校」開催!
何か問題が起きた時「自分は悪くないのになぜこんな事が起きるのだろう」と思ったことはありませんか。
人は問題を見つけると、とかく自分の外に原因を探し、周りを変えようとします。ところが周りはどうにも変わることなく、問題だけが積み重なり、今や家庭の中から地球規模に至るまで、どこもかしこも問題だらけの、行き先の見えない世の中となりました。
しかしそれは視点を変えれば、大転換のチャンスでもあるのです。
1ヶ月間の真学校は、人生の問題のあるなしに関わらず、生きることの突破口を開く場です。そこに特定の正解はありません。一人ひとりが客観的に自己を捉える冷静な目を養い、視野を広げ、その人らしい人生を自ら切り開いていく力を身に付けます。
【日程】
2017年2月19日(日)~3月18日(土)
【会場】
木の花ファミリー
【定員】
15名 定員に達し次第受け付けを締め切ります。
【参加費】
18~22万円 収入に応じたスライド制です。受講料や食費など1ヶ月間の滞在費全てを含みます。
【内容】
「農」「食」「医」「経済」「環境」「教育」「社会」「芸術」と多彩な切り口の講座を通して、受講生一人ひとりの心の性質や人生の使命、そして時代の流れを読み解きながら、この世界の真実を観抜く心の目が開かれるよう、いざないます。
講座例:人格を学ぶ講座(カルマ読みと地球暦)/コミュニティ創設講座/天然循環法の畑作・稲作/ファシリテーション/世界観を広げる/菩薩の里の経済/自然療法プログラム/食養生/有用微生物群の培養/天然醸造味噌作り/創造性と芸術/カタカムナ/性と宇宙/自然災害と防災/持続可能な心の持ち方
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