まつり

木の花ファミリーでは、1月30日(土)に富士浅間木の花祭りを開催します。
この祭りは、愛知県奥三河地方の東栄町で700年間続いていると云われる国の重要無形民俗文化財「花祭」を、富士の地で受け継いだものです。その昔、熊野からやって来た修験者たちが「人間は修行により生まれ変わった新たな人格へと自らを再生することができる」ということを歌や踊りを通して村人たちにわかりやすく演じて見せたことが始まりであるというこの祭りでは、祭場の中央にある湯釜で聖水を焚き、その周りを舞い手と観客が一体となって、様々な舞を舞い踊ります。
祭りの開催に先立ち、木の花祭り総代であるりょうちんが想いを語りました。

*富士浅間木の花祭りの詳細はこちら

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りょうちん
りょうちん

人類がサルから進化してから500万年の間、武器となるような爪や牙をもたない人類はずっと洞窟に隠れ住んでいたそうです。明るいうちは洞窟に隠れ住み、夜になると動物の死骸をあさり、他の動物が食べ残した骨の髄を食べて生き延びてきたそうです。

彼らは常に外敵からの恐怖と飢えに晒され続けており、夜の闇はさぞ恐ろしかったと思われます。火が発明され、洞窟の闇に灯された火は、彼らに安心感をもたらしました。動物が火を恐れるのに、私たち人間が、焚き火を見つめて心が安堵するのはそういった記憶からなのかもしれません。

その時代に祭りの原型があります。原始の人類は、飢えや恐れを解消するために、みんなで火を囲み歌い踊ったと言われています。ひとつのリズムに合わせて、足を踏みならす。それはまだ人類が四足歩行から直立二足歩行への過渡期であり、踏みならす動作は歩行訓練であったとも言われています。へんべいの始まりは、この原始の時代にあるのではないかと思うと、不思議な気持ちになります。

やがて人類が武器を発明し、地上に繁栄していくと、まつりは恐怖の解消のためのものではなく、現在のような非日常に行われる集団の意識を統合するためのものとなっていきます。

東栄町の花祭も、それぞれの集落をまとめるためのものとして、時代ごとの信仰を取り込みながら引き継がれてきました。木の花祭りもまた私達が目的とすることを皆で共有し、そのエネルギーを日常に発揮していくものです。私達は日常の中に「ひとつ」を表現する者ですが、非日常だからこそ表現できることもあります。火を囲み、音楽や舞、ひとつのリズムに合わせてへんべいを踏む、それは原始の時代より続いてきたまつりの原型そのものです。

次回で木の花祭りは四回目になります。これまでも、現地の小林地区の花祭に少しでも近づけるように努力してきました。前回の木の花祭りでは、タメを表現するために、地固めの舞などでは特に、あえて太鼓の拍子をゆっくりにし、ゆったりとした舞を表現しました。それはそれで美しいという反響がありましたが、「体操のようだ」という声もありました。実際、本来の小林の拍子はもっと早いものでありながら、舞手からは余裕が感じられる。舞は舞手それぞれの個性もありながら、ポイントでは非常に一致した一体感が見られます。

それをやるために、新たな取り組みとして、太鼓の拍子を現地のように早くします。しかし舞手は太鼓の音はしっかり聞きながら鈴を鳴らす。今までのような全ての所作を全力でやっていては体力も持ちませんし、太鼓の音を聞く余裕もできません。なので、舞手の所作には緩急をもたせます。小林の方から何度も緩急が大事だということは伝えられていましたが、例えばチャフヤ(舞の一種)も途中は静かに、太鼓の音が大きくなるのに合わせて動作を大きくしたり、その他の移動しない所作では静かに動き、移動する所作の時に大きく動くなどひとつひとつの所作に対して緩急をもたせるようにします。

それと同時に、四つ舞(最も難易度が高いと言われる男性4人の舞)は大きく分けて「ゆわぎの舞」「ふりならし」「みやならし」「窯まわり・とへほ」という4つのパートに分かれます。それぞれのパートの中でも、最初から最後にかけて動作や拍子も大きく早くなっていきます。こうやってパートごとで緩急をつけていくと共に、「ゆわぎの舞」から「窯まわり・とへほ」までの4つのパート全体を通しても、徐々に動作と拍子を大きく早くしていきます。

四つ舞
四つ舞

舞の動作の緩急、パートごとの緩急、舞全体の緩急、そして、祭り全体を通して「神事」から始まり「地固めの舞」「湯ばやし」「獅子舞」と、そこにも緩急があります。このリズムがグルーブ、うねりにつながるのだと思います。

そしてこのうねりは、非日常の花祭から、日常の生活へとつながり、そこにも静と動、緩急がうまれ、一年を通して、この生活をとおしてうねり、グルーブが表現されて、私たちの生活がよりダイナミックに、いきいきとした場になっていきます。

生命も宇宙も、あらゆるものが振動し、それぞれのグルーブで生を表現しています。私たち木の花ファミリーもまた、世の中に新たな活力をもたらすための動として、人類が原始より活力源としてきた一体を表現していく役割として発信していきましょう。

 
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ただ今ファミリーでは、祭りの開催に向けて着々と準備が進んでおります。
2016年度富士浅間木の花祭りの開催案内はこちら
140201-162736