さのっちです。
ちょっと前の話ですが、4月24日~26日と、僕の友人でオーストラリア在住の環境活動家のアンニャ・ライトさんを連れてファミリーに滞在しました。
アンニャは、今年41歳(たぶん)。パチャ(7歳)とヤニ(4歳)という2人のかわいいお子さんがいます。今回彼女は、4月中旬から2ヶ月間、日本に滞在し、各地でトーク&ライブを行っています。その一環で、今回木の花ファミリーにも来てもらったのでした。
アンニャは、スウェーデン生まれのオーストラリア育ち。大学で音楽と演劇を学び、卒業してすぐに、マレーシアのボルネオ半島にあるサラワクの森へ。
高校時代から、地球環境を守るための活動家になろう!と決めていた彼女は、熱帯雨林伐採に反対する先住民族プナンの人たちといっしょに活動を始めます。
伐採に来たブルドーザーを止めるために、平和的に森の入り口にバリケードを張るプナンの人たちとともに活動し、マレーシア政府によって逮捕され留置場に入れられたことも。
こうした体験を通して、アンニャは森と共生するプナンの人たちから、人として生きる上でのもっとも基本的なことを教わったといいます。
その後、アンニャは日本でしばらく滞在。なぜなら、日本がこうしたサラワクの熱帯雨林を、もっともたくさん輸入して使っている国だから。彼女は、自作のメッセージソングをつくり、日本全国をまわって、森のたいせつさを訴えてまわりました。
僕が、はじめて彼女に会ったのも、ちょうどそんなとき。
92年の国際先住民族年。ちょうどこの年、北海道を根室から函館まで、2ヶ月かけて歩く「生命の平和への巡礼」というものが開かれ、僕もアンニャも参加してました(当時、僕は20歳!)。
この巡礼には、日本山妙法寺のお坊さんや、世界中を旅してまわる若者たち、またアメリカインディアンの方も参加して、北海道各地で平和のイベントをしたり、またアイヌの人たちと交流して歩きました。
それから16年。
アンニャは環境活動を続け、エクアドルの男性と結婚し、2人の子どもを設け、いまはハッピーシングルマザーとして、親子3人でオーストラリアで暮らしています。
この後、彼女はかつて活動していたエクアドルに戻り、「エル・ミラグロ」と名づけられた農場で、自給自足のエコビレッジ活動を再開する予定。今回は、その旅費づくりも兼ねて、日本でのスピーキングツアーを、彼女が世話人をつとめる環境文化NGO「ナマケモノ倶楽部」とともに企画したのでした。
*彼女の詳しいプロフィールはこちら。
歌の交流、こころのふれあい
前置きが長くなりましたが、今回のアンニャ一家(そう、子どもたちも!)の木の花滞在は、これまたエキサイティングなものになりました。
まず24日、東京駅からアンニャたちを連れて富士宮へ。
事前に木の花ファミリーのことをほとんど知らなかったアンニャ。約50名が血縁を越えて共に暮らし、有機農業でほぼすべて自給しているコミュニティであることを伝えると、「すばらしい! それこそまさにSLOHASコミュニティね!」と彼女。
SLOHASとは、スローとロハスを組み合わせたもので、アンニャが最近考え付いて、みんなに広めていっているもの。スローで持続可能で、ハッピーなライフスタイルのことを言います(LOHASのHは、健康を意味するHealthですが、アンニャはそれをHappyに置き換えて使っています)。
*詳しくは、アンニャのブログに書かれています。
木の花ファミリーについて、まずは特製の玄米菜食弁当。それから木の花楽団によるウェルカムコンサート。
その後は、ファミリーの創始者である、「いさどん」こと古田偉佐美さんから、英語通訳つきで全体のプレゼンテーションと質疑応答を、たっぷり3時間。このときには、朝から東京でややお疲れ気味だったアンニャも、すっかりリラックスモードに。
そして夜は、お待ちかねアンニャのコンサートタイム。「まるで、はじめて会ったと思えない。ずっと前から知っていて、ひさしびりに再会したよう」という、木の花楽団メインボーカルのみかちゃん。気持ちをこめたアンニャの歌声とギターに、ファミリーのみんなも大喜び!みかちゃんも、ギターの弾くアンニャの隣で、早速ジャンベ(太鼓)をたたいてコーラス参加。さすがプロ! 会ったばっかりなのに、流れるように美しいハーモニーを奏でていきます。
最後は、アンニャもファミリーもいっしょになって、「ピースソング」。
Love, Love, Love
Love on the Earth
Love, Love, Love
For All the Universe
みんなで輪になり、手を結び、みんなの歌声が、ひとつに溶け合いました。
(木の花ファミリーでしょっちゅう歌われているこのピースソング。僕がはじめて聞いたのは、実は16年前、北海道を巡礼したときの、アンニャのコンサートの中だったのでした)
タスマニアの森。社会にYesということ。Noということ。
2日目、25日には、アンニャたちを連れ、木の花ファミリーの農場や施設を見学。ファミリーの養鶏場、「にわとり小学校」の元気なにわとりたちに、パチャとヤニは大喜び!さらに山羊さんと対面した4歳のヤニくん。思わず、着ているシャツを山羊くんに食べられ、穴ぼこだらけになってしまいました。それでも、無邪気に喜ぶアンニャ一家。この見学から合流した、「ナマケモノ倶楽部」会員で静岡県立大生の松野下琴美ちゃんも、そんなヤニの姿を見て大笑い(^^)
その夜には、再びアンニャによるトークタイム。今度は、オーストラリアのタスマニア島における、原生林伐採の現状を訴えるDVDを見せてもらいます。
タスマニア島に残る、世界でも稀な原生林。さまざまな生物種の宝庫であり、人は誰しも、そこにいけば自分が誰なのかを思い出せる、DNAの記憶を呼び覚まされる、そんな「聖なる場所」だと、何度もその森を訪れたアンニャは言います。
しかし、タスマニア政府は、経済的利益欲しさに、原生林の一部の伐採権を伐採会社に許可しています。その結果、たくさんの貴重な森が、ウッドチップになり、そしてそのほとんどが日本にきています。
なんと、僕らがよく使っている、王子製紙の「ネピア」になっているそう!「ヴァージンパルプ100%」というのがそうです。
「人類と生命の記憶の宝庫を、鼻をかむティッシュペーパーにしてしまうなんて…。オーストラリア人のほとんどは、この伐採をばかげたことだと反対しています。ぜひ、日本のみなさんに、これからタスマニアの森を使った製品を使わないでほしい。このことを、少しでも多くの人に伝えてほしい。それが、伐採をとめるいちばんの早道なのですから」
と、アンニャ。
確かに、ウッドチップのほとんどが日本に輸出されていることを考えると、私たち消費者が行動することが何より効果的であることは間違いない。タスマニア州政府も、日本製紙も王子製紙も、「儲かるから」という経済原則で動いているわけですからね。
☆タスマニア ~紙に変わる原生林~ by グリーンピースジャパン
こうしたアンニャの話を聞いた、木の花ファミリーのいさどんからはこんなコメントが。
「これまで、僕たちは、社会に対してYes!と言う活動を14年間やってきた。たとえば、無農薬有機栽培で安全なお米と野菜をつくり、お年寄りも子どもたちも、血縁を越え大家族として助け合って仲良く暮らす共同体をつくり、地域のNPO活動にも積極的に参加して、新しい社会のモデルを世の中に提案してきた。
でも、アンニャの話をきいて、あらためて明らかにおかしいことには、No!と言っていくことも大切なんだということを改めて学んだ。その意味では、僕らは同じ思いを分かち合い、そして同じ目的、つまり生きとし生けるものがすべて調和しているという社会に向けて、それぞれ違った役割を果たしている仲間どうしなんだね。
これから、こうした仲間どうし、もっともっとつながっていこう。つながれば、僕らは自然と全体になっていくからね」
Only Connect ~ただ、むすびつきさえすれば~
なるほど~、まさにそう!
これまで、こうした環境活動に関わるいっぽうで、木の花ファミリーの精神性にも深く共感してきた僕としては、その両者がこんなふうにつながって互いに認め合っていけるというのは、この上のない喜びであると同時に、改めて新たな学びを得ました。
そうか。つながれば“全体”になるんだ。
昨年の4月、インド出身の思想家サティス・クマールが、イギリスのシューマッハカレッジから日本にやってきて、長野・安曇野のシャロームヒュッテで交流会をしたとき、彼もこんなことを言ってました。
「 Only Connect 」
ただ、むすびつきさえすれば。
そう、つながれば…。そこに全体があらわれる。
生命というのは、本来「全体性」。であるならば、つながってひとつになっていくのが、わたしたちの本質であり、自然の流れではないか。
しかし、そこで私は私、あなたはあなた、と個を主張し、つながりひとつになるのを拒むのが、わたしたちひとりひとりの中にある「エゴ=自我」のはたらき。
このエゴがあるからこそ、わたしたちは「自分」を体験できる。でも同時に、それは全体とのつながりとの喪失でもあることから、
そこに不調和が生まれ、不幸が生まれる。
そしていま、その不調和が戦争や環境破壊にまで拡大し、この地球という生命の全体性を脅かしてしまっている。
であるならば…
いま、この星の上で、わたしたちが行っていくこと。それは、ふたたび「ひとつ」になっていくことなんだろう。ただ、結びつけさえすれば…。そこに、無限の調和があらわれる。「大いなるこころ」というものに、私たちはまた還っていける。そのとき、人類はほんとうに気づく。戦争や環境破壊は、すべて自分自身を傷つけているのだということを。そんなことを、今回アンニャと木の花ファミリーの出会いを通して、強く感じました。
希望の種
3日目。
午前中、木の花ファミリーの畑での農作業を楽しんだアンニャ一行。アスパラガス畑の草取りをしながら、アンニャは思わずこんな一言を。
「わたしは子どもたちとスローで幸せな暮らしを送っているけど、でもまだコミュニティにはなっていない。ここ(木の花ファミリー)に来て、すでにそうしたコミュニティの暮らしを実現している人たちと出会って、あらためて自分の人生を考えたわ。私もいつかは、こんなふうにコミュニティでゆったりみんなで暮らしたい!」
昼には、山梨県上野原市からのお客さんを迎えて、ファミリーのウェルカムコンサート。そこで、せっかくだからとアンニャもジョイントセッション。往年の名曲「Thinking Like Mountain」(山のように考えて)を歌います。
Earth My Body 大地は、私の体
Water My Blood 水は、私の血
Air My Breath 空気は、私の息
Fire My Spirit 火は、私の魂
この曲は、ファミリーのみんなも大のお気に入り。ファミリーの精神性と、すごく通じるものがあるみたい。みんなで、いっしょに合唱しました。
そして…。別れのとき。アンニャは、最後のあいさつ。
「ここに来れて、3日間みなさんと過ごせて、とても光栄です。ここへ来て、私はもっともっと未来に希望を持つことができました。
ビジョンを語るだけでなく、ビジョンをすでに実践し、そして実現している人たちに出会えて。
わたしは、この希望の種を、これから全国にまいていきます。みなさん、本当にありがとう!」ファミリーのみんなも、次々とアンニャとハグ。いさどんからは、「いつでも帰っておいで~!」とこころを込めた熱いハグ。3日間で、ことばの壁を越え、すっかり木の花の子どもたち(16人います!)と仲良くなったパチャとヤニの2人も、子どもたちとハグ。「またいつでも遊びにきてね~。待ってるよ!」
そんな、みんなの暖かいことばに見送られながら、車は駅に向かって出発。走り去った後も、お互い小さくなるまで、ずっと手を振り続けていたのでした。
…ということで、たいへん長くなりましたが、アンニャの木の花滞在記でした。最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!
*以前、前の職場の東京学芸大で、アンニャのトークライブをしたときの報告があるから、読んでみてください。詳しい講演記録もダウンロードできます。
実は、今年の初めタスマニアで、1ヶ月間電気ガス水道の無い場所で生活をしていました。
山奥は豊かな自然が残っていて野生動物もいますが、それがどんどん破壊されていて、珍しい動物も絶滅の危機にあるようでした。破壊された森の中では一切の生命を感じず、気味が悪く、恐ろしい気持ちになったのを今でも覚えています。
ハイウェイでは、10分に1回のペースで、Mitsubishiと書かれた大きなトラックが、木材を大量に積んで走っていました。
それがウッドチップになって日本に運ばれるのだと、ホストのピーターがよく言っていました。
「あらためて明らかにおかしいことには、No!と言っていくことも大切なんだということを改めて学んだ。」
「こうした仲間どうし、もっともっとつながっていこう。つながれば、僕らは自然と全体になっていくからね」
という言葉が印象的でした。
アンニャさんの、強くて優しい表情に、くらっときましたよ。
なんというか、オープンだってことがすぐに分かりますよね。
タスマニアの森林をチップにしながら、今私が通っている林業講習では、チップにも出来るかどうかと言われちゃう間伐材の杉が山中にある・・・。
これを全部使うようには、出来ないもんなのでしょうかねぇ。
タスマニアよりとっても近い千葉にあるのに・・・。
経済性から離れればできる・・・はずなのに。
いろいろ考えちゃいました。
さのっち、こんにちは。
5・5世界9条会議でお逢いした美波です。(第2回生活体験ツアー参加者)
あの日はさのっちはじめ、想いもかけない方々に続けざまにたくさんお逢いして、何かの力に引き寄せられているかのようでした。
Only Connect ~ただ、むすびつきさえすれば~
この言葉でやっと腑に落ちたことがあります。
最近不思議と何度も目にする言葉がありました。
”楽し”の語源は”手(て)伸し(のし)”
手を伸ばしてそばの人とつながる時、感じあう気持ちであり
その感情を共有する時間と空間。
結びつき、つながり一つになる。それは楽しい。
楽しいからつながる。
我をなくし自他のなくなる手伸しいことに向かって、ただ生きていく。それを幸せというんだね!
一人で納得(笑)