たった一言で

先日、共同体の暮らしや自給自足に興味があるご夫婦がファミリーを訪れました。農作業&お料理体験や施設見学、いさどんによるプレゼンテーションとひととおりの体験を終えた後、いさどんと今後の生き方について相談する場がもたれました。

最初は旦那さんがいさどんに色々な質問を投げかけ、奥さんはそれを黙って聞いていらっしゃいました。しかし、その後いさどんに「何でもいいから、何か質問はない?」と振られると、「実は私、劣等感が強くて」という言葉が漏れました。そこでいさどんが、「あなたは自分が強いからね」と優しく言葉をかけると、彼女は堰を切ったようにぽろぽろと泣き出したのです。そして、事前にお二人に書いてもらった家系図を見ながらいさどんが、「あなたにはお母さんからの影響が強かったでしょう」と言うと、彼女はますます激しく泣き始めました。そんな彼女を温かく見守りながら、いさどんはこう続けました。「あなたはもともと明るい人なのですよ。ただ、お母さんのからの抑圧が強かったから、今のように心が不安定になってしまったのです。でも、ここにしばらしく滞在したら健全な自分を取り戻すことが出来ます。まずは、自分の心を立て直すためにここに来るといいですよ。」彼女はいさどんの話を頷きながら聞いていました。長年の間溜まっていた感情が一気に出たかのようにずっと泣いていらっしゃいましたが、しばらくすると彼女の顔にうっすらと笑みが浮かびました。

その場に同席した私が感じたのは、「たった一言で、人の心が癒されることがある」ということです。生まれてからずっと一緒にいる両親でも、血縁のある家族でも、そこに思惑や利害が絡むと、本当のその人を理解することはなかなか難しいものです。しかし、見ず知らずの他人でも、真に理解してくれる人に出会えば、その理解が今まで閉じていた心を開き、癒しにつながっていくのだということを目の当たりにした一日でした。

最初彼女はここにいても落ち着かず、どこか暗い雰囲気を漂わせていましたが、相談が終わって帰る頃にはすでにもともとの明るさを少し取り戻し、メンバーからも「彼女の雰囲気が変わって良かったね」という声があちこちで聞かれるようになりました。

ここには心身のケア相談を目的に色々な方が訪れますが、いさどんと1時間くらいお話をすると、「もうあなたの病気は半分くらい良くなった感じですね」といさどんから言われるような方もいらっしゃいます。自分ひとりで問題を抱え込んでしまうとどこまでも暗く落ち込んでしまうものですが、勇気を持って正直に想いを伝えると新しい道が開かれるものです。

まずはひとりひとりの健康が健全な地球を創り、それが地球の平和につながっていきます。今日もまたひとり、心の健康を取り戻し始めた方と出会いました。その出会いに感謝です。

木の花のケア相談にはもれなく笑い上戸のエリー(左)といさどんのダジャレ、そして合いの手上手なようこ(右)がついてきます!

人参母本選抜

たっちゃんです。

人参の母本選抜をしました。自農センターのワタワタと共に、センターの品種(筑摩野五寸)を選抜して、2年目になります。畑は、昨年の人参の後に、エンバクをまきつけ、それをすきこんで、また人参という緑肥を使った炭素循環方式。無施肥でも十分育つ、甘くて美味しい品種に仕上がってきてます

詳しくはワタワタ日記を転載します

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ツꀀ自農センターの筑摩野五寸(自家採種できる固定種)

■石綿さん(わたわた)の日記の転載

ニンジンは自農センターの「筑摩野五寸」から自家採種しているもの。2世代目です。昨年の選抜では五寸というより七寸くらいの長さになるものが多かったので、長くボリュームのあるものを選びました。この畑への適応の方向として、ニンジンが長めに変わって行こうとしている意向があるなと感じたからです。

通常のニンジンの自家採種では、品種の力を維持するために50本以上の母本数が欲しいところですが、新しい土地や農法への適応性の高いものを選び、品種の特徴を変えていこうというときには、初期世代に少数精鋭の個体だけを選んでタネとりをします。昨年は30本程度を選抜し、個体ごとにタネとりをしました。

今年はその個体ごとに栽培しました(系統栽培と言います)。母本選抜はまず全部抜いて、系統ごとに大きさ順に並べて各系統の特徴を眺め、優良な系統を選び出しました。もともと1つの品種であっても、個体ごとにタネとりして系統栽培する(この過程を分系と言います)と、系統ごとにちょっとずつ表現が異なるのです。30系統を並べてみると、長さが長いものが多い系統や熟期が早くなるものなどいろいろな個性が浮かび上がってきました。

筑摩野五寸はもともと関東地方の冬越しニンジンだったものなので、秋どり品種としてはやや晩生に当たるものですが、木の花の畑への適応やここでの利用方法としては、秋どりで十分に肥大し形よく仕上がるけれど、育ちすぎて裂根などのしないものが望まれます。全体としてみると、ニンジンの方が木の花畑での栽培や利用法の特徴に合わせてきている傾向がうかがわれ、その中に系統として表現が揃っているものが9系統ありました。そしてその優良系統内からさらに優良個体87本を選びました。

今年はその優良個体をごちゃごちゃに混ぜて集団でタネとりします。ニンジンのような近親交配による弱体化(近交弱勢と言います)の起こりやすい作物は、系統栽培を何世代もするのは避けた方が良いのです。なので個体選抜・分系と集団採種を繰り返す2年で1サイクルの改良方法が適しています(こういう方法を「半きょうだい育種法」と言います)。
来年6月には新しい集団が誕生します。元の品種との比較栽培をしてみて、適応性の変化を見比べようと思います。おそらくこうした育種操作をすると、元品種とは異なる品種特性になるでしょう。ふじの七寸? 木の花七寸ニンジン? いい名前を考えなきゃねとみんなで話していました。来年が楽しみです。

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引き抜いて長さ順に並べます

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30系統の中から選抜したい系統を選びました。

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芯の色をそろえるために先端を切って、オレンジ色のものを選びました。

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選抜したら、90本弱になりました。40cm間隔で母本を植えていきます。

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スコップで掘って、丁寧に定植

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最後に葉っぱを持って周りをふみふみして固めます

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聖火ランナーのような人参があったので、りょうちんが走ってます

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作業し終わって、ふと見ると赤富士が見えました。なんとも豊か!!


木の花ファミリー通信 Vol.39

早いもので、もう師走に突入してしまいましたが、月刊ニューズレター「木の花ファミリー通信」の第39号(2010年11月)をお届けします!ぜひ、お読み下さい。PDFファイルをこちらからダウンロードできます。

「木の花ファミリー通信」は、毎月発行のニューズレターです。PDF版を無料で公開しているほか、テキスト形式のメールマガジンで配信もしています(木の花ファミリーホームページの右側に申込み欄があります)。

  • みちよちゃんのGENOA総会レポート
  • ヤマギシ会のみなさんとの出会い
  • 新メンバーみきちゃんのご紹介

かわいい7人の小人たち

おやつ作り担当のゆみちゃん、子育てチームのあっちゃん&サヤカちゃんと7人の幼児たちが10時にひまわりに集合。みんなエプロンとバンダナをつけてやる気満々です。さあ、今日は何が始まるのでしょうか。
最近おやつ作りに燃えている?!幼児たち。2歳のゆうとう(右)とひみ(左)も手慣れたものです。
「まりんのぶんもつくるからまっていてね!」1歳のまりん(左)も作りたくてうずうず?!
「みこのドーナツクッキー、おいしそうでしょ!」
「みののクッキーにはクリームをいれたらおいしそう!!」
「やっぱりおだんごがいちばん!」とゆうゆ。みんなそれぞれ楽しそうに作っています。
クッキー作りがスタートしてから早1時間が過ぎ、他の幼児たちが外で遊び出している中。。。最後まで頑張っていたのはゆうとうとひみ。いつのまにやらバンダナがとんがっていたり、くるっと回っていることにも気がつきません(笑)。
みんなで200枚近くのクッキーが出来ました!でも、長期滞在者を含め80名近い人が暮らしていますから、なくなるのはあっという間ですね!

宮重大根母本選抜

たっちゃんです。今日は、宮重大根の母本選抜をしました。

自然農法センターの石綿さん(わたわた)と共同で、かれこれ4年かけて種を取り続けてきました。おそらく、来年から頒布品種になるかもしれません。

無肥料下でも大きくなる品種になりました。ばらつきもありますが、年々そろってきて、作りやすくなってきました。肉質も細かく、味見したら非常に甘く美味しかった。

今年も良い母本が選抜できました。IMG_0629

まずは、わたわたから説明を受けました。母本選びの注意点を聞きました。IMG_0608

大根を引き抜いて、長い順に並べていき、品種の傾向をみていきます。

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極端に長いものや短いもの、太りの悪いものなどを除いていきます。その中で良いものを選抜していきます

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宮重の中に、漬物大根のような長い株が何株かあったので、それを選抜し、来年、耐病干し理想と掛け合わせていこうと思ってます。自家採種できるつけもの大根ができる予定

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漬物大根用の品種を選抜してます

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大根母本の植え付け予定地のハウス

条間50cm 株間60cmで植えつけていきました。来年の種がどうなるのか?楽しみに