社会をとらえる視点

13日から15日にかけて、フランス人のニコさんとポーランド人のアニャさんのご夫妻が、コーディネーター兼通訳の小倉沙央里さんとともにファミリーに滞在されました。

ニコさんとアニャさんはもともとはビジネスマンでしたが、現在はローカリゼーションを推進するイギリスのNPO「The International Society for Ecology and Culture (ISEC)」で活動されています。ISECは「Ancient Future(邦題:懐かしい未来)」の著者として知られる著名な環境活動家であるヘレナ・ノバーグ・ホッジさんが設立された団体です。お二人はISECがラダック(文末にWikipediaからの解説を転載します)で行っている活動にボランティアで参加されたあと来日され、ファミリーを訪問されました。

お二人はラダックの現在の様子や、ISECが当地で行っている活動についてファミリーにプレゼンテーションをしてくださいました。私たちは過去にたくさんの過ちを犯し、大切なものをたくさん失ってきた。だから、ラダックの歩んだプロセスから学ぶと共に、ラダックの人たちに正確な情報を伝えなくてはならないのだ、と。

それに対して、ファミリーのメンバーの何人かから、共に助け合う農村社会から文明社会への転換も、人々が学び、進化していくためのひとつのプロセスとしてとらえられるのではないか、という視点が提案されました。ラダックの人たちが自らそのことに気づき、目の前の現象、すなわち変わってゆく世界やそこから起きるさまざまな問題から学び、心の視点を高めていくことが必要なのであって、たとえばグローバリゼーションの阻止や伝統文化の復興といった直接的な行動を目的とするのではなく、現象を発生させる原因となった心を見つめ直すことが必要ななのではないか、と。

それに対してお二人は、グローバリゼーションなどの社会システムにこそ問題があり、人々を不幸にするそうした仕組みを克服することが必要なのであって、それを進化のためのプロセスととらえる考えは理解しがたい、とのことでした。一方で、同行された通訳の小倉さんは、ファミリーの視点は非常によく理解できる、とおっしゃっていました。

すべてのできごとは必然であり、大きな視点に立てば実は問題というものは何ひとつない、とする私たちのとらえ方は、物事に明確な善悪を設定する西洋的な視点からは、あるいは理解しにくいかもしれません。ブログ担当者には残念ながらこの議論の奥行きを再現することができませんが、双方にとって、非常に有益な学びの場となりました。

なお、以下はラダックについての解説です(Wikipediaより転載)。

ラダックは、近年、グローバル経済の進展に対抗するカウンターデヴェロプメントの実践を目指す人達から注目されている。 スウェーデン出身の言語学者ヘレナ・ノバーク・ホッジは、 ラダックが外国人に開放された1974年にドキュメンタリー映画の撮影メンバーとして入域してから、一貫してこの地の伝統的な文化や自然、経済活動を守 り、維持する活動を30年間にわたって続けてきた。 その間ヘレナ氏が設立したNPOは数多く、それらの団体は現在ではラダッキ自身が活動を行っている。 ヘレナ氏自身は、イギリスに本部を置く環境保護NPOISEC(The International Society for Ecology and Culture) のメンバーで、現在もラダックで活動を続けている。 ヘレナ氏の著書「懐かしい未来」は日本語を含んで数十ヶ国語に訳され、環境や持続的社会に関心を持つ多くの読者に支持されている。 ヘレナ氏は2006年5月に日本に招聘され、4日間にわたって首都圏で講演活動を行った。 また、ラダッキ自らが設立したSECMOL(Students’ Educational and Cultural Movement of Ladakh)は、特にラダック人としてのアイデンティティーをしっかりもち、ラダックの未来を担う人材教育に力を入れているNPOで、ラダック自治山間 開発会議の制定するラダック語の教科書編纂なども行っている。 日本国内でラダックを支援するNPOには、ジュレーラダックがあり、2004年から現地NPOとの交流、支援、ステディーツアーなどを積極的に行っている。

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ウェルカムコンサートでのアニャさん(左)とニコさん


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