毎日が幸せ!バァズの日々

ファミリーの毎日の暮らしを支える縁の下の力持ち・バァズ

若者たちがオタオタしている時でも、バァズの安定感はすごい。木の花きっての陽性パワーの持ち主・みきちゃんをして「ここの暮らしはバァズでまわってるよ」と言わしめる程、陰に日向にみんなの日常を支えているのです。
さて、今月発行予定の木の花ファミリー通信・最新号では、介護士として老人ホームで働くみっちゃんが、福祉の現場で感じたことを紹介しています。今、多くのお年寄りが不安や淋しさを抱える中で、なぜにバァズはこんなに元気なのか。
そのワケを、本人たちにインタビューしてみました!

 
でこちゃん
役割 : 洗濯、マッサージ、ぬか漬け、天然酵母パン作り、ダジャレ。子どもをはじめメンバーが病院へ行くときの送迎をすることも多く、富士宮界隈の病院に詳しいが、ただ今目の病気のために運転はお休み中。
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何で不安がないかって?やっぱり、みんながいるからでしょ。
昔だったら何やるにもお金が必要だったよね。今は・・・まぁ、いつ死んでもいいんだよ。覚悟が決まっちゃってるのかな?(笑) 毎日が充実してる。
何で充実してるかって?働けるってことが、すごい幸せなの。人がたくさんいるってことは、それだけたくさん、生きていくためにやることがあるってことでしょ。やることがあるのが幸せなんだよ。幸せだから、不安がないのかな。

今死ぬことになって、満足して死ねるかって言ったらまだまだだなーと思うけど、その時はその時って思ってるから。この先どうなっても、「こうなったら困る」とか自分で決めて、不安に思うことはないね。生きるも死ぬも、自分の意思じゃどうにもならない。全部、天にお任せ。こんなに楽な生き方はないね。
70歳になってこんなに穏やかに、ガハハと笑って生きられるのは幸せだね!

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ヤーちゃん
役割 : 家事、生け花、佃煮や漬物、ジャムなどの保存食作り。塩麹や醤油麹を使ったアレンジも得意!「恵みいただきます」でもいろいろ販売してます。
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不安がないのはどうしてか? うん、全くないわねぇ。もうあたり前すぎちゃって・・・どうしてかな。
やっぱり、一緒に暮らす家族がいるからだよ。それだよ!絶対に。

ここは、何かができるとかできないとかいうことじゃなくて、心を磨くことが大事な場所でしょ。そういう家族といるから安心なんだよ。いつも誰かが見ててくれる。普通だったら、みんな忙しかったら放っておかれて一人ぼっちになるよ。
毎日が充実してるのは、やれることがあるのも大きな要素だね。私たち自身もみんなのためになってる。それは大きなポイントだね。

昔は生きてくのに無我夢中だったから、不安があるとかそんなことも考えなかった。仕事でも家庭でも、孤立無援でやっていくのが当たり前だと思ってたの。だけど、ここに来たら全然違った。
要は、どこにいても、人とつながることを大事にしたらいいんだと思うよ。そうしたら孤立する必要はないものね。

今は、昔思い描いてたことがどんどん形になってきてる。その充実感たらないよ!老若男女、病んだ人もお医者さんもヤンキーもいて、みんなが助け合って生きる世界がいいなって思ってたの。
今は、ほんとにこの生き方しかない。毎日が楽しみで、ワクワクドキドキしながら生活してるよ。前に進みすぎる自分の陽性の性質が、昔は裏目に出ることもあったけど、今は生かされてるしね(笑)。
この間、大人ミーティングでネット暴力にどう対応していくかを話し合ったでしょ。あの後、すごく充実感があったの。何か発言ができるわけじゃないんだけど・・・・そこに参加してるーって気持ちでいて、充実感があった。

未来がどうなるかはわからないけど、ワクワクするね。心を磨いてみんなと暮らすことで、ひそかに描いてた夢が現実化していくんだよ。

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としちゃん
役割 : 家事、子育て、陶芸。バァズの中でもひときわアクティブなとしちゃんは、畑隊の応援に借り出されることも多い。ひまわりや木の花庵には、所々にとしちゃんの陶芸作品が飾られている。
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毎日おいしい食事が食べられるし、ベビーから大人まで、若い子と一緒に暮らせるし、「ただいま」「おかえり」がちゃんと聞こえる。そういうのがすごく安心感がある。ごはんの前に、みんなでそろってお祈りして「いただきます」するとかね。そういうの、なかったから。
人と生きてる、って実感があるね。生かされてるというか、支えられてるというか。

血縁がない人たちと家族として暮らすことをどう思うか?だって、みんな地球で生きてるじゃん!みーんな同じところからつながってる。遠くからというか、昔からというか。それが、ここにおったら実感として感じられるね。人間はこの星にしかいないなんて考えもしなかったけど、そうなんだなー、って感じられるようになってきたよね。人間だけが宇宙の法則から外れたことをしてるってこともね。

群れの中で生活しようって思いは、昔から自分の中にあったね。旦那さんと二人で暮らしてた時、そりゃぁやりたいことはやれたよ。だけど「ただいま」って言っても誰もいないし、一緒に「いただきます」をすることもなかったから。
世の中の人に伝えたいことがあるとしたら・・・・早く気付いてもらいたいね!
そして、どうぞ一緒にまいりましょう。

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あさちゃん
役割 : 子育て、家事、卓上醤油と塩の管理。木の花の食卓の醤油と塩は、あさちゃんに守られている!!
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日常生活に不安はないです。逝ったら逝ったでその時だし。今までそれなりにやってきたから。自分なりの御の字です。

= = = = = =

口下手のあさちゃんは、多くを語らない。
あさちゃんはもともと老人ホームへの入居を申し込んでいたけれど、木の花ファミリーに出会い、申し込みをキャンセルして木の花メンバーになったのでした。今はベイビーズのお世話から洗濯物たたみ、食卓のセッティング等々、日々休みなく働いて、みんなの暮らしを支えてくれてます。

インタビューでは言葉少なだったけど、あさちゃんは後からトコトコとやってきて、「これが今の私の気持ち」と言って、こんな紙切れを渡してくれました。

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かくも素敵な木の花バァズを、どうぞよろしく♡

 

 


木の花バァズ・ファッションチェック!

以前このブログにも登場した木の花・バァズ。
その中で、ファッションの東西横綱をはるのがこの二人!

としちゃん
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ヤーちゃん
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齢を重ねるほどにますます乙女の二人は、とにかくおしゃれ。
今日は、そんな二人の日々のファッションをチェック!

 
エントリーNo.1 としちゃん

陶芸家でもあるとしちゃんのファッションはアバンギャルド。
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このヘアターバンは、古着のシャツの裾を切り落としただけのもの。
スカーフやネックウォーマーも、古着の切りっぱなしをアレンジしてます。
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お手製のアップリケ。
実は「穴が空いたから隠したの(笑)」
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農作業中もおしゃれなとしちゃん。
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かわいいお花を見つければさっと頭に飾り ー
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時々こんなこともします。
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セーターの袖を切り落として袖口を絞り、帽子にしてみたり。
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細部にまでとしちゃんらしさ満載!
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エントリーNo.2 ヤーちゃん

抜群の生け花のセンスを持つヤーちゃんは、着物のアレンジが得意!
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着物生地を使った手作りの服。
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こちらも手作り。
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普段着もさり気なくおしゃれ。
カメラを向けるとポーズを取るかわいいヤーちゃん。
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時々こんな格好もします。
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小物使いにもセンスが光る!
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こんなかわいいバァズたちを、どうぞよろしく♡

 

としちゃんが焼いた花器に、やーちゃんが花(とトウガラシ!)を活けました♪
としちゃんが焼いた花器に、やーちゃんが花(とトウガラシ!)を活けました。

 

 


さっちゃんの、バァズの皆さまありがとう♡ 〜 ヤーちゃんの巻

さっちゃんのバァズレポート、第2弾!

第2弾は、ヤーちゃんの登場です!
第2弾は、ヤーちゃんの登場です!

 
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ヤスエさんは、今年の誕生日を境にヤーちゃんと改名して可愛く生まれ変わりました。
 
先日、木の花庵のお風呂掃除を終えて廊下に出ると、大人に叱られた子どものように涙を両手で拭いながら歩いてくるヤーちゃんと出会った。
「どうした?」と聞くと、昨日赤ちゃんにごはんをあげていた時の出来事をヤーちゃんなりに振り返ってまりねぇに話したら、「それは心磨きではない」と言われた、と言って泣いた。

ヤーちゃんは以前から子どものごはんの用意が苦手で、それでも最近はメモを取りながらも自らチャレンジしてくれていた。
昨日はヤーちゃんが、ゆうひ(2歳)のごはんのお代わりに、細かく刻んだおかずをのせて持ってきたら、ゆうひは既に私の持って来たお代わりのごはんを食べていて、それを見たヤーちゃんは激怒した。自分がお代わりを作っていたのに誰も気付かない、自分が座っていた席に他の人が座っている、という理由だった。

次の日にヤーちゃんは私に、昨日はびっくりさせてごめんなさい、と謝った。そんなヤーちゃんに何の事か忘れてしまっていた私の方がごめんなさいだった。人から注意された時に、「言われなくてもわかっている」と言いたくなるヤーちゃんの我が出てくるそうだ。
まりねぇの真意もわかっている。このままの心でいれば自分はここにいられなくなる。だから、自分をコントロールしていくんだと涙ながらに語ってくれた。

ヤーちゃんは、耳が悪いからみんなが何を話しているのかよくわからないとよく言うが、(私は耳が良くてもみんなの話がわからない時もある)人の観察は素晴らしいと思う。
あの人はごはんの量が多いからストレスがたまっているとか、人の癖もおもしろいと解説をしてくれる。ヤーちゃんは昔テレビでやっていた「家政婦は見た」というドラマの家政婦さんみたいだと思う。
そんなおもしろおかしい、時にはやくざのように怒るヤーちゃんが、お茶席の時に作務衣を着て、凛と座っている姿を見た。かっこいいと思った。話し方もどこかの奥様のようで、「だよねー」なんて話している人と同一人物のようには思えない。

お茶席のヤーちゃん
お茶席のヤーちゃん

 
昨日ヤーちゃんに「調子が悪いの?」と訊かれ、「胸が痛いんだ」と言ったら、「それは心に何か詰まっているんだよ」と言われた。
バァズと一緒にお茶をしながら、「私はあさちゃんやヤーちゃんやでこちゃんやあっちゃんやラブちゃんの事が気になるんだ」「みんな仲良く、楽しく過ごせばいいのに…」と言ったら、ヤーちゃんは「さっちゃんはそうやって気を病んで病気になるんだヨ」と言った。

その時私は、人の心を自分の思うようにしたいと思っていたんだ、と気付いた。
大事なのは自分の心。自分が変われば世界が変わる。
 

ヤーちゃん、ナイスなアドバイスをありがとう。
そして、私の事も日々観察して見守ってくれてありがとうございます。
 

ヤーちゃんとあさちゃん。子どもたちと一緒に。
ヤーちゃんとあさちゃん。子どもたちと一緒に。

 
 


さっちゃんの、バァズの皆さまありがとう♡ 〜 あさちゃんの巻

2年前に乳ガンになって以来「心が変わればガンは治るのか」人体実験中のさっちゃんからの日々のレポート、今回のテーマは “バァズ” です!

バァズシリーズ第1弾は、福島出身のあさちゃんです!
バァズシリーズ第1弾は、福島出身のあさちゃんです!

 
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私はガンになって、寒い倉庫で作業する収穫隊から、ひまわりの家事・子育てをするセンターチームに移った。

センターチームでは、60歳以上のお年寄り(バァズ)と30~40代の若者(バカ者?)が作業している。以前からバァズはおもしろい♡と思っていて、誰かブログにあげてほしいと思っていたが、誰もあげてくれないので自分であげる事にした。

バァズ:左からとしちゃん、あさちゃん、デコちゃん、ヤーちゃん
みんなの暮らしを支える縁の下の力持ち、バァズ

ガンセンターを受診する度に、あさちゃんは「どうだったかぁ?」と訊いてくる。そして必ず、先生に「切れ」と言われたら自分なら「ハイ」と答えてすぐ切るよ、何でガンなのに切らねえんだかわかんね~、と首をかしげる。

そんなあさちゃんが、前回の受診の翌日、初めてほめてくれた。
あんたはえらい!!そうやって自分で考えて、やっているのが素晴らしい!!パチパチパチ。(パチパチパチは口で言いました。)

いやいや、あさこさん、そんなあなたの方が素晴らしい!
あさちゃんは、けっこういつも怒っている。
「まったく、また塩の入れもんにスプーンが入っているよ。プンプン(チーン)」
木の花の塩と醤油はあさちゃんが守っている。
うちの醤油は生きているので、夏場は食卓に出しっぱなしはご法度。塩はシママースなので湿気ですぐ固まる。あさちゃんはまめにチェックしてフライパンで塩を炒る。そして醤油の出しっぱなし、台拭きの出しっぱなしに怒る。けれど出しっぱなしに怒るだけで出しっぱなしの人に怒るわけではない。

― 出来事を憎んで人は憎まず ―

私が失敗すると「あちゃー」と言って笑う。
子ども達にもガミガミ怒るが、子ども達は聞いていない。そんな子ども達にもせっせと自分がとっておいたデザートを配る。腰が痛くていさなをだっこできなくてもおんぶする。
   
そのあさちゃんのへそくりが見つかり、そのお金でバァズ専用のipadを購入した。

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真剣に使い方を勉強するバァズたち。
子どもそっちのけです。
子どもそっちのけです。
盛り上がってます。
盛り上がってます。

勉強熱心なあさちゃんは、それでミーティングを録音したり、みかちゃんがホワイトボードに書いたものの写真を撮ったりしているが、他の人が使ったり、充電していたり・・・と時々見当たらなくなる。
その度にミーティングで「知りませんか」と聞いたりしていたが、この間ホワイトボードの連絡事項の欄に「バーバーズアイコンを使用する人はバーバーズに声をかけてください」と書いてあった。
 
「バーバーズ」って・・・床屋さん達?
「アイコン」って?・・・(笑)
 

日々一生懸命さが伝わります。
そして可愛くておもしろい♡
 

時々私にもおやつをくれるあさちゃん。
今日もありがとうございます。礼。
 

誕生日会で『セーラー服を脱がさないで』を歌う、おちゃめなあさちゃんです♪
誕生日会で『セーラー服を脱がさないで』を歌うあさちゃん♪

 
 


えいこばあちゃん物語 〜 お迎えが来たら逝くだけのこと

一つ前の記事『僕に、心とは何かを教えてください』の中で紹介されたように、昔は「お金ないない病」にかかっていたというえいこばあちゃん。しかし、ここ富士山麓での暮らしを始めた時に、それまで貯めてきたお金を「早く使ってください」といって当時家計を預かっていたあいちゃんに全て渡し、全部を使い切った時に「あーすっきりした!」と本当に楽になったのだそうです。
「子どものころは生活のために、結婚してからは子どものために、そして子育てが終わったら今度は自分の老後のために、必至でお金を貯めてた。だけど、そういうふうに何かを所有していることが、自分を苦しくするんだってことに気がついたの。」

今日は、3年前に出版された本『血縁を超える自給自足の大家族』に掲載された、えいこばあちゃんの物語をご紹介します。いつも眉間にシワを寄せて暗い顔をして「私ほど不幸な人はいない」と言っていたえいこばあちゃんは、今、みんなのアイドルです。そんなえいこばあちゃんの、今の心をお届けします。

みんなのアイドル、えいこばあちゃん
みんなのアイドル、えいこばあちゃん

私は4歳の時に両親に死に別れて、おじいさんとおばあさんのもとで育ったの。
韓国人ということで、学校でいじめられる事もあったけど、先生がいい先生で、すごくよくしてくれたよ。生活は苦しかったね。おじいさんに給食代をちょうだいって言えなくて、給食の時間になると外に遊びに行ったり、家に帰ったりしてた。おばあちゃんはそれをわかってて、ご飯をとっておいてくれてね。たいしたものはできないから、それこそ芋とかすいとんみたいなものだけど、精一杯をやってくれてたんだなあと思うの。

5年生の時におじいちゃんが入院して、家の手伝いが忙しくなって、それから学校にはほとんど行かなかった。知り合いの所で子守をやったり、お百姓をしたりしてね。そしたら、その家の人が服を作ってくれたりもしたよ。

22歳の時に、お見合いで結婚したの。長男とお酒飲みだけはいやだと思っていたら、相手は長男でお酒飲みだった。
家にお金を入れてくれなくて、結婚3ヶ月目の時にはご飯を炊きたくてもお米がなくてね。近所のお米屋さんの前を何度も行ったりきたりして、思い切ってお店に飛び込んで、「必ず返しますからお米を貸して下さい」ってお願いしたんだ。そしたら「嫁いできたばかりのお嫁さんが気の毒に」と言って、貸してくれたの。
すぐ隣の八百屋さんも同じようにしてくれてね。ありがたいことに、みんながすごくよくしてくれた。

なんかね、小さい時から、家でも近所でも、いろんな人がかわいがってくれたの。それは本当に感謝してる。苦労してるように見えるけど、あちこちから、愛がすごかったんだよ。
子どもにね、言ったことがあるの。「私が小さかった頃、生活は苦しくて、おじいちゃんもおばあちゃんも大変だったけど、大変なりに精一杯してくれた。私もあなたたちに、人並みにはしてあげられないけど、愛はいっぱいあげたいと思う」って。
私がひねくれなくて済んだのは、愛に包まれてたからなんだよ。

3番目の万里子が生まれた頃には、旦那の仕事もうまくいって、生活も安定するようになったの。でも私は必死でお金を貯めてた。子どもの世話にはなりたくないって、老後の心配をして、お金のことばかり考えてたよ。

子どもが大きくなって家の改築をした時に、内装の仕事でうちに来たいさどんと初めて会ったの。おもしろい人だなあと思ったよ。「人間は学ぶ為に生まれてきた」だなんて、聞いたこともなかった。

それまではね、学歴がないことで、ずっと控えめになってたの。小学校までしか行っていないことが恥ずかしくて、人に言えなかったの。だけど今はもう、なーんにもない。堂々と言える。

そういえば、私は手が大きいでしょ。若い時から、握手の時には顔が真っ赤になるくらい、手を出すのが恥ずかしかったの。でも今は、この大きい手が、働くためにすごく役立ってる。みんなに大きいねって言われて、そうでしょ、と堂々と言える。
何で変わったのかなあ。ここで暮らして、そういう心をいただいたんだね。毎日仕事してて、みんなに力があるねって言われるでしょ。それって、やっぱりこの手のおかげだと思うんだ。この体も、この手も、すごい感謝だし、ありがたいよね。

ここに来たばかりの時は、我が強くてね。いさどんにそう言われても、その意味がわからなかった。どうやったらわかるだろうって泣きながら神様に聞いても、やっぱりわからない。何かあるとすぐ言い訳したり、人のせいにしたり。
でも今は違うよ。人の言うことも素直に聞けるし、自分の言ったことも、それでよかったのかって考えるしね。

始めのうちはね、誰かにこれやって、って仕事を頼まれると、またやらなきゃ、どうしよう、って思ってたの。今みたいにみんなで分かち合うということがわからなくて、断っちゃいけないと思ってたんだね。それで、疲れちゃった。
今は、できなきゃ誰かに頼めばいいと思えるからね。みんながいるから大丈夫、って。だからやれるんだと思う。

今思うのはね、いつまで元気でいるかわからないけど、もし病気でオムツになっても、赤ちゃんみたいな心になって、パーッと手を広げて、はい、お願いしまーす!というふうになれたらいいなって。それが今の私の目標というか、学びなんだ。本当に、心の底からありがたくって、もうみんなにお任せ、どうにでもして、って。ただただ、そういう心になれたらいいな。

みんながこんな風に、心を学んでいけたらいいよね。ここにいる人は、日本の中でも、ほんとの、ほんとの、一握りもないくらいでしょ。それがめぐりあってこうして学んでる。心をどしっとかまえれば、こんなに幸せになれるんだよ。

やっぱりね、年寄りもこうして若い人と一緒に作業すると、もっと若返るんじゃないかな。
よく、おばあちゃんは臭いとかいやだとか言うことがあるでしょ。だから、ここの子供たちが「えいこばあちゃんかわいい!」とか言ってくれるのが、余計に嬉しいの。本当に嬉しいの。肩揉んでって言ったら、いいよってやってくれるし、みんなに大事にされて、ただただ毎日、感謝しかないよ。

だから、なんか、余分に仕事したくなるの。年寄りだからやめなさいではなくて、若い人とでも同じようにやらせてもらえて、あてにされるのはありがたいよね。みんなで分かち合っていく。
この心を、まずは日本中に知らせたいな。大事なことだもんね。みんながこういう心になったらいいなって本当に思うよ。

私ね、好きな人がいたの。結婚したかったの。でもその人は日本の人でね、おばあさんがすごく悲しむんだ。昔だからね。叔父さんが日本の人と結婚した時におばあさんはすごく悲しい思いをして、あんな辛いおばあさんをみるのは二度と嫌だと思って、それでお見合い結婚をしたんだ。
だけど、それでよかったんだね。これが私の人生。今ふと思ったけど、もしもその人と結婚してたり、学歴があったりしたら、こんな人生なかったでしょ。やっぱり、ここまでこれたのは、今までのことがあったからだと思うんだ。
だから、私にはこれが100%。私にとって一番の人生なの。
今はただ毎日を一生懸命過ごして、お迎えが来たら逝くだけのこと。何も残すものはないんだ。

みんなに愛されて、ありがたいよ。私ももっと愛していきたいです。

 

 


 

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『 血縁を超える自給自足の大家族
〜 富士山麓からのメッセージ 』

木の花ファミリーメンバーたちが、この生き方にたどり着くまでのそれぞれの歩みや、日々の生活の中で大切にしていることなどをそれぞれの切り口から語ります。
出版から3年が経過し、現在の木の花はだいぶ変化していますが、それでも、創立からずっと大切にしている“心”は変わっていません。ご興味のある方はぜひご覧ください。

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